これからの大学受験の厳しさ | お受験ブルーズ

お受験ブルーズ

現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 

 最近、上記の雑誌を読みました。

 今年の大学受験の厳しさを非常によく分析されていて、わかりやすかったです。ここ数年はこの傾向だと僕も思うので、立ち読みでも良いので読んでみると良いかもしれません。

 

 記事中、やはり気になったのは、「地方創生」の一環で私立大の助成金基準が厳しくされたことです。具体的には、『定員』を厳守することが厳命されました。

 

 今までは、例えば「定員100名」と書いていても、実際には200名近くとるような私立大は結構ありました。そうした方が、定員は少ないので、模試などで表面的な偏差値があがり、学生の質を担保できた側面があったからです。

 そして、実際は定員よりも多く取って、入学金などを多くとることができます。(よく考えたら小汚い気もしますが)

 

 国公立大では当然ながらこのようなことはほとんどありません。みな、センター試験から二次試験の1発勝負をくぐり抜けるしかなく、甘い側面がありようもないです。(だから東大をはじめとする国立大に価値が相対的に高くなるという側面もあります)

 

 これが、昨年度から、先ほどの「100名定員」の例であれば110名までしかとれなくなりました。でないと、政府からの助成金が打ち切られるそうです。

 

 政府の狙いとしては、首都圏の定員を厳しくしておくことで、地方に学生を流し、地方の活性化につなげたい目論見があるようです。最近では、特に地方国立大などは生徒数の減少に悩んでいて、潰れかけているところもあります。

 

 最近は都市圏近郊ですと、湘南新宿ラインやつくばエクスプレスなど、高速鉄道が整備されて、埼玉・千葉はもとより、群馬や栃木、茨城、静岡などの方も東京の首都部の大学を目指す傾向が強いです。コンサルでもそのあたりの方の相談を受けることもここ数年増えています。

 2020年を過ぎると、家賃なども安くなることが予想されるので、下宿などもしやすくなり、この傾向はより強くなるかもしれません。

 

 

 また、少し違う視点では、東京・神奈川の大学偏差値でも、交通の便がいいところがそのまま偏差値がよく、駅から遠いような大学は都市部でも人気が落ちています。

 

 要は誰も中身なんて見ていないということが、大学には言えるのです。ネームバリューや利便性が先行し、どんな研究ができるかとか、どんな教授がいて、どんな授業があるか、などは誰も気にしないし、世間的にもどうでもよいことになっているのです。

 

 また、僕が生徒に大学を勧める際にも、あまり中身などは気にしません。そのような世間の流れを読み切っているからです。心ある企業は、そもそも大学名は最初からみないものだし(だから在学中に資格などをとっておくことが大事)、見るところは下世話にネームバリューだけ気にしていれば大丈夫です。

 

 ということで、これからさらにMARCH以上の大学に行くのが難しい現状が首都圏ではあります。関西では関関同立にいくのも似た傾向があることでしょう。

 

 昨年までの早慶上智の感覚でMARCH、MARCHの感覚で成成明学獨國武、日東駒専に行ければ全体としては良い方、といったところでしょうか。

 

 ずっと中高時代、国公立大しか見ていなかった僕としては、「正常化」したように映ります。名門校は入りにくいところで良いのです。

 

 現役時代はあまり私立大の動向に詳しくなく(興味もなかった)、教える側に回ってからいろいろと現状を知ったのですが、やはり私立大の現行の入試のシステムはいろいろと不健全だったと思います。

 

 ものすごく学力の低い内進生や、推薦でどこからともなく入ってくる学力水準がやたら低い子など、まだ問題も残りますが、やはり大学は「学ぶ気持ちがある人間がいくところ」で良いと思います。うちの恩師もよくそう言っていました。

 

 その後の収入やステータスが先に来ているので、内実の薄い付属校制度がまかり通り、現状のような不健康な状態になっているのだと思います。今の日本の教師で、将来の日本の宝種を育てていると自覚しながら教えている先生が一体どれくらいいるでしょうか。明らかに旧態依然とした伝統校や大学付属校には少なく、良い進学校に多い気が僕はしています。

 

 少し前の日本であれば、大学に入りにくいのは当たり前でした。今より生徒の数が倍くらいいた世代もあります。

 一昔前は、日本を背負って立つ気概のある人間が、さらに勉学や心身の鍛錬を重ね、鍛えられて大学に行かれていたことを、明治期や昭和初期の本を読んで思います。226などで過激に散ってしまった人間も、みな、それぞれに日本の将来を本気で憂慮して行動しています。

 

 僕とて、今は学生時代の予想とはまったく違うカタチになっていますが、どうやって社会貢献ができる人材になるか、なれるか、を当時の先生たちから考えさせられたものでした。最近はそのような視点の生徒や親御さんは少ないと言わざるを得ません。

 

