本日は御大の大出世作にして1975年アカデミー作曲賞初受賞作品

(編曲賞を受賞した屋根の上のバイオリン弾きを除く)

ジョーズのサントラ解説をします。

 

ジョーズ 25周年エディション 完全版

 

これはもう大傑作であり、よもや知らない人は居ないであろうレベルですが、

まぁ、サメ映画です。

いや、言い切るのは違う。

サメ映画にジョーズは含まれないという論法もある。

 

サメ映画というからには、

・サメが空を飛んでくる

・サメの頭がなんか増えてく

・常軌を逸してでかい

・なんか知らんけどナチが乗って月の裏から攻めてくる

といった荒唐無稽な要素が欲しいところですが、

ジョーズはちゃんとした映画なのでそのどれにも該当しません。

 

そんな与太話は良いとして、

ジョン・ウィリアムズはこの作品で映画音楽界の巨匠の地位を確保し、

スピルバーグは名監督の座を確保した歴史的作品です。

テーマ曲はもはやパロディの定番元ネタのレベルで誰もが知っているもので、

世界2大「ミとファの曲」に数えられます。

もう一つは「ミファーのテーマ(ゼルダの伝説ブレス・オブ・ザ・ワイルド)」です。

 

ジョーズのテーマは

♪ミーファッ ミーファッ ミーファッミーファッ ミファミファミファミファ・・・

です。

 

因みにミファーのテーマは

♪ミーファミーファミーファミー 

です。

 

ジョンからジョーズのテーマをピアノで聴かされたスピルバーグは、

冗談かと思ったそうですが、ところが彼は大真面目でした。

そして今や音楽の教科書にも載っている名曲が出来上がりました。

 

 

このサントラを手掛けるに当たってジョン・ウィリアムズは

ドビュッシーの「海」を参考にしています。

すなわちこのサントラは印象主義音楽的な傾向が強くなっています。

スターウォーズ等にみられるライトモチーフは存在せず、

明確にテーマ曲と言えるものは「サメのテーマ」だけです。

むしろ他にテーマ曲を明確に設けないことで

サメのテーマを際立たせているのだと思います。

 

サメのテーマの他にオルカ号のテーマらしきフレーズもありはしますが、

あまり明確な印象はありません。

 

 

では、楽曲解説に入ります。

 

 

1.メイン・タイトル~最初の犠牲者

ジョーズのメイン・テーマです。

テーマ名としては「サメのテーマ」です。

低音のミファミファが迫ってきて、緊迫します。

海で一番聴きたくない2音です。

すぐに入ってくる甲高い音のメロディはまさかのチューバです。

御大はチューバ奏者を殺しにかかっているかも知れません。

こんな甲高い音のチューバが聴けるのはこの曲と、

ラヴェル編曲の展覧会の絵のビドロくらいのものです。

もっとも、あれはユーフォニウムで演奏されがちですが。

 

メイン・タイトルの後に、金髪のクリシーが犠牲になります。

 

  

2.からのゴムボート

サメのテーマが緊迫した感じで演奏されます。

もっとも、このテーマは常に緊迫していますが。

 

 

3.埠頭での事件

これもサメのテーマです。

 

 

4.檻の用意!

映画終盤のオルカ号のシーンで、檻を組み立てるシーンです。

彼ら3人の活躍するシーンは、テーマ曲と言うよりもフーガで表現されています。

3人の行動がフーガのように織りなされ、物語が展開していきます。

 

 

5.サメの襲撃

もちろんサメのテーマです。

このサントラはそうとしか言いようがない曲が多いです。

12曲収録の当初版であればもう少し語りようもありますが。

しかもこの曲は映画未使用なんですね。

語りようがない。

  

  

6.夜の大追跡

オルカ号の夜です。

ジョーズの気配がします。

 

 

7.海開き

フェリーでアミティ島に観光客がたくさんやってきました。

アミティ島の夏が始まります。

しかしアミティ島の海にはサメが居ることを我々観客は知っています。

こんな能天気に明るい曲を流している場合ではないのです。

当初版のサントラには鮫のごちそう達という

不謹慎極まりない素敵なタイトルが付けられていました。

 

 

8.父と息子

ブロディ所長と息子との交流の様子を描写しています。

後半は使われてないです。

 

 

9.入江へ

ブロディ所長は子どもたちに入江で遊ぶように懇願しましたが、

その入江にサメが入り込んできました。

もちろんサメのテーマが流れます。

 

 

10.サメ狩り

オルカ号が港を出港するシーンです。

一世一代の大勝負的な深刻な出だしの曲ですが、

すぐにクイントのコミカルな感じを描写した音楽に変わります。

 

沖に出るとサメ退治の準備に入りますが、

サメ退治のフーガが流れます。

 

 

11.一番銛!

サメとの死闘を描写しています。

フーガ調のフレーズがかっこいいです。

後半のトランペットのパッセージもキリッとしていてかっこいいです。

このサントラで一番の聴きどころです。

サメとの闘いもこの時点では好調ですね。

 

 

12.軍艦インディアナポリス号の悲劇

史実ベースのクイントの過去が語られます。

クイントは戦時中、広島へ落とす原爆を運ぶ極秘任務を遂行し、

その帰りに魚雷を見舞われてサメだらけの海に放り出されたのだそうです。

そこで仲間が次々とサメの餌食になったのだといいます。

彼の暗い過去を語るサスペンス調の曲です。

 

 

13.パニック

ブロディ署長とサメとの死闘です。

サメのテーマです。

 

 

14.浮き上がるバレル

サメに打ち込んだバレルが浮いてきたので、それを追いかけます。

サメのテーマです。

 

 

15.ブイを追え

かっこいいフーガで始まり、サメのテーマが追いかけてきます。

明るい兆しも聞こえてきます。

これもこのサントラのハイライトと呼べる曲ですね。

 

 

16.3つのバレルの元で

バレルの下にやつはいます。

居るはずですが、不気味に息を殺して姿を見せません。

そんな曲です。

 

 

17.攻撃の合間に

これは言わばクイントのテーマと呼べそうな曲です。

彼の人柄を表現しています。

 

 

18.サメに接近

これはもうどこからどう聴いてもサメのテーマです。

ストヴィンスキー的な前衛的な感じで曲が発展していきます。

 

 

19.最後の闘い

クイント&ブロディ署長とサメとの最後の死闘です。

流石のアクションスコアです。

フーガも流れてきて、今までの曲調全部盛りといった感じの曲です。

最後にハープが華麗に流れてきて、闘いの終幕を告げます。

 

 

20.エンド・タイトル

戦いは終わり、海に静けさが訪れました。

当初版のサントラでは静かな海とタイトルが付けられています。

ブロディとフーパーがかろうじての勝利を喜び合います。

 

当時の映画はエンド・クレジットは簡易的なものでしたから、

とても短い曲です。

エンド・クレジットが今のように長くなるのは、

2年後のスター・ウォーズからです。

 

 

 

ジョーズのサントラ解説は以上です。

 

 

ジョーズはこの後続編が3本作られましたが、

ジョン・ウィリアムズはこの次のジョーズ2まで音楽を担当しました。

 

ジョン・ウィリアムズはこの後もアカデミー作曲賞を獲得しており、

次回受賞はスターウォーズ

  

その次がE.T. 

 

そしてその次がシンドラーのリストとなっています。

 

というわけですので、次回サントラ解説はシンドラーのリストです。

 

の前に1枚だけサントラ以外のを挟もうかと思っています。