M.D.鬼多島!!!!!
無認可医療施設『M.D.鬼多島』に、今日も一人の患者が訪れる。
「あの……先生、ここは医者ですか?」
男は弱々しく目の前の医者らしき男に話しかける。
「何を言う。この場所は医者じゃない。この私、『鬼多島 泰二』こそ医者だ」
その言葉を聞いて男は一瞬安心そうな素振りを見せたが、どこか具合が悪いのだろう。また表情を曇らせ震え出した。
「どうも、悪寒がして、何だか体の節々が痛むのです……」
「ふむ……熱はあるのか? ちと測ってみよう」
鬼多島はそう言うと男の額に手を当てる。
「……熱は……39度6分か……。ちと高いな」
「……って、それだけで分かるんですか?」
「当たり前だ。触診も出来ずに医者が名乗れるか」
「いや、触診で熱を正確に測れる人は始めて見ましたが……」
男は唖然としたが、また再び震え出した。
鬼多島は聴診器を取り出し、男の体にそれをあてがう。しばらく男の体の音を聞くと彼は渋い表情を浮かべた。
「……これは……インフルエンザっぽいな」
「そうですか」
原因が分かり、男は震えながら安心げな表情を見せた。
だが……!?
「さて、早速オペ始めるぞ」
「ええ!?」
その鬼多島の言葉に、男は耳を疑った。そう、確かに鬼多島は言った。『オペ』と!
「まさか、インフルエンザで、オペって一体なんですか!?」
「馬鹿者! オペと言ったら手術(オペレーション)に決まっておろう!」
男は問答無用でストレッチャーに乗せられ、全身麻酔をかけられて意識を失った。
男が目を覚ましたのは、翌日の夕方だった。彼の前には、あの鬼多島が立っていた。
「気分はどうかね?」
鬼多島が男にこう問いかける。
「……一体、どんな手術をしたんです? インフルエンザなんて薬で治せるのに……」
「勿論、ウイルスに感染した臓器を直接消毒したのだ。わざわざ噂のタミ○ルなんかに頼る必要もなく、手っ取り早く治すことが出来るのだぞ!」
「って、何故そこまでして手術に拘るんですかっ!!」
「馬鹿者、 効果や副作用が良くわからない薬を使うよりも、直接目で見て原因を取り除く方が、最もリスクが少ないだろうがっ!」
「手術のリスクは考えないのかアンタはっ!」
鬼多島 泰二。たとえどんな病気でも直接体の中を自分の目で見なければ気が済まない手術狂の無免許医者。
人は彼を『M(マッド)D(ドクター)鬼多島』と呼ぶ!!
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久々のM.D.鬼多島登場です。
そろそろインフルエンザの季節。鬼多島にオペされないよう健康管理には気をつけてください(笑)
鬼多島 泰二の犯罪記録