できない子をできるようにする | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 できない子をできるようにする、というのは大変なことです。教育の永遠のテーマだとは思いますが、この点が軽視されているように最近は感じています。

 

 サピや鉄緑会というような名門塾では、あからじめ程度の高い入塾テストを課し、「できる子をさらにできるようにする」塾です。

 そういう意味では進学校もそうなのですが、国から学校の認可を受けたところと、そうでないところを同列に扱うことはできません。よい進学校では概して、そのレベル帯の中での落ちこぼれをある程度引き上げる世話焼きはしてくれます。

 

 ただ、塾ではその必要がなく、落ちこぼれた子は弾いて、新しい優秀な子を入れればよいビジネスモデルになっています。実際にそうなっている気配を感じられる方も多いのではないでしょうか。

 これは善悪ではなく、そういうものなのです。教育機関ではないのですから。ここを勘違いしていると痛い目にあいます。

 

 もちろん、個人レベルでは教育熱を持った塾講師もおられます。僕が小学期のころの関西には、塾でしっかり躾もしてくれるところが多かったです。

 また、逆に最近では進学校でも落ちこぼれは弾き、高校入試で足りない分を補えばよい、という感覚のビジネスライクな進学校も見受けられます。経営としては正しいのかもしれません。

 

 ただ、本質として、学校と塾・予備校は違う、とだけ知っておいて頂ければと思います。

 

 できない子をできるようにする、というのは最難関です。塾でも、できない子たちが集まったクラスというのは、騒がしいですし、生徒がみんなストレス(勉強したくないという意味で)を抱えていますし、授業もしにくく、さらに高度な内容もできません。

 先生という生き物は、高度な内容をする方が、満足感を得られるものです。僕もたまにとんでもない秀才にあたると、わくわくしていろいろ関係ない(一応高度な)話をしてしまうこともあります。

 

 できる子をさらにできるようにする、というのは本当に教える側からすれば楽なのです。静かなので授業はしやすいし、教えたことをしっかり吸収してくれるので、成績も伸びやすく、こちらの作戦や戦略も立てやすいし、その立てた戦略どおりに行きやすく、結果、進学実績も出やすいです。(しかも優秀者を教える方が、なぜか時給も高い傾向)

 

 塾ですと、どういう子を教えても賃金は同じです。であれば、できる子を育てた方が良いというのは簡単にわかると思います。並み居る有名校にどんどん受かってくれ、講師・予備校側の進学実績も伸びていきます。

 

 できない子を教える方が、愛情も要りますし、粘りやこちらの心の強さも要ります。賃金は倍くらい欲しいという塾講師も多かったです。

 

 

 今日の本題はここからです。

 ですから、できうる限り「できる子」側にいた方が、生徒視点でもお得であるわけです。このような現状をみて、サピでも上位クラス、私立校でも偏差値の高い学校に行きたいと、親御さんも願っていることでしょう。

 

 ただ、僕が言う「できない子」とは、頭が悪かったり、成績が下位の子を指すのではありません。

 「精神的にいい風にもっていけない子」という定義です。結果として、成績が悪い子が多いのですが、上位者の中にも才能や親の幼児教育がたまたまハマって上位にいるだけのような、困った子が一定の割合でいます。

 

 つまり、成績の上下にかかわりなく、次からの気をつけるべきポイントが潜在的に存在するのです。

 

 この論理からは、できない子、とされる子が気をつけるべきポイントが見えてきます。そのポイントが気を付けられれば、良い環境がひとりでに自分の周りにでき、生活も変わってくるでしょう。

 また、外面上に表れる性質を変えることで、成績伸びやすくなります。

 

 できない子、というのは、年齢に関係なく、「の自分の行動が自分の未来を作っている」という視点が抜け落ちています。自分の一つ一つのまずい行動が、より自分を追い込むことに繋がっていくのです。

 これは勉強だけのことではないのでしょうが、勉強だと成績にはっきり表れるので、分かりやすいのです。

 

 気を付けるべきポイントは以下です。

①授業を邪魔しない

 ……これは本当に気を付けた方が良いです。できない側の子は、もちろんできないからこそのストレスを抱えていたり、授業も面白くないのでしょうが、だからといって、妨害行動をしてしまうと、本格的に不調和が始まってしまいます。

 

 確かに、表面上は他の子の方が「邪魔」に感じるものなのですが、長い目ではまわりまわってその「邪魔している側」が損をこきます。

 騒がしい源になっている子というのは、何かがあっても誰にも助けてもらえなくなるし、先生もどこかで反発心を持ってしまうので、問題があっても見逃されてしまいます。そのような子には、わざとアドバイスをしない先生も普通にいます。(心のどこかで辞めて欲しいと思っている場合も)

 

 その期間が長ければ長いほど、無為な時間をすごすことになり、数年後に大きな反動となって返ってきます。(そもそも受験もうまくいかないかも)

 塾時代の精神性・行為・発言が、高校時代に返ってくることもままあります。その因果のタームが長いので、気づかないだけです。

 僕は同じ子を小中高とみることが多いので、そのようなことにも気づくことがあります。

 

