
39.スピンオフ作品群 概説
7か月ぶりのスター・ウォーズの音楽論は、スピンオフ作品群、概説です。
広大です。
来年50周年を迎えるスター・ウォーズは数多くのスピンオフ作品を生み出してきました。
その全てを解説するのは私には無理ですが、解説すべき作品は沢山あります。
まずは、スピンオフ作品群を音楽的流れで俯瞰してみようと思います。
なお、ゲーム作品の海はさすがに広大過ぎて私には泳げないので、
帝国の影一つを除いて無視させて頂きます。
また、スター・ウォーズのスピンオフ作品はほぼジョン・ウィリアムズではないので、
本ブログのタイトルからは逸脱する事を予めお知らせしておきます。
オリジナル3部作時代のスピンオフ作品
まずは、スター・ウォーズのスピンオフ作品を語るにおいて無視出来ない伝説の作品がありますね。
スター・ウォーズ・ホリデー・スペシャル (1978年)
スター・ウォーズ1作目の大ヒットを受けて制作されたこの名作 迷作は、
たった1回本国でTV放送されたのみで、歴史の闇に葬り去られている事で有名です。
レイアが何故か唄っていたり、アニメが挿入されたりの謎シーンが多いこの作品ですが、
音楽的には語るべき事は何もないのですっぱり本記事に於いては切り捨ててしまいます。
本映像を全編観たければ、広大なネットオークションの海で稀に出品される質の悪い海賊版(要するに誰かが録画してたのを焼いたやつ)に手を出すしかないでしょう。
あれ?筆者が映像の中身を把握しているのはどういう事だろう?
まぁ、そういう事です。
ホリデー・スペシャルで痛い目を見たスター・ウォーズはしばらく大人しく本編だけを製作する事にしました。
そして3部作を公開し終えた翌年の1984年よりスター・ウォーズ・フランチャイズは新たな2作のスピンオフ作品を世に送り出します。
イウォーク・アドベンチャー (1984年)
エンドア/魔空の妖精 (1985年)
作曲担当はピーター・バーンスタイン。
ググっても彼の情報は全然見当たらないので人となりは謎です。
同姓同名のジャズ・ギタリストの情報しか見当たりません。
また、残念ながらサントラは発売されていません。
本編で音楽に耳を傾けると、シンフォニックでジョン・ウィリアムズの作品を踏襲して作曲された事がよく分かります。
また、当然と言えば当然ですが、ジョン・ウィリアムズのイウォークのテーマなどが引用されてもいます。
次の作品はアニメが2作。
ドロイドの大冒険 (1985年)
イウォーク物語 (1985年~1987年)
すみません、未視聴でよく判らないので飛ばします。
あまり評判が宜しくないのはお噂ではかねがね。
もちろんサントラも未リリースです。
知っての通り、ここからしばらくスター・ウォーズは氷河期に入ります。
リリースされるのは膨大なスピンオフ小説のみ。
当然ながら小説に音楽は付いていません。
新三部作時代のスピンオフ作品
1997年、スター・ウォーズは永い眠りから目覚め、オリジナル三部作の特別編を世に送り出します。
一方、スピンオフ作品としてはメディア・ミックス作品を発表しました。
スター・ウォーズ 帝国の影 (1997年)
小説、ゲーム、コミック、サウンドトラックの多メディアで展開されたこの作品は、
ジョエル・マクリーニー作曲の音楽がロイヤル・スコティッシュ管弦楽団の演奏でレコーディングされ、NINTENDO64で発売のゲーム内でも同音源が使用されました。
私はNINTENDO64を所有していなかったので本ゲームは未プレイですが、サウンドトラックはジョン・ウィリアムズの作風を完全に踏襲しており、聴き応え抜群です。
スター・ウォーズ10枚目の本編音楽として扱っても良いレベルです。
エピソード2(2002年)を公開した後には、エピソード3(2005年)へのブリッジとなる2Dアニメを公開します。
クローン大戦 (2Dアニメ版) (2003年~2005年)
グリーヴァスのデビュー作となるも、レジェンズ送りにされたこの悲しい作品は、
ジェームズ・L・ヴェナブル、ポール・ディンレティールが作曲担当をしています。
この二人も詳細がよく判りません。
とりあえずはスター・ウォーズ本編の音楽を引用しがちで音楽を組み立てています。
サントラはリリースされていません。
そしてエピソード3公開によりサーガの円環が閉じられ、スター・ウォーズ・ロスに沈んでいた我々の元に、運命の名作、運命の作曲家が降臨します。
クローン・ウォーズ (劇場版) (2008年)
作曲はケビン・カイナー。
基本的にはジョン・ウィリアムズの本編音楽を踏襲していますが、
各テーマ等を再解釈し、もはやケビン・カイナー節であるといえる曲作りをしています。
このサントラはCDが発売されています。
ケビン・カイナーはそのまま
クローン・ウォーズ (シーズン1~7、2008年~2020年)
の音楽担当を続投し、更には反乱者たち、アソーカ、バッドバッチ、「テイルズ・オブ・~」シリーズ、モールの音楽を担当し、スター・ウォーズ・スピンオフの音楽の帝王として君臨する事となります。
ディズニー買収の大騒動
2012年秋、クローン・ウォーズの出来の良さに満足し、それなりの充足感を得ていた我々スター・ウォーズ・ファンに激震が走りました。
ルーカスによるディズニーへの身売りです。
よもやスターウォーズの冒頭にシンデレラ城が!?
