岐阜県で開催される春季東海地区高校野球大会を展望してみた | 週刊テヅカジン

週刊テヅカジン

手束仁が語る、週刊webエッセイ

 18日から岐阜県で開催される東海地区大会。東海4県の春季県大会の1位校と2位校が集結する大会だが、今大会の顔触れは昨年のこの大会の優勝校加藤学園や戦前からの伝統校の県岐阜商、静岡、中京大中京、享栄に市岐阜商、三重県勢の津田学園と菰野が出場する。果たしてどのような戦いになっていくのであろうか。

 享栄と菰野は、監督同士が同級生である。中京(現中京大中京)出身の享栄・大藤敏行監督と大府出身の菰野・戸田直光監督は、高校時代に甲子園を目指す戦いで対決もしている。そんな二人の因縁もあるが、愛知県1位の享栄は2年生の長身小山隼和君と決勝で好投した濱上琉碧君、上倉直希君らの投手陣が、菊地逢斗君をはじめ梶谷大也君、松山颯汰君らの粘り強い菰野打線にどう立ち向かっていくのかということになる。享栄では、主将で明るいキャラクターの杉本純也捕手がムードメーカーで、彼が塁に出るとチームも大いに盛り上がる。

 戦前からの実績がある名門公立校同士の対決となったのが県岐阜商と静岡は、古くからの高校野球ファンにとっては堪らない対戦と言ってもいいであろう。県岐商は森厳徳君が投手の大黒柱となっている。さらには決勝で好投した池田諒真君、近藤朝日君といった投手もいる。県大会では粘り強い戦いを見せてきた静岡が、これらの投手陣をどう攻略していくのかが見どころとなる。県岐商は、この春から戦前のスタイルに近い復刻ユニフォームに戻したということも話題となっている。

 三重県1位の津田学園は、リードされても勝負強さを示しながら勝ち上がってきた。突出した選手がいるわけではないが、中村駿亮君に笹原大和君、桑山晄太郎君と本来は三塁手の水成柾斗君などの投手陣で戦う。しっかりと練習を積んで鍛えてきているという印象のチームだ。岐阜県2位で昨夏の準優勝校でもある市岐商。191cmの長身平塚大記投手が、角度を生かした最速143キロを表示したストレートが注目されている。

 中京大中京には投打に注目選手がいる。投手は経験値も高い左腕の中井遙次郎君と県大会では最速149キロもマークした長身投手の宮内渉吾君がいる。また、打線では昨夏準優勝したチームでも中軸を打っていた山田頼旺君がクリーンアップだけではなく1番を打つなど、打順に柔軟性を示している。山田君は、県大会3回戦から木製バットを使用しているが、この大会でも木製で挑んでくるのか、ということも興味深い。前年優勝の加藤学園だが、米山学監督は、県大会では、「去年とは全く違うチームになっている。連覇など思ってもいなかった」と言っていたが、後半に勝負強い戦い方は、もはや伝統と言ってもいいスタイルになってきた。

 また、このブロックでは津田学園と加藤学園が勝ち上がっての準決勝となれば、津田学園・佐川竜朗監督と加藤学園・米山監督とは同級生で、お互いに親しく、毎年交流試合も組んでいる中でもある。と互いよく知る同士でもあるのだけれども、そうなればそれも興味深い。

 「開催地1位の県岐阜商に、連覇を狙う加藤学園など実績のある8校が激突」ということになるが、夏への前哨戦として質の高い試合を期待したい。

 そういえば、この時期、愛知県内では、豊橋市民球場で全三河高校野球大会のベスト4激突もある。「三好・豊橋中央」「愛産大三河・安城」である。この戦いも興味深い。