「東大のディープな○○」シリーズを最近に読みました。教え子が「数学」を持っていたのでまずは読んだ感じですが、いろいろと感じることがありました。今の受験事情を表す流れのようなものも感じることができましたし、若干、最近の中学受験は本筋からややずれ気味の傾向があるのだなとも思えました。
どうずれているかというと、「やり方を自分で導く」という作業があまり中学受験や高校受験には含まれないのです。そういう意味ではまだ関西のカリキュラムの方があるな、と先日の記事でも書かせていただきました。
暇がある方は読んでみるとなかなか面白いですよ。まず、数学編では最初に「加法定理」の証明からでした。
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
という高校数学では当たり前すぎるこの公式の証明を問うのです。これは1999年の理系の1番の(1)の実際の問題です。
まあ、「はぁー?」という問題です。受験生からすれば、「イチゴはなぜ赤いのですか」というような問いに近いです。当たり前すぎるのです。この証明自体は当時の教科書には書いていなかったそうです。それを受験生に「定義」させ、それを使って(2)を解きます。
別に決まった解答はなく、「自分で」考えて、「自分で」やり方を開発すれば良い感じです。そこに整合性があれば、点数をくれます。
公式をいくら暗記しても、そもそも公式の証明を問うてくるのですから、今の数学の授業を受けていても絶対に解けない問題です。このような問いが数年に1度出てくるのが東大の数学なのです。また、東大は他教科でも似たようなスタンスの問いが多く、そこが良い点とも言えます。本格的な思考力、論述力を問うのです。
僕にとっては、早慶のような重箱の隅を楊枝でほじくるような知識を問う問題よりも気持ちは楽に思えていました。
今の中学受験のカリキュラムでは、このような問題の対策は立てようがないでしょう。実は武蔵中の問題などが、このような東大の流れを汲んだ問題であると思うのですが、サピの子などは、武蔵を対策がしにくいといって避けてしまいます。
僕からすれば「本当に」頭が良ければ、パターン認識を繰り返す今の中学受験のカリキュラムの半分くらいでも同じくらいの学力をえることは可能だと感じます。
もっと「なぜ」こうなるか、「こうなったらどうか」という理由と予測、の練習をじっくり行えばよいし、文章を書かせて(相手に伝える際の)自分の理論に整合性を持たせる訓練をすれば、頭の中身の方が育ってくるでしょう。
それをせずに難しい問題も解法のパターンを叩き込む今の感じでは、成績の伸びない子は、ずっと伸びないことも「さもありなん」なのです。サピなどで伸び悩んでいる方のほとんどがアタマの中身を培わずに暗記に走っており、東大数学のような本格思考の傾向から遠ざかる感じがしています。最初はしんどいですが、思考を培うべきなのです。
アルファ(サピの上位クラス)にいるような子とそうでない子の差は、案外「なぜなのか」という感覚と「じゃあこうだったらどうか?」という二つの感覚の有無なのかもしれません。
ちょっとここ20年くらい東大数学の問題を自分で解いてみようかと、あの数学嫌いの僕が思えたのも不思議なところです。数学ガールのおかげかも?(笑)
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