 地方のコンサルにいって比較してしまいますが、特に関東圏はひどいです。教育を我が子とその収入だけの『手段』のようにとらえている方も多い気がして危惧しています。少し、ご家庭を振り返ってみていただきたいです。(まあそのような家庭のご子息はそんなに優秀じゃないことが多いのが救いですかね、笑)

 

 せっかく日本という安全で水や食べ物がおいしくて、楽しみも多い社会に生まれ落ちたのですから、この素晴らしさを維持でき、できればさらに発展させるような人材を創るべく、親御さんには意識していただきたいところです。

 

 

 これからはこの傾向がしばらく続きます。といっても、感覚的には90年代のように大学進学を希望する生徒が増えてきたころにもどるだけのことです。競争率もそのころくらいの水準でしょう。去年まではそうじゃなかったのに、いきなり今年からて可哀想~、とは思いますが。

 

 今までは、簡単にMARCHが行けすぎました。大学進学率も国のことを考えますと、高いだけで安定社会になるわけではないことは諸外国を見てもわかることです。国としては、これくらいの厳しさで良いと思います。

 

 ここ15年ほどは、少子化なのに大学の定員が減らず、次々とどうしようもない学部や大学ができていた時代です。そのすべてに、莫大な国税が注入されていたのです。皆さんが内実を知れば、呆れるような学校も結構あります。そこに数千万の国税が流れるとなると、怒りも感じると思いますよ。

 

 ここらで縮小して、本当に意志が強い子、日本になにか貢献したい子だけが大学に受かって頂くのも良いのではないでしょうか。教育業界は全体としてみれば、膿だしも含め、好転していると僕はとらえています。大学にいく子がもう少し減れば、国立大の学費も元の低さに戻ることもあるかもしれません。

 

 厳しくなることで、浪人生が一時的に増えると思います。センター試験も変わることですし、予備校業界はしばらく安泰ですね。それが良いことなのかどうか……。

 

 可愛い子には旅をさせよ、と言いますが、受験においても同様です。今の親御さんは、過保護になりすぎです。子は、厳しい環境においた方が、泣いたりつまずいたりしますが、結局は良い方に転がります。どうせ私立大がきついのならば、国公立大を目指させれば良いのではないでしょうか。

 

 進学校に行けたならば、国公立大をしっかり目指すほうが良い、とも言えるわけです。ますます大学受験は中高一貫校が有利になり、中学受験は本格的学力志向と大学付属校志望の方とで、大きく両極端な時代があと10年くらい続くと思います。

 

 そのうち、今回の医学部の女子減点騒ぎのように、内部揉めで評判を落とす大学付属校もでるやもしれません。(当たったら褒めてね、笑)ネットの力は恐ろしいです。

 ただ、僕からすれば、教育に熱心でない学校は別に滅んでもいいのかな、とも思います。本当に教育意識の高い学校を選びたいものです。

 

 いつもどこかに「日本視点」があるのが最近の僕です。親御さんにも、「日本にとってそれは良いのかな?」という視点を持っていただくのも、いろいろと冷静になれて良いかもしれません。

 

 バンドや音楽を通じて諸外国を知って、外国の方と触れあううちに、ますます日本が好きになってきたようです(笑) この国が好きで、いろいろな意味でバランスのとれた良い人材を、僕の縁ある生徒から出していきたいと常々願っています。

 

 

 さて、この厳しくなった大学事情の中では、MARCHはこれまでの早慶に相当すると思いましょう。政府の思惑どおり、地方の優秀な大学に行くのも良いと思いますし、東京でもちょっと郊外になるだけで大学の偏差値は一気に下がります。そのようなところを狙うのも良いでしょう。(でもまずは国公立大を狙ってね)

 

 そして、中途半端な大学にしか受からなかった方は、在学している間にさらに勉強をして、資格などを取れば良いです。日東駒専以上ならば十分、という時代が来ようとしているのかもしれません。

 

 25歳を過ぎたときに、自由度が増す人生でありたいものです。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

※注 夏のスーパーコンサルですが、現在、多くのご依頼をいただいておりまして、スケジュールが厳しい状態になっております。僕の体調面も考慮させていただき、8月上旬までのコンサルは現在決定しているものだけで一旦締め切らせていただきます。(関西コンサルはまだまだ大丈夫です)

 8月17日以降、関東に帰ってきていますので、それ以降のコンサルはまだ可能です。

 また、トラブルを避けるため、コンサル前日に僕の方からリマインドメールを差し上げることにしました。コンサル当日朝までに僕からのメールが届いていない方は、お約束していた時間等を明記し、お手数ですがご一報ください。)

 

 

夏のスーパーコンサル2018、今年も始めました。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。ご希望の方はメールをくださいね。

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

こちらです。 http://ameblo.jp/harryhawk-bp/entry-11385618245.html お勉強BLOGЯanK お受験ブルーズ-ランキング1 お受験ブルーズ-ランキング2   ←たまにクリックしてもらえるとうれしいです。