果たして誰が?『ゴールドボーイ』なのだろうかという疑問を抱きつつ | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 中国人の紫金陳という作家の小説が原作だということだ。それを沖縄を舞台とした設定でかつての、2時間ドラマっぽい要素もあるようなサスペンス調の作品となっていた。何人もが死んでいくのだけれども、それなりに次はどうなる…? というスリルはあったかなというのが、映画🎥『ゴールドボーイ』(金子修介・監督/港岳彦・脚本)である。

 ただ、観終わって、クレジットが上がっていく中で「いったい誰が、『ゴールド ボーイ』なのだろうか」という疑問は残ったかというか「う~~ん、果たしてこの展開とラストは、何だったのだろうか」と、思うのだけれどもね。冒頭のタイトルも、かつての昭和娯楽映画みたいな感じて黒のすみ文字で「黄金少年」と出てくる。その後に「GOLD BOY」と出るのだけれども、背景の沖縄の景色とともに、何となくレトロ感があって、それはそれでよかったのかなと思わせてくれる入りではあった。

 沖縄の実業家一家の婿養子が義理の父親と母親を事故に見せかけて崖から転落させて、その財産と事業家としての地位を自分のものにしようと暗躍する。ところが、それをたまたま中学生が動画撮影していて捉えていたというところから、話は展開していく。その少年は、母子家庭で家計は厳しいが、頭脳はかなり明晰なようだ。いくらかマセた生意気な中学生ボウズでもある。さらに、一緒にその大人をゆすろうとたくらむ男女の友だちの家庭もまた、決して裕福ではない。

 そんな、貧富の差と犯罪の関係性を見せていきながら、ボウズたちはいろいろと画策していく。そして、そんな彼ら彼女らの家庭環境も複雑で、そこを理解するのもちょっと時間がかかってしまった。沖縄なんかは特にそうかもしれないけれども、田舎独特の辿っていけば、誰かと誰かが親戚縁者みたいなところがある。その世界の狭さも特徴的である。それがまた、大人の都合でくっついたり別れたりしているということも背景にあった。また、その事件を探る刑事も縁戚にあるというところが、ちょっとややこしい。

 貧しい少年たちは事件のすべてを金で解決しようと策謀するのだけれども、さすがに大人の世界でそうは簡単にはいかない。そんな中で、子どもも駆け引きをしながら、取引をしていこうとしていくのだけれども、数学の微分積分が好きだということで、物事をしっかりと理論的に分析していく能力は高いとも言えようか。

 ストーリーとしては、そこまではないだろうというところや、思わぬ殺害が相次いでいくというところもあって、そこに対する評価は人それぞれであろうかとは思う。だけど、この手の子どもがメインとなっていく作品でキイとなる子役の存在感は悪くはなかったのではないかと思う。こういう中から、将来輝くような子役上がりの役者が出てくることもあるからねぇ。

 役どころとしては、黒木華の貧しいながらも息子を溺愛するシングルマザーぶりもよかった。彼女は、今後は、このような形で役の幅が広がっていくのではないかなぁと思えた。

 そういえば、最後、女の子からのメッセージが、手書きの手紙というのはよかったなぁ。そのあたりが、昭和チックなオープニングタイトルに繋がったのかな…なんて、勝手に思っていた。

 ところで、クレジットがすべて終わった後の告知というかアレはナニ❓ とも思ってしまったのだけれども…。第2弾あるのか!!?

  

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