 何が妨害行動になるのか、を考えてみれば良いです。同じおしゃべりでも、授業を発展させるような有用なコメントもあります。(まあそういう子は優秀者に多いわけですが)それを考えるだけでも、その子にとっては進歩の礎となるでしょう。授業がつまらないのなら、他の子を邪魔するのでなく、黙って本でも読んでいてもいいわけですし(怒られるかw)

 

②指定された行動はやってみる

 ……素直さ、というのがトップの条件だという見解をこのブログでは何度か言っています。素直な子は、何事も不思議とうまくいきやすく、軋轢も生まないので周りも疲れたりはしません。

 

 僕は素直というのは高度な精神性だと思っています。これは、受験指導を通じて得た得心です。

 大人でも素直さがない人間の方が多いものです。また、注意する側の大人もできているかは自問自答せねばならぬものであり、難しいです。

 

 素直さはもてないまでも、「○○すればいいよ」と言われたことは、とりあえずやってみる、という精神性は欲しいところです。やってみてダメだったら、次にも行きやすいです。で、それもだめならまた次ということで、正解にぶち当たる可能性が高まる側面があるのです。

 

 親御さんの言うことが聞けない子も多いです。これは8割方の家庭がそうだと思ってもらえれば良いです。

 

 僕自身も学歴のない親の言うことは半信半疑の部分もありました。でも、その僕でも中学受験までは親主導で、親を信じてけっこう従ってやっています。中学の時にも親の策をヒントに、いろいろ試してもいます。そういう意味で、このブログで『関西のばばあ』とこきおろしてしまっている我がおかんにも、一定の敬意は持っているのです。

 

 うちに関して、なぜ親を信じるようになっていたのかを分析しますと、「偉そうじゃなかった」というのが挙げられます。うちのおかんは、何事にも、特に勉強には自信がなく、自信があるのは「子への愛情」だけと当時から言っていました。「あたしはよーわからんけど、」という発言をよくしていて、そのうえで「いいと思うからやってみんかい(シュッ)」と投げてきます。「うん」というのが僕ら兄弟でした。

 

 よく覚えているのは、数字のゼロ(0)が、6に見えてしまうという男子にありがちなミスをよく僕もやっていました。おかん発案で「上から(上から左回りに書いていた)シュッと書くからあかんねん、下からまるく書き」というアドバイスを、当時の僕は意外にもちゃんと守っています。そのことで言い争った記憶はありませんし、「えー?」ともなっていません。

 

 結果、ゼロを書くことに意識が行くので、ケアレスミスが減り、成績は伸びています。多くの家庭で見かけるような、「式かけ!」「問題文良くよめ」→「やっとるわ!」というようないい争いを我が家ではしたことがなかったのです。そういう意味では、僕ら兄弟は才能はそこそこでも、伸びる要素はあったと言えるのかもしれません。

 

③ひとまず運命を受け入れる

 僕もまわりが金持ちの子たちばっかりだったので、中学に入ってからは自分の運命や立場、境遇を呪ったこともあります。長男ですし、誰にも勉強のことが訊けない孤独な戦いでもありました。(だから同級生の存在が重要だった)

 

 中学受験時も、他の子は楽しそうに遊んでいるのに、自分だけなぜ? という感覚は兵庫県の田舎でもありましたので、強く持っていました。皆さんでも、「あの子はあんなにできるのに、自分だけなぜこんなにできないのか?」という感覚になることもあるかと思います。

 

 勉強以外の他の分野でも、呪ってしまうようなことはたくさんあると思うのですが、才能のなさも、境遇も、親(親側からは子)の状態も、「そういうものだから、しかたない」と受け入れてしまった方が早いと僕は思います。そこは変えようがないことであり、変えようがないことに対して、イライラしたり、嘆いたり、アレコレ思いのエネルギーを使っていること自体が非常に、もったいないことです。

 

 僕も絶望的に数学の才能がありませんでした。精一杯頑張っても30点台のこともあったので、「数学が悪くても入れる大学に行こう→東大」「せめて計算は速くしよう」「式はせめて丁寧に書こう」「基本部分点狙い」など、受け入れてから、新たな戦略が生まれています。

 自分の葛藤の中から生まれたものなのですから、自分にあった戦略に決まっていることは言うまでもないことです。

 

 ここの「開き直り」と、「運命の受け入れ」、そこまで「精一杯やってみる」、という3点セット(腹決まり)がない方が多いように感じます。受験を通じてでないと、うまく感じることはできないかもしれません。

 

 

 以上、できる子、できない子、と講師側からみて映るその差は、「精神的なもの」「ちょっとした行動の差」でしかないことが分かっていただければと思います。

 

 とりあえず、自分でこのようなことを意識するだけでも変わっていくことと思います。決意するのは、いつでも大丈夫です。また、何度でも決意していきましょう。

 

 このブログの訪問者が、よい夏を過ごしていただくことを切に願います。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

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