鬼門の小5を考える | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 コンサルをやっていますと、最近では中学受験の小学5年生の方の案件が多いです。これは一昔前とは様変わりしています。

 

 このコンサルを始めたのが2011年で、ブログを始めたのが2008年です。ここ数年は大体年50件のコンサルをこなしています。(今年は異常に案件が多いので、さらに上回る感じです)

 それまでも個人的に知り合いの教育相談を受けたりもしていましたが、少し前は圧倒的に6年生が多いものでした。10年前の感じと比べても小5がきつくなっている傾向があると思います。

 

 その要因もいくつか感じていまして、今の中学受験の流れを思います。関東の中学受験も関西の灘受験のように、勝負点が早くなっているのでしょう。

 

 元来、小4から中学受験の勉強をする一般的なパターンですと、一番きついのは小5の4から6月ころとなります。小4まで上位層をキープしていても、いつの間にかじわじわと成績が下がり、下の成績で定着してしまって、浮上のきっかけをつかみにくくなるパターンがあります。

 

 逆に小4まででつまずいている子は、親の目が届いていない、計算力が低い、発育の関係でまだ頭脳や思考力が育ち切っていない、など割にはっきりした理由があってつまずいているのがわかりやすく、精神的には動揺はしにくいものです。小4でつまずくのは、準備不足、真面目にやる習慣がない、という理由が8割です。

 

 おおらかに育った秀才には、いわゆる幼児教育をほとんどせず育っている子が実は意外に多い(勉強に嫌な意識がほとんどない秀才タイプ)ですが、やはり公文などで下準備をしておいた方が僕は良いと思います。それが不十分なまま大手塾に通ってしまうと小4までに不具合を起こすことが多いです。

 それが小5まで持ち越されてしまうことも今日の要点の一つとは言えます。

 

 また、小4までは、親御さんでも教えられる内容が多いのですが、小5になった途端、内容が難しくなります。すると、親の教え方では偏りがあったり、思い込みの産物を我が子に押し付けていることになって、不具合が起こりやすいようです。子供側からすれば、塾のやり方にあわせてもらった方がよく、いろんな人間にいろんなやり方を言われてしまうと、まだ柔軟な思考力は育っていないので、厳しいです。

 

 僕が家庭教師で教える時は、教科書やその子のノートを見て、その講師のやり方にあわせるようにしています。僕なりに簡単なやり方も教えますが、まずはその塾にあったやり方をした方が適応しやすいのです。ですから、どのやり方でも教えられるようにこちらは用意しておかねばなりません。

 

 

 と同時に、余計な苛立ちを防ぐためにも、親御さんには僕のブログや他の方のブログなどを読んで、バランス感を養ってほしく思います。

 

 どうしても我が子だけを見ている親御さんは、他との比較が正しくできず無駄なイライラを感じ、それを我が子にぶつけてしまいやすいです。

 それで子の方が自己肯定感をなくしたり、過剰に塾やテストに緊張するようになったりして、伸びなくなっている主因となっているケースが本当に多いです。他を正しく見れれば、余計な苛立ちも感じないものです。

 

 となりの優秀そうに見える子も、それなりのことをやってきているものです。やっていないのに成績が上にいる、という子は100人に1人くらいのはずです。

 

 僕が思う子供側が小5近辺でつまずいてしまう主たる要因としては、次のようなものがあります。以前書いたものとは、違う角度で今日は書いてみます。

 

・前倒しカリキュラムが全盛期

 ……関東ではジーニアス、エルカミノ、グノーブル、など大手塾を追い落とす勢いのある個人系の塾が増えています。大手塾と同じ教科書のところもあるものの、いずれも独自のカリキュラムで大手の欠点を補っているものが多いです。

 

 基本的にどの塾もサピックスを意識していることを感じます。サピは言わずもがなですが、特徴としては、算数の進度が早く、この夏で5年生は比を習います。(浜学園と希学園、ジーニアスは、小4から小5の春に比をします)

 

 15年前、比をはじめて習うのは関東では小5の秋以降でした。今でも日能研などでは11月くらいのはずで、その辺でなんとかなっていました。2000年代になって、小5の夏休みに比を履修するサピが進学実績を大きく伸ばし始めます。小6開始までに算数を一通り全部終わらせ、小6の1年を演習にまるまるあてる関西圏のようなカリキュラムになっていたのです。(関西では社会の負担がない灘界隈の受験では昔からそうなっています)

 

 5・6年ほど前、四谷の予習シリーズが改訂され、それを意識したかなり前倒し内容に、しかも難度がややあがりました。このあたりから、他の個人系の塾も比を4年にやるところ、5年前半にやるところなど、いろいろと前倒しカリキュラムをするところが増えるようになりました。

 

 個人的には『比』は早く習った方が良いし、使えるならどんどん使っていけば良いと思うのですが、小4くらいでしっかり理解して使いこなすのは、上位層の子しか厳しいです。計算能力が高い子は、小4後半から小5が適しており、一般的には小5の夏が適していると思います。

 

 比をやろうと思うなら、公約数や公倍数、分数、割合をさらに早めに終わらせておかねばなりません。これが各子供に負担になり、小5の早い段階で挫折する子が増える要因となっています。これらのジャンルは基礎問題を多めにやって、『慣れ』ておかないと、算数の得意な子以外は厳しいものです。

 

