メシを食うシーンがやたらと多かった『おいハンサム!!』だけど… | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 年頃の娘3人を抱えた家庭というのは、それなりに大変だろうとは思う。吉田鋼太郎主演の映画🎥『おいハンサム』(山口雅俊・監督脚本)はそんな家族のさりげない、だけどちょっと何かある日常を描いた作品だった。コメディタッチの仕上げで、気楽に観られるのだけれども、そんな三姉妹のそれぞれの仕事関係や彼氏に関することを断片的に描いていくのが繰り返される。だから、初めのうちは、そのつながりをちょっと理解しきれないでいた。

 だけど、それぞれの仕事の立場や彼氏との位置関係などを確認できていくと、それなりに面白いかなぁと思えるようになった。そして、とにかくやたらとメシを食うシーンが多いのも特徴的だった。もちろん、ボクとしてはメシは大事だと思っている。一緒にメシを食うということは大事なコミュニケーションの手段でもあるというのは、大事な考え方でもある。

 だからこそ一回一回の食事は真剣勝負なので、誰と何を食うのかということは、生きていく上で、日常の中で最も大切なことだとも思っている。少なくともその日のメシは失敗したら「取り返しのつかないこと」なのだし、何を食うのかという決断も必要なのだ。だから、真剣に食わなくてはいけないのである。そしてまた、この伊藤家のオムライスのようにメシに対しては拘りがなくてはならないとも思っている。そういう意味では、ボクは共鳴する部分も多かったかなとも思う。

 

 また、伊藤家のオヤジが妻を含めた4人の女性を前にして、それなりの蘊蓄を語るというのも、ボクは嫌いではなかったね。まぁ、ボクなんかも時々そういう語りをしてしまうからね(苦笑)。吉田鋼太郎は舞台がメインの俳優なので、声が通る。だから、そうした蘊蓄も朗々とした感じで、それもまた妙に説得力があるのかもしれん。

 また、そうした中で、食文化を含めて継承されてきた文化は大事にしていかないといけないということも伝えている。それは、都市開発ということに関しても言えるのかもしれない、ということもテーマとして隠れていたのではないかと思う。 

 長女の木南晴夏はテキパキ系ではないけれども仕事を頑張るビジネス女子。こういう感じの女子はボクの接してきた編集会社などにも多いタイプである。「私、頑張っちゃったから、今日はいいゴハン食べよう」なんていう自己投資をするタイプ。次女佐久間由衣は結婚していたが夫に浮気されて離婚。ちょっと恋に仕事に悩んでいるという様子の設定である。そして三女武田玲奈はプー太郎気味の男と同棲しているが、そろそろそれも潮時というか自分が飽きてきているという感じ。自分の気持ちはしっかりしている女子だけれども、可愛いので言い寄ってくる男も多いみたい。そのショートカットは、バドミントンの潮田玲子に似ているなぁなんて思いながら観ていた。

 そんな三姉妹を上手に操って教育していく母親のMEGUMIも悪くなかった。時に吉田鋼太郎のオヤジが、人生訓のようなようなことを述べるのだけれども、それとてボクなんかにとっては耳心地はよかった。

 ということで、まあ、何となく楽しく観られたかな…という映画でもあった。