夏にすべきこと(東大志望高校生編) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 すっかり夏休みに入ってしまいました。夏休みは長いだけあって、上にも下にも人生が変わりやすい時期です。どうせなら人生を上向きにする夏にしてもらいたいと思います。

 

 とくに我が母校のようなゴリッゴリの進学校では、そもそも休み自体が少ないし、宿題も多いしで、遊ぶ時間などありませんでした。中1から高2まで、数冊の読書感想文課題とプリントや問題集の束をこなすのに精一杯でした。(もちろん遊んでもいますが、そこも計画を立ててやってました)

 

 が、その中でも高1くらいから「実力模試」で点数をとれるように意識を徐々に変えていけたのが、その後の大学受験に生きています。

 

 今日は特にトップ校(主に東大)を目指すにあたっての高校生の夏休みに気を付けるべきこと、意識しておくと良いことを書いてみたいと思います。

 

 まず前提として、進学校の私立中高一貫を想定します。

 また、超上位校ではなく攻玉社や暁星、吉祥女子といった、「天才じゃないけど、そこそこ頑張ったら東大もワンチャンあるかも」的な子に最もあてはまる内容になるかと思います。

 

 「ああ、こんなもんで東大受かんのか」程度に思っておいていただければ幸いです。

 

 

・高1

 ……中高一貫の高1は中だるみが残っていてかつ、自由度もまだあり、部活でも主力ではなく、試される時期です。ただ、勉強の方は数学は数2、早いところで数Bのベクトルくらいまで進んでいます。これは、大学受験でもっとも雌雄を決する大事な分野にさしかかっていて、ここに初習でついていける子は半分いないとおもいます。

 

 ただ、まだ高1なので、どこかのんびりしてしまい、特に英数でよわいところがあってもスルーしてしまいがちです。もし、英数のどちらかでついていけていない感があるのなら、この夏でしっかり復習して十分な基礎力を身に着けた方が良いです。

 

 特に数2・Bは、理系文系問わず国立大学にいけるかどうかがそのまま左右される重要なジャンルです。内容が高度で具体で理解しにくく、平均点の低い分野が多いですが、そこをぐっとこらえて4ステップや青チャートをすることで一気に上位層に食い込むチャンスも生まれます。

 

 数2・Bは難しい内容を無理にする必要はありません。すでに概念自体が難しい分野なので、基礎的内容がしっかりできれば、平均よりは上にいきます。ですので、まずは教科書レベルをしっかり読みこんで、やるのが良いです。

 

 注意としては、公式ややり方の暗記などに走るのではなく、一つ一つの公理・定理をその証明からじっくり読んで理解していくことです。そうすることでイメージができ、難問にも対応できるようになります。

 

 僕もそうでしたが、数学ができない人間は、定理がなぜそうなっているのかを理解せず、公式をこねくり回してなんとかしようとするので、ひねられると全くできなくなってしまいます。

 

 結果、真面目にやっても伸びなくなり、きつい思いをすることになります。特に数Bからはその傾向が顕著になるのでご注意ください。高3までそのことに気づかない人間が大半で、今の日本の数学教育のあり方では気づきにくいようになっていると思います。

 

 東大生と偏差値的にちょっと下の大学との差はその辺のささいなものだったりもします。(数学を避ける→行けても早慶になりがち。国公立は厳しい)

 

 英語はこの段階で中学文法に不安のある子が多いです。これは論外です(が結構そういう子が多い……)。即、この夏くらいでつぶして置いたほうが良いです。これは中学時代の定期テストで真面目に問題集などをやっていると一切生じない問題なので、不安がある時点でどこかの時期でサボっている証明となります。

 

 ニュートレジャーなどの付属問題集すらやっていない子は、中1内容から全部片っ端からやると、必ずなんとかなります。新中学問題集の中3が手に入るならば1冊やるのも手です。これは、薄い問題集でも良いので、全範囲の文法問題を書いて、解いて、やってみればよいです。解かずに身につくことはありません。

 

 英検は最低でも準2級をとれるように勉強してみましょう。それがちょうどよい復習となります。最近では準1級くらいを目指してとる子が多いようです。が、東大に関しては長文は平易なので2級までで十分に対応できます。(ただ2級程度の学力はないとキツい)

 

 文法がある程度できているならば、そろそろ外部模試を意識して、単語帳に手をだしてみましょう。高1ですと「速読英単語入門編」ができるころです。(国立を目指すなら圧倒的おススメ。自信があるなら必修編でも可)

 学校でターゲットなどの単語帳が配られている方は、別のものをやってみるのも手です。システム英単語、DUO、データベース4500などこのあたりであれば、どれでも構いません。1日数個やるだけでこの時期からだと相当な学力になります。

 

 定期テスト以外でも点数や成績を残せるように意識していく頃合いです。ひとまず高2までは定期テスト重視が良いのですが、そろそろ全統記述などの外部模試を希望して受けてみましょう。(うちは全員強制だったw でもそこで気づいたことも多い)

 

