夏こそ読書で礎を | お受験ブルーズ

お受験ブルーズ

現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 さて、夏休みも中盤ですが、皆様読書はなさっているでしょうか。受験学年でない方なら、10冊くらいは読める時間はあるはずです。

 

今年も僕は月10冊のペースを大体守りながら、読書街道を爆走しています。Kindleのおかげでずいぶん楽にたくさん読むことができています。

 

普段忙しい中で月10冊を読むには、わずかな隙間時間も読書にあてるしかありません。僕の場合は遠隔地に電車でいくことが多いので、移動時間に読むことが大半です。

 

2013年から年100冊をきっちり帳面につけてカウントし、読むようになっているのですが(それまでもまあ80くらいは読んでいたはず)、大体三日に1冊というのはなかなかに大変です。しかも僕の場合は、速読的なことはまったくせず、精読することを常としています。読むスピードも速い方ではありません。最近は駅のホームで待っている間、エスカレーターで運ばれている間、ちょっと歩きながら、など2分あれば僕は本を開いています。

 

 速読は特に小学生にはおススメしません。国語のテストで解答時間が足りないからといって、そちらに走ると、読解は壊滅的になります。国語ができない子の理由の8割は読むスピードが遅いからではなく、書かれた文章を正しく理解できないことが理由です。

 

<国語の理解力を上げたければ、精読で読み取りの力を養うようにしましょう。

 

 また、コンサルなどでもよく言っているのですが、読書量が最低限度を突破していないと、国語はいくらやっても伸びないものです。例えば、よく塾であるパターンとして、線を引いて注意をしやすくする、論理の助けとする方法がありますが、それも読書量が一定量ないと効果は薄いです。

 

 

 開成や麻布のような学校でも、上位にいる子は必ず相当な読書をしています。読書量=知能、という面はあると思います。数学能力も結局は読書をしていないと、最後は伸びません。

 

 読書家だからといって、学力が高いとは限りませんが、学力が高く上位にいる子は、必ず一定量の本を読んでいることは言えるでしょう。下手な塾通いより頭が良くなる側面はあります。

 僕も100冊を読むようにしてから、自分の内的世界の急激な広がりを感じることができています。

 

 年100も読めば、すぐに読みたい本がネタ切れするだろう、なんて思っていたのですが、なんのことはない。無限に増え続ける「読みたい本」「読むべき本」「読まなければいけない本」で、うちの本棚はあっという間に埋まっていっています。読めば読むほど、知的好奇心がいやましに増していくのを感じます。この感覚は本をたくさん読み始めれば誰にでもわかる感覚だと思います。

 

 当然それだけ読むと、外れも多いです。すぐにブックオフ行きになるような本も結構あります。(一応最後まで読んでいるが)その一方で、子供たちにもおススメできるような本にもたくさん出会っています。

 

 僕の大学時代のバンドサークルの先輩で広島で塾長をしている浜崎亨さんが先日、このような記事を書いていました。(参照

 

 どのようなものを読ませればよいか、というのは僕はほぼ浜崎さんと同意見です。受験に出そうなものや、有名なものを親の一方的な理想から押し付けることは賛成しません。読書は、最初は強制でもいいのですが、読む本はなんとかして自分で選んでもらわねばなりません。でないと、2冊目、3冊目が続かないのです。

 

 最初は、ドラえもんの科学シリーズやひみつシリーズ、自伝漫画など、漫画などでも良いです。日々触れている国語文章で面白そうなものがあれば、即、購入してあげて、熱が冷めないうちに与えておきましょう。アマゾンで届くのを待っていると冷めてしまうかもしれませんよ。僕の場合は、大人的な字ばっかりの本の最初は芥川龍之介なのですが、塾で知って帰りに駅前の本屋で買ってもらっています。

 

 大型書店や図書館に通って、たくさんの本の中から探させるのも大事です。また、親御さんに読書の習慣がないなら、これを機に一緒に本を読んでみるのも良いと思います。

 

 そして、上位校を狙う小5から中学生の方は、「やや難し目」のものを意識的に読むようにしましょう。それで知能レベルがぐっと引き上げられやすくなります。平易でライトなものばかりでは、やはりそこで知能は止まってしまいもったいなく思います。文語だろうが、古語だろうが、時には英語だろうが本なら読めるところまで行きたいところです。 

 

 すでにおススメ100冊を上げていますが、それも参考にして頂き、今日はさらに数冊、夏休みにも読めそうなおススメを少し上げようと思います。

 

 <おススメ読書 子供を伸ばす100タイトル>

106、(SF) 都市と星 アーサー・C・クラーク

 

 

 クラークの作品はすべてがおススメできるほど、科学的見地・考察が深く、また物語としても面白いです。素晴らしいSFは、科学的想像力を掻き立ててくれ、理科離れなどどこかに吹き飛びます。学校の先生が海外SFをすすめるのをほとんど見たことがないのは寂しいことです。(と思ったら麻布では薦めてるそうなー、さすがw)

 

