どんな映画なのかなぁという興味はあった『変な家』 | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 先に同じ雨穴という原作者の本『変な絵』を娘に勧められて読んだのだけれども、2日で読めてしまったくらいに興味深くひかれていった。そして、その時に「この前に『変な家』っていうのがあって、それが映画になるらしいよ」ということを聞かされていた。だから、「それはどんな映画になるのかなぁ」ということで興味があった。

 しかも、キャストをみると、トリッキーな演技で独特の味を出す佐藤二朗がメインで出ているので期待も高かった。ということで、封切を待って『変な家』(石川淳一・監督/丑尾健太郎・脚本)を観に行ってきた。

 今の時代らしく、元々はYouTubeで配信されていて、それで人気を博した作品ということだ。そして、原作本は飛鳥新社から刊行されてヒットしたという。

 ただ、映画としてはボクの当初描いていたモノとは少し違っていたかなという印象だった。ホラーともサスペンスともミステリーともいえるのか、いえないのか…という感じだったけれども、ちょっとゲテモノ的で、怪しさが多くなってしまったかなというのが正直な印象でもあった。ボクの期待としては、もっと、謎解きとか、この作品の一つのポイントとなっている、家の間取りに隠された謎というか、そのあたりを楽しませてくれるとよかったかなとも思った。

 関東の片田舎にある、かつて栄えたという旧家というかそこに、言い伝えられている「左手供養」という奇妙な風習があるということだ。それをめぐって、その異常さと、おどろおどろしさが、むしろ前面に映し出されていた。

 確かに「変な家」なのだけれども、考えてみれば旧家の広い家なんかは「この部屋は、何なのだろう?」とか「この押し入れは誰がどう使うのだろうかなぁ?」なんていうところもあったという記憶はある。というのもボクなんかは、この映画を見ながら、徳島の母親の実家でもあり、かつては県下でも大きな医院でもあったお婆ちゃんのところを思い出していた。夜なんか、そこで一人で布団に入っていると、天井の木目が変なものに見えてきたり、便所も遠いのだけれど、それはそれで怖いわなぁ。そんなこんなで、子ども心ながらに、妙に落ち着かなかったなぁというかすかな記憶が蘇ってきた。

 そんなことを思い出しながら、怪しげな旧家の映像を観ていた。

 ただ、何となく、もう一つ消化不良感というか、その印象は否めなかった。もっと間取りのトリックなんかを期待していただけにね。そういう意味では、設定にちょっと無理があるかなとも思ったけれども、去年秋の『スイートマイホーム』(齋藤工・監督)の方が、その構造の不思議さを見せるという点においては「おおっ!」と思わせる要素はあったのかなとは思った。

 期待していただけに、いささか空振りというか、まぁ、ファウルチップくらいの鑑賞後の印象であった。