 他には、出口汪さんの「実況中継シリーズ」などを読んで、外部模試の現国でも点数をとりにいくことを意識しておきましょう。高3になる前に現国のやり方が確立していると、非常に楽になります。

 

 とにかく高1では、「学校以外に何かをやってみる」というのが最重要事項となります。そのような強制のない、自主的な勉強は人生を変える力となります。

 

 

・高2

 ……進学校では修学旅行などがあって、その余韻などもある時期です。高3になったら修行僧のような生活が始まるので、高2のうちにちょっと遊ぶ、というのもまあアリはアリです。僕も6回の夏休みの中では、高2が一番遊んでいます。

 

 すでに理系は数3が終わりかけているころで、難しさに絶望感もある時期です。すべての勉強の難易度が上がり切り、どこから手をつけていいかわからないパターンもあります。

 

 また、できる子はすでにセンターで8割程度とれる子もいるし、逆にまったくできない子もおり、差が最も激しい時期です。ただ、ここで決意すれば、まだ偏差値50後半からでも東大は目指せるギリギリの時期です。

 

 国立を意識するなら、「大学への数学 1対1の対応と演習」をやっていくと良い時期です。高3では数2・Bをやれるようにしておきたいので、苦手な子も数1・Aはやっておくべきです。

 チャート派の人は、そろそろ解き始めないと、全問題をとききって受験を迎えることは難しくなります。毎日少しずつ青チャートあたりを解きはじめれば、数学で点がとれないことはなくなります。

 

 数学を得意にしたい方は、もう大学への数学の雑誌を購読してちょくちょく解いておくべきです。日々の演習のコーナーの6割くらいはできるようにしておかないと得意とは言えません。医学部志望生で現役で行きたいなら、この時期で不自由なく解けていないと、浪人は確定です。(あくまで国公立の、ですが)

 

 この時期で大事なのは、「自分を知っているか」ということです。どれくらいの努力をすれば、どれくらいの点数が上がり、どの程度の学力が現時点で自分にあるのか、を正確に把握しておくことが大事です。

 

 僕が思う超優秀な人とそうでない人との違いは、「自分の能力を正確にわかっている」かどうかです。

 

 僕の筑駒出身の友人などは正確にその時点での自分の能力・得意科目、東大への戦略を把握していて、ある種確信とふてぶてしいほどの自信をもって受験に挑んでいました。その高校時代の話を聞いて、「そりゃ勝てんわ」と呆れたのを覚えています。

 

 こと東大に限れば、

・センターレベルまではオールラウンダーで、

・二次レベルでは、何か一つ突き抜けたものが欲しい

 ということが言えます。

 基本オールラウンダーのほうが受かりやすいのですが、例えば、数学が苦手なら二次はゼロ点でも、他のもので7割以上とればリカバリーできます。このような戦略は東大でしか使えません。

 

 そのような「これ」という教科を作るのも高2の夏はアリです。世界史を武器にしたいなら専門書を読み漁るとか、理科オタクになるべく科学雑誌を読み漁るなど、いくらでもアドバンテージを広げることができます。高校レベルまでとけちけちせず、大学レベルまでやってしまうのがコツです。好きな教科があるとこういう時、有利です。

 

 

・高3

 ……まずはしっかりとした1日のルーティンを決め、10時間前後の有効なノルマを組むことです。8月はもう受験学年でいう後半戦にすでに突入しているのであり、残り期間は少ないと心得ましょう。

 

 できればここまでに自身の能力の程度を知り、足りない能力を全力で補うべきです。また、ここまでに志望校に必要な能力の程度を模試などで知り、わからないなら過去問を一度は見て、戦略を見直したほうが良いです。

 

 東大志望生は、東大模試という心強いツールを最大限生かしましょう。東大模試は、各予備校が威信をかけて東大の入試を研究して作成しており、いずれもクオリティの高い模試です。しかも完全に東大形式にアジャストされており、受験者も直接のライバルです。

 ここでの合否判定が全統などのものよりはるかに信憑性があり、こだわるべきものです。今の自分に足りない能力も分析しやすいです。

 

 僕はこれを過去問演習の代わりに受けていたので、自分では東大の過去問を一切やっていません。過去問をやるような時間的余裕は自分で感じていませんでした。ひたすら標準問題の演習をしています。

 

 また、大学受験の模試は返却が遅いのが特徴でもあるのですが、まあE判定(実は秋のものはE判定だった)でも淡々と欠点を分析し、直しています。あくまで練習で受けているので、本気ではありますが、ドライにも受けて止めています。

 模試では一喜一憂しないのが、受験では絶対です。

 

 また、僕の場合は恩師と一緒に分析してもらうことで(呼び出されたこともw)、今後の課題を洗い出してもらったりしていました。そこが進学校の良いところで、学年主任や担任の先生と分析することは大きなプラスをもたらします。東大生を自分の生徒から何人も出している進学校の先生とは比較材料も多く持っており頼りになるものです。

 7月末の東大模試は、夏休み明けにはすぐ返ってくるので、すぐに分析してもらっておきましょう。

 

