M.D.鬼多島!!! | 若端創作文章工房

M.D.鬼多島!!!




 無認可医療施設『M.D.鬼多島』に、一人の女性客が訪れていた。

 女性の容姿と言えば…明らかに太っており、胸よりも腹部の方が自己主張をしていると言った感じだった。

「あの…先生。私、いくらダイエットしても効果ないんです。こんな私でも、モデルのようにスレンダーな体型を手に入れる事が出来ますか?」

 話を聞いていた鬼多島は、こう答える。

「…なるほど。つまり、スリムな体型になりたい、と」

「無理ですよね?」

 女性は半ば諦めかけていた。だが、鬼多島の答えは違った。

「私に…いや、私の手術に不可能などあるかっ」

 女性の表情が急に明るくなった。次の瞬間である。

「じゃあ、早速オペ始めるぞ」

 言うが早いか、女性はたちまち全身麻酔をかけられ意識を失った。



 女性が目を覚まし、自分の身体を見る。そこにはボンレスハムのような今までの身体は無く、さながらモデルのようなスリムなボディーが目に映った。

「うそ…これが私の体? 信じられない!」

 女性はゆっくり身を起こし、美しくなった自分の体を嘗め回すように見つめる。

 女性は新たな美しい体に酔いしれていた。

 そして、彼女は喜び勇んで自分の体重を確認する。


「……なにこれ……」


 そう、体重は手術前と全然変わっていなかったのである。

 鬼多島が病室に現れたのは、丁度その時だった。

「どうやら手術は成功したようだな」

「って、体重が全然変わってないんですがっ!?」

 女性が鬼多島に詰め寄る。だが、鬼多島はこう返した。

「私がオペしたのはお前さんの望み通り体型のみだ。体重を減らせなんて聞いて無いぞ」

「って、普通体重減るでしょっ!」

「馬鹿者、体重を減らさずに体型を変える事自体、高い技量が必要なのだぞっ!」

「いや、そういう問題じゃないでしょっ!!

 更に女性が詰め寄る。その瞬間、病室にもう一人の太った女性が現れ、同様に鬼多島に詰め寄ってきた。

「ちょっとォ! 何で全然体型が変わってないのよッ!!」

「ああ、確かお前さんの要望は『体重を減らしたい』だったな。望み通り体重のみ減らしたぞ。まぁ、オペとしてはかなり楽な部類だったが…」

「つ~か、普通両方だろがッ!!」


 

 鬼多島 泰二。彼の手術には、ある意味不可能は無いが、明らかにその技術を無駄遣いしている手術狂の無免許医者。

 人は彼を『M(マッド)D(ドクター)鬼多島』と呼ぶ!!


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 久しぶりに鬼多島の単独登場です。


 まぁ、無理にダイエットや美容整形するより、自然なままの方が一番、と…そういう話じゃなくて!?(爆)



 新たに『マッド達の饗宴』と言う名のテーマを立ち上げました。(笑)