子供を伸ばすオススメ読書100タイトル vol.16 科学・サイエンス②(過去記事再編版) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 さて、ちょくちょく参考にしていただいているこのコーナーなのですが、書いていると普段の倍以上の時間がかかってしまい、なかなか更新できないです。それだけ一回一回にを入れて書いているので、参考にしていただけると幸いです。

 

 今日は科学的内容のものばかりです。やや難解なものが多いとは思いますが、やはり人生の初期に、人類の最先端の叡智に触れておくことが大事だと思います。僕としてはこのような内容こそがわくわくさせるものなのです。理科に関して語らせると、止まらない部分があり、今日は控え目にしておきます(笑)

 

 ノーベル賞もまた日本人から出ましたが、僕はこれからもどんどん増えていくと確信しています。それくらい日本人の発想力といいますか、知力が世界レベルになってきているのです。これはいろいろといわれはしますが、日本の教育の水準の高さの現れかと思います。

 

 また、日本人でノーベル賞をとっている方には、人格面でのすばらしさも兼ね備えていることが多いように感じるのも誇らしいです。逆に人格面が伴っていないと、ノーベル賞には到達できないのかもしれません。

 

 特に今の10代前半の子には、一昔前では考えられないような大物感を持った天才・秀才君が多くいると感じています(実感としても明らかに増えています)。そのような子たちに、僕の人生の断片を見せ、語ることで、よりよい刺激としていただけるような大人でありたいと思います。

 

86、ホーキング未来を語る スティーヴン・ホーキング 文章レベル★★★☆

 

 

 
   

 

 前もこのブログ内で言ったことがあるとは思うのですが、難解な量子物理学の分野を最も素人にも分かり易く説明でき、しかも本人の理解度も高いと思われるのが、この車椅子の天才物理学者、スティーヴン・ホーキングです。僕もこの分野のいろいろな本を読みましたが、結局この本がもっとも理解の助けになりました。東大の理学部物理学科出身の後輩にも助けられましたが(笑)

 

 アインシュタインに始まる相対性理論などの概念として難しい物理も、今の子は概念を正しく伝えさえすれば、意外と平気でイメージできてしまうかもしれません。ここで大事なのは数式ではなく、考え方や概念、ある考え方の実証(実験)方法、どうやって確認されたかです。

 

 量子物理の理解の仕方の道筋としましては、「まずはニュートンなどのイラスト中心のもの」→「初心者用の漫画や概論」という道筋をたどり、最後にこの辺の作品を読むと大体理解はできます。が、理解した気になってはいけません(笑) なんとなくすげー、くらいで良いです。

 人類にとってもわからないことだらけなのですから、分かる、という感覚自体が思い上がりに過ぎません。

 

 サピのアルファクラスなどに安住し(それだけでもすごいが)、中高で増上慢になって、ふんぞり返ってしまいそうな子ほど、このような最先端のものをよみ、宇宙やこの世界に対して「謙虚な」気持ちを持ってもらいたいと思います。そうすれば、謙虚な天才・秀才となり、ぶっちぎりの存在になっていることでしょう。

 

 そういう子に僕は未来を託したいです。これが読めたら、「ホーキング宇宙を語る」などにも手を出してみるとよいです。こちらの方がやや突っ込んだ物理内容となっています。

 

 (追記2020年)惜しまれながら亡くなったホーキング博士の遺言書とも言えるビッグクエスチョン(後ろの方に出てきますが)を付け加えておきます。これもセットで読んでおきましょう。

 

 

87、生物と無生物のあいだ 福岡伸一 文章レベル★★★

 

 

   

 日本の生物学会でキレモノというと、福岡伸一さんをあげないわけにはいきません。山中伸弥教授ももちろんすごいのですが、新しい概念を提唱しているわけではありません。そういう意味では、この本は新たなモノの見方を教えてくれます。

 

 新たな、といってもシュレーディンガー(不確定性原理の猫の実験とかで有名な人)がかつて(1940年くらい)生物についてコメントしたことがあるのですが、それを深めた感じです。つまり、物理学的な見地から生物をとらえるという、今の生命科学の一つの流れなのです。

 

 この本では、「なぜ生物は一つの原子ではないのか」という疑問から、なぜ生物が今のサイズで、多くの細胞をもち、多くの原子をもつのか、という謎を論じていく作品となっています。いわゆる「動的平衡」という福岡伸一さんがよく言う概念があるのですが、それを、非常に丁寧に解き明かしてくれます。ちなみに中学受験に出題されたこともあります。

 

 これが読めたら、福岡伸一さんの他の本でも良いし、シュレーディンガーの「生命とは何か」に行っても良いです。

 

 

88、がん遺伝子の発見 黒木登志夫 文章レベル★★★

 

 

   

 科学的な本は大別して「事実を伝えるもの」と「発見の過程をしめすもの」の2種類があります。講談社のブルーバックス文庫などでは、科学的事実を科学に詳しくない人でも分かり易いようにかかれた興味をそそるものが多いです。ニュートンや日経サイエンスなどの科学雑誌も基本的にはそうです。紙面の都合もあるでしょうが、なかなか過程まで描いてくれたものは少ないのです。

 

 中公新書や岩波新書のものでこの本のようなものは「どうやって」その事実にたどり着いたかがしっかりエピソードとして書かれているものが多いです。僕はわりと、この過程がしっかり書かれたものをおススメすることが多いです。ブルーバックスのものでも、探せばそのようなものもありますね。