そして明らかな蛇足であるといえるエピソード7以降の映画製作発表。
(※筆者はその“大いなる蛇足”を全力で楽しむ事に決め込んでいる派ですのでその事自体に否定的意見を持ってはいません。)
ここからディズニー資本による怒涛のスピンオフ祭りが始まりました。
今まではせいぜい湾内で優雅にクルージングしていたスピンオフでしたが、遂に大海へ繰り出した格好となります。
とっ初めに、ディズニーさんは脂の乗りきっていたクローン・ウォーズに引導を叩きつけました。
この時全クローン・ウォーズ・ファンがこう思った事でしょう。
ディズニー、この野郎と。
そしてその代わりにディズニーチャンネルで開始されたのが
反乱者たち(シーズン1~4、2014年~2020年)
始まった頃は明らかにクローン・ウォーズよりもディズニーナイズされた作風のアニメでしたが、シーズンが進むにつれて重厚さが増し、最終的には万雷の拍手で幕を閉じました。
これはクローン・ウォーズに引き続きケビン・カイナーが音楽担当を務めました。
シーズン3と4はiTunesで配信販売されています。
2015年には本編である
フォースの覚醒(2015年)
が公開され、ある意味これもスピンオフであると言えなくも無いですが、
さすがにナンバリング・タイトルは本編としておきましょう。
本編映画は1年おきに公開され、その合間の年にはスピンオフ映画が公開されました。
そして2016年に大傑作が誕生します。
ローグ・ワン (2016年)
スター・ウォーズ史上最高傑作との名高いこの名作は、エピソード4のオープニング・クロール内のたった1文節の実写映画化となっています。
もうファンが観たかったやつ全部見せてくれてる快作。
この素晴らしすぎる映画の素晴らしすぎる音楽を書いたのはマイケル・ジアッキーノです。
もはや神です。
ご本尊ジョン・ウィリアムズにはさすがに及びませんが、 ライトモチーフの使い方が完璧すぎます。
このサントラはCDが発売されています。
その2年後のスピンオフ映画は
ハン・ソロ (2018年)
あまり世間的評価の芳しくないこの作品ですが、実はそう悪くはない出来であるのでファンの評価はなかなか宜しいのではないかと思います。
監督交代のドタバタと公開タイミングが残念だっただけの可哀そうな作品。
音楽はテーマ曲をジョン・ウィリアムズ御大が提供し、ジョン・パウエルがそれを基に劇中スコアを展開しています。
ヒックとドラゴンを書いた作曲家の手腕はなかなかですが、彼のオリジナル・テーマも聴いてみたかったところではあります。
同じく2018年にはジョン・ウィリアムズ御大が新たなスター・ウォーズ音楽を世に送り出しました。
スター・ウォーズ・ギャラクシーズ・エッジ (2018年)
ディズニーランド内に新設されたスター・ウォーズのテーマ・パークのテーマ曲を書き下ろしました。
これはiTunesで買えます。
同じく2018年からディズニーXDで配信されたアニメが
レジスタンス(2018年~2020年)
これはシーズン2まで配信されましたが、なんだか中途半端に終わっています。
音楽はマイケル・タベラですが、あまり印象に残っていないのと、サントラは発売も配信もされていません。
さて、クローン・ウォーズですが2020年にディズニーによりシーズン7が製作配信され、クローン・ウォーズ・ファンは溜飲を下げる事となりました。
良かった。
出来も素晴らしい。
そのシーズン7のサントラはCDが3枚に分かれて発売されています。
マンダロリアンの大躍進
2019年末、スター・ウォーズ・ファンに一大転機が訪れます。
本編至上主義が覇権を成していたスピンオフ界に孤高の大傑作が生みだされました。
マンダロリアン(シーズン1~3、2019年~2023年)
スター・ウォーズ本編の作風とは一線を画し、主人公は映画本編シリーズには一切出て来ない、知らないマンダロリアン。
そして謎に愛くるしいヨーダの種族の赤ちゃん。
今までのスター・ウォーズのスピンオフ作品の文脈では決して生まれなかったであろうこの作品は、未曽有の傑作として古来のファンにも受け入れられ、同時に新規のファンも開拓する事となりました。
この作品よりディズニープラスの時代の幕開けです。
そして音楽を担当しているのはルドウィグ・ゴランソン。
