タイトルの『シャドウワーク』(𠮷野竜平監督・脚本/原作=佐野広美)とは、意味としては「影の仕事、闇の仕事」ということになる。つまり、表ざたには出来ない仕事であるということは察せられる。表向きは、共同で農業を営んでいるように見える女性たちだけれども、実は彼女たちはいずれも夫や恋人、あるいは父親などからの暴力、いわゆるDVを受けて、そこから逃れてきた女性たちなのである。
風光明媚な三浦海岸のとある古屋敷で共同生活を営みながら、そんな女性だけが集まってシェルターの〈おうち〉でのつながりというか生活は、一見平和そうなのだが…。そのシャドーワークは、衝撃的なモノでもある。
実はそこで行われていた、もう一つの仕事つまり「シャドーワーク」というのは、いわゆる交換殺人であり、殺したいほど憎いDV男たちを何らかの形で殺害していくのである。それは事故死や病死などがほとんどだ。
そして、それが決して外部にはバレないという仕組みもあったのだ。そこに、千葉県の房総海岸で発見された自殺と思われる女性の死体が上がるのだが、それを追及していた女刑事は、どこかにしっくりといかないものを感じる。そこで、それを探っていくうちに〈おうち〉の存在を知ることになる。そして、彼女もまた、エリートと言われている刑事の夫のDVに悩んでもいたのである。そんな女刑事の正義と自身の身分と、周囲との関係性などの狭間の中で、組織の力にも悩まされることになっていく。
そんな中で〈おうち〉のスタッフと会っていくうちに、見えてきたこともあったという展開になる。観ていきながら途中からは、果たして、どんなフィニッシュに落ち着くのだろうかという思いが強くなってきた。この〈おうち〉での影の仕事が摘発されて、すべては終わってしまうのか、それをどう処理していくのだろうかとも考えていたのだ。ところが、そんな心配をよそに、ストーリーは思わぬ展開になっていったのである。
彼女たちの〈おうち〉でのシャドーワークが果たして、正義なのかどうかはわからない。だけど、確かに自分にとってはいなくなって欲しい人間というか、この世にいることを許したくない人間がいることも確かなのである。それは、男であろうが女であろうが、その性別に関係なくということもあるだろうとは思う。
映像としては穏やかな景色が映し出される中で、その中で展開されていくことの闇の仕事の冷徹さ。さらには、女刑事が組織と一人で戦っていく強さ、最後はちょっと意表を突く展開になっていったのかなとも思った。
キャスティングとしては、新たに〈おうち〉に住むことになる吉岡里帆と女刑事役の奈緒がダブル主演ということになっていた。ただ、ボクとしては、むしろ〈おうち〉の運営の核になっていく二人の熟女というか風吹ジュンと美保純の二人の「じゅん」の存在が光っていたかなぁと思った。
そんなこんなで、最後まで展開に引っ張られて、当初の予想以上に、しっかりと観ることができたかなと思っている。
大いに刺激的でもあった。


