子供を伸ばすオススメ読書100タイトル vol.15 海外文学②(過去記事再編版) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 夏休みは終わってしまいましたが、読書習慣は細々とでも続けてほしく思います。やはり、少々の塾に通うよりもたくさん本を読む方が、その後の人生をわけると、確信に近いものを僕は抱いています。これは万の言葉を尽くして説明したところで、読んだ人間にしかその効能はわからないと思います。

 

 まあ、頭をよくする、という観点からのもので、読書以上に効果するものがあれば教えていただきたいくらいですね。それくらい無いと思います。(幼少期の運動はありますが)

 

 最近では読書が国語能力だけでなく、算数・数学の力にも直結してくると思っています。当然に、理社や英語でも効果はあると考えますと、受験および人生に大きなものであると自然に思えます。

 

 僕も年に100冊読書を自身に課してから、4年ほど経ちますが、やはりまったく知識の感覚やトータルの知能の感覚が変わっています。(今年は黄色信号w)おっさんの僕ですらそうなのですから、子供たちならば、なおさら大きなものとなります。実際に、月に10冊くらい読ませて変わった子などもいます。

 

 とりあえずこのコーナーももうじき100タイトルに到達しますね。けっこう、いろんな家庭に僕が紹介した本などを置いていただいていて、ありがたい限りです。出版社からお礼がきてもいいくらいではないでしょうか(笑)

 

 今日は海外文学編です。すべて読みやすく、薄めの本ばかりになっています。

 

<子供を伸ばすおススメ100タイトルVol.15--海外文学編②>

 

81、ジキル博士とハイド氏 スティーブンソン 文章レベル★★★

 


海外文学は大江健三郎さんを読んだことから、その影響元をたどっていく感じで読み始めました。大学のころですね。この作品も、いろんなところに出てくるので、自然と手に取った感じです。薄くて読み易いですね。ラルクの影響もあるかw

 

道端でぶつかった少女を平然と踏みつけた、醜悪なハイドという人物を主人公が追っていくうち、その補償金がジキル博士という紳士から払われていることに気づきます。ハイド博士はお金持ちなのですが、その遺産相続人がハイド氏になっていたり、主人公は不審感を抱き、身辺調査を始めます。

 

その後も老人を殴打した凶悪なハイド氏を追いつづけていくと、ある日、ハイド氏が自殺してしまいます。そこに残っていた手紙には、ジキル博士がクスリの力で自分の悪の精神を具現化する方法を見つけたこと、その悪の凝縮がハイド氏であること、その材料が切れ、徐々にジキル博士に戻れなくなってきたことなどが書かれているのでした。そして、永久に悪のハイド氏として生き続けるかどうかの葛藤が描かれます。

 

 この『後から手紙や告白文などで真実があかされる』という、シャーロックホームズの緋色の研究パターンの構成は19世紀のイギリスではよくある構造のようですね。今読んでも、なかなかミステリーな構造で面白いものでした。単なる二重人格の話として片づけてほしくはないですね。人間だれしもがもつ、悪の側面を良心の葛藤の中でどう折り合いをつけるか、というテーマを感じてほしいと思います。

 

82、不思議の国のアリス ルイス・キャロル 文章レベル★★☆

 

 

なにげにイギリス小説が多いですね。一応、数としてはフランスのものが僕は多いのですが、薦められるもの、というとこのあたりが良いかと思います。僕はこれをある漫画の影響で読んでいます。

 

これはもう押しも押されぬ名作ですね。ある日、読書をしていたアリスのそばを、喋るウサギが通りかかります。そのウサギを追いかけ、ウサギの穴に落ちてしまいます。そこから、変な猫やらトランプの裁判やら不思議な冒険が始まります。まあ映画にもなっているので、見てから読んでくれても良いですね。

 

この作品には、英語の言葉遊びがたくさん含まれていて、少し英語がわかると、その語感の感じや遊びの感じもわかると思います。ルイスキャロルが、懇意にしていたお宅の少女に向けて即興で創作した話が元になっているので、物語に伏線や整合性があるとは言えませんが、やはり面白さはあります。創造力を書きたてられる楽しいお話だと言えるでしょう。

 

これが読み終わったら、当然のように続編「鏡の国のアリス」にいくべきですね。

 

83、変身 フランツ・カフカ 文章レベル★★★

 

 

これも、いろんな学校で課題図書になっています。まず薄くてすぐ読めます。僕も高校時代に友達に貸してもらって、通学途中の電車の中で読み終えています。しかも内容は面白く、濃いのでオススメです。カフカはチェコの作家ですね。

 