 

 やはり、いつも使っているある科学的事実が、どのようにして発見されたかを知ることは、子供たちにとっても大きいです。思考力や物事の裏側を推測する練習になります。

 

 この本は名前の通りがんに遺伝子が関わっている(レトロウイルスなどの影響も含めて)事実とその発見過程が書かれています。少し古いですが、この時代のものでもプラスはあることでしょう。

 今は、さらに分子生物学的手法が進んで、簡易的なDNA解析や編集が可能になろうとしています。

 

 

89、リンゴが教えてくれたこと 木村秋則 文章レベル★★☆

 

   

 NHKなどで放映され、無農薬リンゴを人類で初めて成功させた人として今や有名人となった木村秋則さんの本です。

 

 農学は僕も専攻のはしくれではありますが、農業はこれからの人類の在り方をしめす重要なファクターです。食料をどのようにして手に入れるかが、世界中で問題になろうとしています。日本でもすでに農家の崩壊がかなりのところまで進んでいます。やり方や考え方を変えていかないと、日本で誰も食料をつくらない時代が来てもおかしくないと僕は危惧しています。

 

 一つの打開策は農業でも稼げるようにすることです。群馬県嬬恋村の抑制栽培農家のように、キャベツ一つで年収1千万を稼ぐ方々もいます。工夫と付加価値をつけることで、農業にもまだまだチャンスはあるのです。そのような観点からも、無農薬栽培は、注目されておくべきものなのです。

 

 木村さん自身は壮絶な過程を経てリンゴの無農薬にまで到達しています。2年にわたる無収入、農薬を使わなくなったことで突然荒れ放題荒れ、変調するリンゴの木。その生活をささえるため、夜のキャバレーで殴られたりしながら出稼ぎをし、あげく宇宙人にまで遭遇しています(この辺はもう1冊のほうに書いています、笑)

 最後は自殺まで考え、ロープをもって山の中に入っていきます。ロープから滑って山のふかふかの土に落ちたところから、木村さんの大逆転人生が始まります。

 

 男の生き様としても、一人の人間のドキュメントとしても、面白いです。また、僕は現代農業の過度な工業性を知っているので、自然の姿をなんとなく思い出すことにもなりました。

 

90、ポアンカレ予想 D・オシア 文章レベル★★★★

 

 

 

   

 天才アンリ・ポアンカレが1904年に提唱した「単連結な3次元閉多様体は3次元球面 S3 に同相である」という予想(数学的に確かだと予想され、証明を待っている状態)が、近年、グレゴリー・ペレルマンというロシアの数学者によって解かれました。この発見の過程、歴史などを記したものがこの本です。簡単な解説なども入っています。

 

 単連結がどうのこうのは、もう一度和訳してくれいというくらいの難解な言葉なのですが、まあ、量子論同様、理解はできなくてもよいかと思います。これは宇宙の形がドーナツみたいに穴が開いた状態なのか、球や洋ナシのように空間に穴がない状態なのか、どっちやねんというのを証明する理論であり、実際にペレルマンによって解決されて、宇宙の形はドーナツではない、と証明されています。

 

 また、宇宙はどこかに端っこがあるのではなく、真っ直ぐに直進し続けると、元の場所に戻ってくる可能性も示唆されています。「宇宙の果てはどうなってるのー?」という問いは、もはややや惰弱な発言で、「端っこなんてない」と言えるかもしれません。

 

 ペレルマンという人もこれまた変わった人なのですが、現代の数学者の中では頭一つ抜けた存在であると言えそうです。ただ、人前に一切姿を現さず、消息不明なので一体どこに住んでいることやら(ロシア政府は分かっていると思いますが)。ミレニアム問題といいまして、この問題を解くと賞金(100万ドル!)が出るのですが、それも受け取っていないとか。

 

 この偉大な発見も、今は理解できる人が少なく(世界の数学者でもペレルマンの授業がよくわからなかったそう)、チンプンカンプンなのですが、いつかは人類の文明をがらりと変える契機になることでしょう。その何百人という人が積み上げてきた歴史をこの本で追体験することは、非常に価値があり、数学や物理の価値を今一度認識することにもつながります。

 

 数学は「何の役に立つんだ」と疑問に思っているうちはまだまだ何もわかっちゃいないのです。数学とは、まさに「真理」の体現そのものであり、下手な宗教よりも畏怖すべきものであると、かつての数学嫌いだった僕も今では思います。(まあ受験数学や算数は全然本筋じゃない、ということにも気づきましたし)

 

 これが読めたら、マーカス・D・ソートイの「素数の音楽」も最高に刺激的で、面白いです。時間はかかると思いますが、高校生くらいなら読めると思います。読めなくてもいいので、雰囲気だけでも感じ取ってみてほしいです。

 

 

 理科離れなど愚かなことです。ちゃんと追い求め、目で見て、感じて、奥深さを知っておけば、絶対に面白いです。受験の手段として使うからつまらないのです。この追究だけで人生にとっても大きな悟りにつながるかもしれません。少なくとも僕はそう思います。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

このオススメ100タイトルの判断基準は、子供の「視野を広げ」「思考力を深め」「エログロナンセンスの少ないもの」といった感じになっています。ご活用いただければ幸いです。
 

 

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お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

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