41歳にして既にアカデミー作曲賞を3度受賞し、飛ぶ鳥を落とす勢いの気鋭の作曲家です。
なお、アカデミー作曲賞を4度受賞しているジョン・ウィリアムズが初めて受賞したジョーズを作曲した歳は43歳でした。
御大越え待ったなし。
この音楽が画期的なのは、スター・ウォーズの音楽の文脈を意図的に完全に無視している事。
もう音楽性も編成も全っ然今までのスター・ウォーズでは無いんですよ。
一切旧作のライトモチーフが登場しない。
もう明らかに意図的に登場させてない。
それでいて出来が素晴らしい。
そしてですよ。シーズン2の最後に満を持して完璧なタイミングでフォースのテーマを引用するわけです。
痺れました。
音楽作りが完璧すぎる。
このサントラはiTunesで配信販売されているのと、作曲者本人のYouTubeで全曲配信されています。
2021年にはマンダロリアンのスピンオフ、すなわちスピンオフのスピンオフが配信されました。
ザ・ブック・オブ・ボバ・フェット (2021年)
あまり評判が芳しいとは言えないこの作品ですが、ナブーN-1スターファイターの登場、R5-D4の活躍、モス・エスパの戦いなど、ファン歓喜の映像も盛りだくさんでした。
ボバ・フェットのモチーフってオリジナル映画では超地味ですが、本作ではルドウィグ・ゴランソンによりかっこいいテーマが書き下ろされています。
これもiTunesで買えます。
そして今年2026年、いよいよ待望の
マンダロリアン&グローグー
が公開されます。
音楽はもちろんルドウィグ・ゴランソン。
大期待です。
ディズニープラスの大暴れ
マンダロリアンから始まったディズニープラス時代ですが、
あまたのスピンオフ作品が大放出されています。
ほぼ全部観てはいますが、さすがに全音楽までカバーしきれない勢いです。
ざっといきます。
バッドバッチ(シーズン1~3、2021年~2024年)
クローン・ウォーズの続編です。
従いまして、音楽はケビン・カイナー。
音楽がやたらとかっこいい。
ビジョンズ(シーズン1~3)
色んなスタジオに自由に作らせたオムニバス・シリーズです。
音楽はエピソードによりばらばら。
シーズン1はiTunesで配信されてますが、これまで買いだしたらキリがない・・・。
オビ=ワン・ケノービ (2022年)
テーマ曲をジョン・ウィリアムズ御大が提供しました。
ハン・ソロといい、オビ=ワンといい、映画本編で御大がテーマ曲を提供せずに終わった主要人物のテーマ曲を補完している格好です。
本編スコアはナタリー・ホルト&ウィリアム・ロスの作曲です。
テイルズ・オブ・ジェダイ(2022年)
テイルズ・オブ・エンパイア(2024年)
テイルズ・オブ・アンダーワールド(2025年)
ケビン・カイナーの作曲で、iTunesでサントラが配信されています。
短いエピソードを集めたオムニバス的な作品です。
キャシアン・アンドー(シーズン1~2、2022年、2025年)
ローグ・ワンの前日談です。
これも大傑作。
音楽はニコラス・ブリテル。
シーズン2の最終話のエンド・クレジットでファンが大いに涙腺を刺激される事となりました。
アソーカ(2023年)
反乱者たちの実写版続編と言える作品。
ケビン・カイナーの音楽も円熟味が出ております。
ヤング・ジェダイ・アドベンチャー(2023年~2025年)
すみません、フォースに身を委ねて鑑賞出来れば良いのですが、いかんせん子供向け感が強すぎて筆者のフォースでは足りていない模様です。
3話しか観てません。
ごめんなさい。
アコライト(2024年)
なかなかの名作でありながら、視聴数が伸びなかったために打ち切りが宣告されてファンを落胆させた作品。
視聴数が伸びなかったのは多作過ぎて鑑賞時間が足りてないだけだと思うんですよねぇ。
音楽はマイケル・アーベルス。
スケルトン・クルー(2024年)
スター・ウォーズ版グーニーズといった快作。
とにかく観やすい。
音楽はミック・ジアッキーノ。
マイケル・ジアッキーノの息子です。
モール(2026年)
現在配信途中であるアニメ。
すみません、忙しくてあまり観られていません。
音楽はケビン・カイナーではあるのですが、ここに来て息子のショーンと娘のディーナが参戦してきました。
今のところ以上です!
フォースと共にあらん事を!