これは大江健三郎などにも影響を与えた作品で(大江にも部屋の端っこに猿がいるという似た短編があります)、ある日主人公のグレゴール・ザムザは、起きると巨大なイモムシになっていました。それだけで「なんじゃそりゃ」という作品なのですが、このメタ的(妄想的)な話を2年前くらいに社会人になってから読み返しましたら、もう少し意味が深くわかったような気がしました。

 

ザムザはサラリーマンとして日々の生活に追われていて、その逃避をいつも願っていたのでした。その観点からみれば、イモムシになったことで逃避はできたわけです。すると、妹や親たちの有り様が浮き彫りになり、新たな発見があります。当たり前のようにある日常が突然崩れた時に、人がどのようになるか、をザムザを通して知ることができます。最後はバッドエンドなのも、リアルで良いですね。

 

これが読めたら、いよいよ大江健三郎さんに行っても大丈夫かなと思います(笑)

 

84、老人と海 ヘミングウェイ 文章レベル★★★

 

これまた薄い本で読みやすいですよ。やはりノーベル賞をとった大作家だけあって、短いですが濃い作品です。

 

内容としては、漁師のおじいさんがいて、もう年だし、漁なんて無理だろうと言われてしまっています。そんなことはない、とまだワシは大物だって釣れるんだと、おじいさんは意地をもっています。ある時、不作続きだったおじいさんは、助手の少年を乗せず、一人で海にでるのですが、そこで大きな魚(多分、カジキマグロ)を釣ることに成功します。が、その魚は大きすぎて、一人では舟に上げることができません。そのうち、その血の匂いで引き寄せられたサメたちが、どんどん集まり始め、せっかく釣った魚を食べはじめます。おじいさんも黙っちゃいません。そのうちに、舟がかなり沖の方まで流されてしまっていて……。

 

 生死の危険を幾度か乗り越え、なんとか帰りつくおじいさんでしたが、そこで自然の厳しさが読者は突きつけられます。まあ、なんともマッチョな作品ですので、読む価値はあります。ヘミングウェイは『誰がために鐘は鳴る』、なども読みたいところですね。

 

85、ロミオとジュリエット シェークスピア 文章レベル★★★

 


シェークスピア作品は、現代の映画、小説、舞台、戯曲、すべての根本に流れている源流とも言えるものです。欧米の文化人は読んでいるのが基本ですし、その悲劇や喜劇の基本構造は、16世紀のこの時点ですでに完成されているとも言われています。

日本人の脚本よりハリウッドのものが平均して優れていると感じるのは、シェークスピアを青春時代にしっかり読み込んだ経験の差であると言われることもあります。ですので、小説や映画方面で飯を食いたい人はぜひとも全作品読んでおくべきではあるのです。

 

僕自身は映画や小説などで半分くらいは知っています。今でもちょくちょくは読んでいます。やはり、お話の基本方程式といいますか、そういうものはあると思います。

 

入り口としては、わかりやすいロミオとジュリエットくらいから入ればよいかと思います。

 

世界史的には、12世紀の神聖ローマ帝国の皇帝派と教皇派にわかれたバックグラウンドがわかると、より理解は深まるかと思います。舞台はイタリアの都市ヴェローナで、ロミオが対立する貴族のパーティーに忍び込み、そこで敵対貴族の娘ジュリエットと恋に落ちるところから始まります。が、その後、ロミオは街頭での争いがきっかけで決闘をし、人(しかも結構えらいさん)を殺してしまいます。

 

追放されるロミオをどうにかして助けたいジュリエットは、理解ある修道僧ロレントに助けを求めます。ロレントは仮死薬を用いた一計を案じるのですが、それがロミオにうまく伝わらず、最後はもっとも悲惨な悲劇が待っています。

 

話としてもわかりやすいですし、映画版ですと、オリビア・ハッセー(ディカプリオ版じゃ無い方)がめちゃくちゃ綺麗です(笑) 英語の勉強としても綺麗な発音の英語で良いかと思いますね。リスニングの勉強も楽しくしたほうが良いです。

 

シェークスピア作品も、悲劇、喜劇を問わず、少しずつ読んでみてはいかがでしょうか。

 

 本当はドストエフスキーなども薦めたいのですが、ま、それは長いし、僕がちゃんと読んでからということで。ロマン・ロランのジャン・クリストフなども面白い長編ではありましたね。

 

 いろんな他の国のものを読むと、それだけで価値観は広がっていくと思います。国によって、やはり匂いといいますか雰囲気といいますか、そういったものが違うのです。

 国ごとにオリジナリティのあるプログレッシブ・ロックと同じですね(誰かわかってくれる人がいるのかw)(笑)

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

このオススメ100タイトルの判断基準は、子供の「視野を広げ」「思考力を深め」「エログロナンセンスの少ないもの」といった感じになっています。ご活用いただければ幸いです。 

 

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