 東大模試の場合、自己採点は時間の無駄なので(採点基準がわかりにくい)、返却を待てば良いと思います。すぐに自己採点してしまうのは心の弱さです。それをする暇があるのなら、英単語の一つでも覚えた方が良いです。そこは究極に合理的に考えておきましょう。

 

 センター模試ははっきり点数が出るので本番想定で自己採点をやっても良いでしょう。ただ夏のマーク模試はまだ範囲限定があったりするし、基礎力が完成していない場合も多いので、点数や判定は気にしすぎず、時間配分の練習として受けましょう。

 

 基本的に国公立志望生は、「毎日全教科をする」のが最良の演習法だと思います。ある日には数学をやって、ある日には英語、というようなやり方だと、記憶の連続性が途切れてしまい、感覚が戻るのに時間がかかり、効率としては悪いように感じます。

 

 まあこの辺も、自分にあった勉強スタイルを高3までに確立しておくべきもので、自分のスタイルがある方はこの限りではありません。僕は自分が現役の時にいろいろと試して、このやり方が自分にベストだったと確信しています。ということで、「毎日全教科少しずつ法」を試してみることをおススメしますが、絶対ではありません。

 

 また、ノルマ設定は「自分の限界よりやや抑えめ」を目指します。1日に「ネクストステージ」30問、「1対1」4ページ……のように具体的に決めていきますが、例えばこれが5時間で終わってしまったら、それは自分の能力を低く見ていたことになります。それは自分の能力がまだよくわかっていないのです。

 その場合は、少しノルマを上方修正して、1日に程よく疲れる程度にしておきます。おススメは1日10時間前後の勉強です。

 

 また、10時間のうち、自分は何時間よい集中力でできるのか、も静観して確かめておいた方が良いです。

 

 僕の理3の友人などは「正味何時間集中したか」しかカウントしておらず、それ以外の勉強時間は換算に入れない、つまり机の前に座っているだけの時間は勉強時間に入れない主義でした。そして、1日に「正味3時間前後」できれば良い方だとの見解を出してもいました。これが、限りなく低い方も多いのではないでしょうか。

 

 まあ、僕は集中してなくてもとりあえずなんとなくでもやっていればまずは良いと思うのですが、人間の人生は割と集中力で決まる側面はあると思います。そういう意味では、客観的に今までの生徒をみて、僕は記憶・思考の才能はそこそこなのですが、割と集中力は高い方でしょう。

 

 集中とはどうすればよいか、のやり方は自分なりに持っています。今も集中してブログを書いています。(最近は1つの記事が長くなってしまうので、へとへとになりますw)

 

 コツとしては、力みではなく、リラックスの先、没入の中に最高の集中はあります。僕は身体が元気で心配事がなければ、すぐに集中状態に入れます。どこででもです。それで電車を乗り過ごしたこともあります(笑)

 

 高3の1年を通して、自分なりの集中の仕方を見つければ良いと思います。それを模索できるありがたい期間であることを感じましょう。内進・推薦して、極限を経験しない人間には一生縁のない時間です。また、テキトーに人生を舐めている人間にも一生縁のない時間です。

 素晴らしく貴重な時間です。一生ものの「なにか」をつかむこともよくあります。とりあえず頑張れ。

 

 また、集中がどうしてもできない人もいます。僕はこれまでの指導経験から、そういう子にはいくつかの共通特徴を見出しています。家庭環境や内面に何らかの原因がある場合があります。

 

 精神的な安心感の欠如から集中できないことが多いです。気にしても仕方ないことをうじうじ考えたり、恥や外聞・他との比較により焦るのは意味がないことですので、論理的に自分の心から排除した方が良いです。そちらの方が集中できるでしょう。

 どうしても集中できない場合は、何かが原因となっています。自分の心を静観し、論理的に追い込んで、視点を変えたり、視野を広げると意外と簡単に原因が見つかることもあります。自分の心を見つめてみましょう。その辺も勝負のうちです。

 

 

 高3はとにかく「いかに悔いをなくすか」を徹底的に考えて、自分ができる限界まで努力はしておいた方が良いです。大学は、いくら学歴社会ではないといったってかなり人生を左右する要素です。良い学歴があって困ることはまずありません。

 

 学歴における「東大」などは、あるだけで人生の難易度がいくつか下がる感じがあります。目指す価値はある、とはっきり僕は言うことができます。苦労する価値はあります。

 

 若さにかまけて腐らせているその時間を、遊び半分でもいいので、すべて勉強に傾けてみましょう。それはそれで特権的で面白いものです。

 

 それでは皆様、よい夏休みをお過ごしください。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

夏のスーパーコンサル2018、今年も始めました。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。ご希望の方はメールをくださいね。

(※注 現在、多くのご依頼をいただいておりまして、スケジュール管理が難しい状態になっております。コンサル前日に僕の方からリマインドメールを差し上げますので、当日朝までに届いていない方は、お約束していた時間等を明記し、お手数ですがご一報ください。)

 

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

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