 本作はコンピューター制御によって大きな塔にある種引きこもりになってしまった1億年後の人類の話です。すべての人類の人格がデータ化され、生殖機能などは抑えられ、生まれ変わりなども中枢コンピューターが制御しています。

 そのコンピューターは、バグのような突然変異もプログラムしている節があるのですが、さらに特異な存在として生まれたのが主人公です。

 

 主人公は、その人類にはあり得ないほど「外」の世界に興味を持ち、冒険に出かけます。すると、ヒマラヤのふもとに生物としての機能を維持したまま生き残っている集団に出会います。その2種の人類が出会うことで、物語は進んでいきます。

 

 これが1956年作ということに、衝撃すら覚えます。「ありそう」と思えるくらいリアルな話になっています。クラークの慧眼の鋭さを感じることができます。

 

107、(SF) アンドロイドは電気羊の夢を見るか フィリップ・K・ディック

 

 

 SFの巨匠の一人、ディックの代表作です。「ブレードランナー」として映画化して知られています。映画も見ましたが、映画は意味がわかりにくく、2,3回みないとわかりません。小説のほうが良いと思います。

 

 火星から逃げてきた数体のアンドロイドを処分する、という話なのですが、あまりにも精工にできているため、人間と区別ができないという、今のAIにも通じるリアリティを持った話になっています。アンドロイドが普通に愛し合って暮らしていたり、どちらかというと処分側の人間の方が人間性を失っているように見えたり、といろいろと考えさせられる小説です。

 

 

108、(サブカル) すべてのJ-POPはパクリである マキタスポーツ

 

 

 テレビなどで「すべてのヒットソングはカノン進行だ」など、結局はほとんどのものはパクリなんですよ、と逆にそれを利用して自身の曲をヒットさせてしまった芸人、マキタスポーツさんの本です。

 

 音楽理論の方はわりによく知られていることですのでまあ良いのですが、さすがにテレビの一線で生き残りをかけて努力をしている人間ならではの見地があります。SNSなどが常態化した現代におけるヒットの法則を論理的に詰めているところがなかなかに面白いです。

 

 現代では、ある程度の「型」を先に学んで、スタート地点を高くしておく、そこからオリジナリティを追及すればいい、というこれからの表現をしていく者には大きな示唆を与えてくれる本です。

 

 

109、文化・評論 代表的日本人 内村鑑三

 

 

 これは、歴史でまなんだ明治期の内村鑑三が、文明開化したばかりの日本を海外に紹介した英文の本を、さらに日本語に訳したものです。岡倉天心『茶の本』、新渡戸稲造『武士道』とならんで、日本を世界に紹介したメジャーな3冊のうちの一つです。

 

 僕はこの3冊の中では、子供たちに読んで欲しいのは、ダントツこの内村鑑三のものになります。他の二冊では具体性に欠け、しんどいでしょう。

 

 自分が最近やっているバンド活動との関連もあり、「日本人とは何なのか」「日本人らしさとは」というのが僕の最近のテーマとなっています。古き良き日本人、という日本人の良さが、最近は失われてきているような気がしていて、憂慮しています。特に関東の都市部では、日本人らしさが失われているような気が、多くのお母様を見ても思います。

 

 ではその日本人らしさとはなんなのか? と追及して明治期の偉人ならばそれを感じたのではないかと思って読んだのがこの本です。西郷隆盛、中江藤樹、上杉鷹山、二宮尊徳、日蓮上人を例にあげながら、「日本人らしさ」を紹介しています。(カトリックの内村鑑三が日蓮をあげるのも面白い)

 

 「すんませーん」と軒先で声をかけて、中の人がでてくるまで何時間でも待っていた西郷さんのエピソードなど、「ああ、そうだよなあ」と得心できることが多いです。その日本人らしさを逆に武器にして、世界に打って出ていくことを、これからの子供たちに期待したいと思います。

 

 

 以上、この「100タイトル」を参考にしていただき、夏休みにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。エログロナンセンスなものは省いていますので安心してください。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

※注 夏のスーパーコンサルですが、現在、多くのご依頼をいただいておりまして、スケジュールが厳しい状態になっております。僕の体調面も考慮させていただき、8月上旬までのコンサルは現在決定しているものだけで一旦締め切らせていただきます。(関西コンサルはまだまだ大丈夫です)

 8月17日以降、関東に帰ってきていますので、それ以降のコンサルはまだ可能です。

 また、トラブルを避けるため、コンサル前日に僕の方からリマインドメールを差し上げることにしました。コンサル当日朝までに僕からのメールが届いていない方は、お約束していた時間等を明記し、お手数ですがご一報ください。)

 

 

夏のスーパーコンサル2018、今年も始めました。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。ご希望の方はメールをくださいね。

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

こちらです。 http://ameblo.jp/harryhawk-bp/entry-11385618245.html お勉強BLOGЯanK お受験ブルーズ-ランキング1 お受験ブルーズ-ランキング2   ←たまにクリックしてもらえるとうれしいです。