 現在の関東の中学受験は、基礎演習の繰り返し部分が削られ、慣れる部分は家庭にまかせていて、塾の宿題だけではトップ層になりにくい現実があります。どの分野でもある程度の繰り返し基礎演習がないと、特に算数が苦手な子は伸びていきません。ご注意いただきたいところです。

 

 その代わりに、理社、とくに理科が軽視されている傾向を僕は感じます。理科が好きな子もずいぶん見かけなくなりました。理科離れを促進する状況にもなっていて、僕は日本の将来を思うと危惧も感じています。(逆に理科が得意だと図抜けやすいとも言える。東大の理系は理科が好きな子ばかりです。理科が好きなだけで少し受験が有利な状況になってもいます

 

 

・共働きなどで子供に十分な時間が割けていない

 ……これはある程度仕方がないことなのですが、最近では女性の社会進出も進み、お母様がうちのおかんのような単なるパートではなく、バリバリの仕事ができる社会人の方も多いです。ただ、稼げたり、社会的に地位のある仕事の方は忙しい方が多いもの。お子さんの勉強管理がうまくできないことが多いです。

 

 現在の中学受験は、子供単独で勉強できる仕組みにはなっていません。サピのαにいるような子も、少なくとも小4までは親がしっかりみているご家庭が多いです。(つきっきり、というのもトラブルになりやすい。つかず離れずのバランスが難しいが大事。そのバランスが達成できている家庭の子供は才能に関わらず必ず優秀)

 

 僕の実感としては、サピなどの大手塾では小5いっぱいまではフォローが要ります。他の記事でも書いていますが、フォローの必要具合が各塾によって違うのですが、その辺も考慮しておく必要があります。(サピがもっとも親の負担度が高い)

 いずれは、親の手を放さないと、中学で伸び悩みやすくなる側面もあり、難しいところです。

 

 子供は放っておくと無限にだらしない方向にいく生き物です。ある程度そのへんも管理していないと、性善説ではうまくはいきません。僕とて、小学校の間は強制力がないとできない子供でした。自分で勉強できるようになる年齢は人それぞれです。一生来ない子もいますが(笑)

 

 

・計算力、読解力、もしくは両方が不足している

 ……これはこのブログでもこれまでよく書いてきていますが、小5の4月までに計算力、とくに暗算力が一定のレベルまで達していないと、落ちこぼれていきやすいです。

 

 と同時に、最近の塾の模試では、小5の段階でも小6とほぼ同じ難度の問題がよく見受けられます。そのまま入試に出ても、難しい部類の問題です。

 このような問題が小5の模試から出始めるので、それを解きこなすには、問題文の読解力が必要にもなってきます。

 

 各人の読書量の差がここ数年、非常に大きくなったと感じます。大人も子供もです。

 

 読まない人は本当に1冊たりとも読まないし、読む人は(子供であっても)逆に読むなといっても読んでいます。

 ユーチューブやタブレットにずっとハマってしまっている子は中々本を読むようにはならないし、やはりだらしない方向に流れていきます。知能を高めるようなコンテンツには中々いかないことでしょう。それが中学受験にはダイレクトに影響します。

 

 低学年での、図書館通いや、図書室通いの習慣が、結構大事になります。これも、親がずっと忙しいと難しい場合もあるでしょう。子供が本を読む多くの家庭では、親御さんが本好きのことが多いです。大型書店や図書館に足繫く通っているご家庭も多いです。お子さんをそのような場所に縁させることも大事です。

 中学受験をスムーズに経験させたいなら、そのような意識も要ります。

 

 

 両親がどちらも仕事ばかりを優先させると、上位層は厳しいこともあります。子育ては甘くないです。僕はそのあたりのいろんな現実を見てきています。もちろん、共働きで、さらに優秀なご職業の方でも立派に両立されている方もいます。

 そのあたりのコツもなんとなくはわかるのですが、僕が家庭を持っていないので、感覚がイマイチわからない部分はあります。(わかったらまた記事にします)

 

 いろんな職業の親御さんを見るにつけても、ある程度の学歴をもって、自分で仕事を選べる環境に身を置きたいものだとも思います。

 

 どうしても仕事が忙しくて、そのあたりの面倒が見切れないなら、高校受験用に戦略をとる方がまだうまくいきます。高校受験であれば、子供の自覚もある程度期待できるし、少し長い期間で準備が可能です。(が、個人的には、学力的・環境的メリットは中学受験をおススメします)

 

 

 苦しい時期はどんな子の受験にもあるものです。その苦しい時期そのものが、その後の人生の糧となります。ちょっとしんどい時期が続いても、諦めずに頑張ってみましょう。そこに親子共々の成長があることでしょう。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

 

 夏のスーパーコンサルですが、現在、多くのご依頼をいただいておりまして、スケジュールが厳しい状態になっております。僕の体調面も考慮させていただき、8月上旬までのコンサルは現在決定しているものだけで一旦締め切らせていただきます。(関西コンサルはまだまだ大丈夫です)

 8月17日以降、関東に帰ってきていますので、それ以降のコンサルはまだ可能です。

 また、トラブルを避けるため、コンサル前日に僕の方からリマインドメールを差し上げることにしました。コンサル当日朝までに僕からのメールが届いていない方は、お約束していた時間等を明記し、お手数ですがご一報ください。

 

 

夏のスーパーコンサル2018、今年も始めました。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。ご希望の方はメールをくださいね。

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

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