ウルファ旅行に戻ります。
郊外のギョベクリテペやハルフェティを見たので、今日は市内を散策。
ここウルファは、預言者たちの街との異名を持つほど、旧約聖書やクルアーンに登場する預言者にまつわる場所、いうなればパワースポットがたくさんあります。
街のシンボル、バルックル・ギョルBalıklı Göl (魚のいる湖の意)は、預言者アブラハム(クルアーンではイブラヒーム)が火刑🔥になった場所で、世界中から参拝客が訪れるパワースポット。
あり?🤔
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
とゆーのも…、聖書とクルアーン🌙では、預言者たちの逸話には多少の違いがあり、この火刑のエピソードは聖書では言及されていません。
クルアーンによれば、偶像崇拝を否定するために神像を破壊したアブラハム(a.s.)👳♀️は、シュメールの王👑ネムルードNemrud (旧約聖書ではニムロド、バベルの塔を建てさせた人物)と口論になります。(雌牛章258、預言者章51-69)
👳♀️「私の神は生を与え、死を下す方だ」
👑「余も人を生かすことも死なすこともできる」
👳♀️「私の神は太陽を東から昇らせるが、あなたは西から昇らせられるのか」
👑「…!こいつを燃やしてしまえ!お前の神に助けてもらうといい」
ネムルードは巨大な焚き火🔥を用意させ、丘の上の巨大な投石機から、アブラハムを火に投げ入れよと命令!
ウルファ城に立つに2本の柱。これを投石機にして、アブラハムを火に投げ入れたとされている
アブラハムは、この写真↓右の建物の位置の火の中に落下しますが、
その刹那、神が「火よ、冷たくなれ、アブラハムの上に平安あれ」というと、アブラハムは火の中でまるで薔薇の園にいるように感じ、なんの害も受けませんでした。
火の中が薔薇園になった場面の細密画。後ろに先ほどの柱が投石機になって描かれています。塔にいるのはニムロド。
で、この逸話、トルコの伝承では、神のことばで火🔥は水に、くべられていた薪は魚🐟に変わり、バルックル・ギョルになった…と言われています。
バルックル・ギョルから見上げる、例の投石機になった柱
夜はライトアップされて、これまた雰囲気がありますね。
ウルファにはさらに、アブラハムの生誕👶の地でもあるんです!
アブラハムが生まれたのは「カルデアのウル」と伝えられており、それは現イラクのウル遺跡とする説が一般的ですが、トルコのウルファという説もあり…
バルックル・ギョルの近くには、彼が生まれたとされる洞窟があります。
アブラハムが生まれた年、再び登場のシュメール王ネムルード👑が、今年生まれる男児が将来王国を滅ぼすという夢を見たため、国中の男の赤ん坊を殺す命令👎を出しました。
それを避けようと、アブラハム(a.s.)の母親が隠れて出産し、7年間育児をしたのがこの洞窟↓
↑ここから湧く水は、メッカのザムザムの泉の次に神聖と言われています
アブラハムがウルファで生まれた説、トルコ人だけが言ってるんじゃなくて、
この洞窟の近くには、今でこそメヴリディ・ハリル・モスクMevlid-i Halil Camiiが建っていますが…
mevlidは"神聖なものの生誕"のこと、HalilはハリールッラーHalilullah(アッラーの友)のことで預言者アブラハムの異名。訳すならば「神の友の生誕モスク」。
この場所には、記録が残っている限りでセレウコス朝時代(前3世紀)から神殿があり、その後もシナゴーグ🕍、教会⛪️、正教会の教会が建てられたそうで、昔から聖なる場所とされているのを見ると…それなりの信憑性がありそう。
1523年からモスクが建ってますが、現存の建物は19世紀に修復されたものなので見た感じあんまり歴史を感じない〜
ちなみに、アブラハムが神に約束されたイスラエルの「カナンの地」を目指す途中で住み着いた、聖書にも登場する「ハラン」とは、議論の余地なくウルファ近郊のハラン村Harranのことです。
今回は行かなかったけど、13年前に行きました。
これ以外にも、聖書のヨブ記でおなじみのヨブ(イスラームではアイユーブ)もハラン生まれで、彼が試練の皮膚病に苦しんだと言われる洞窟も、ウルファ市内にあります。
クルアーンでは、試練に耐えたヨブ(a.s.)の信仰心を認めた神によって、水が湧き出て、それで体を洗うと皮膚病が治るのですが、その万病に効くと言われる聖水、私も飲みました!
おかげさまで今日まで元気です
というわけで、聖書やクルアーンの世界がそのまんまのウルファなのでした。