埼玉県の高校ラグビー、花園を目指す4強対決 | 週刊テヅカジン

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 高校ラグビーの聖地、近鉄花園ラグビー場を目指す戦いとなる、第103回全国高校ラグビー埼玉大会は下馬評通りのシード4校が勝ち上がった準決勝が行われた。会場は、東の高校ラグビーの聖地としているラグビータウンの熊谷ラグビー場だ。JR熊谷駅からバスで15分少々。熊谷文化運動公園へ向かう。

 埼玉県の高校ラグビーは、今年も昌平と川越東が2強ということになっている。それに、ちょっと前までは埼玉県高校ラグビーをリードしていた県立校の深谷、このところ躍進している慶應志木がそれぞれ挑むという図式になっている。

慶應志木(黄・黒)と昌平(深緑)、ラインアウトでボールの奪い合い

 

昌平 24(10―14/14―0)10 慶応志木

川越東 51(13―0/38―0)0 深谷

 

 昌平は、近年躍進してきている学校の一つと言ってもいい存在だ。野球部も、関東大会に進出を果たすなどして実績を残してきたが、甲子園出場はなかなか届いていない。その一方で、ラグビー部は花園の常連校になりつつある。3年連続で花園出場を果たしており、4年連続に挑む今大会である。

慶應志木と昌平のスクラム。ほぼ互角だったのだが…。

 

 川越東は3年前の第100回記念大会で、花園初出場を果たしている。埼玉県を代表する私立の男子校の進学校としても人気がある。東京でいえば、男子校進学校としては、新御三家とも言われている巣鴨、城北、芝に匹敵する存在といってもいいのではないだろうか。また、部活動としても、ラグビー部だけではなく、野球部なども積極的に活躍している。

 深谷は男子バレーボールではかつて、全国制覇を果たすなどして、一時代を築いたのは、素晴らしい。ラグビー🏉も、花園の常連になっていたが、近年は昌平などに、ちょっと押され気味と、いったところか。

 慶應志木は、言わずと知れた慶應義塾の直結校。神奈川県横浜市日吉にある通称塾高の慶應義塾はこの夏、甲子園でも全国制覇を果たしてエンジョイベースボールでも話題になった。その系列校だが、塾高に比べると、ちょっと地味かなというところかな。

 

慶應志木は、大学と同じで、伝統の黄黒のタイガージャージだ

 慶應志木は王者昌平に食い下がって、先制トライを挙げるなどして、前半は14―10とリードした。どちらも2トライだったが、⑮加藤旭陽君がしっかりとコンバージョンキックを決めており、その差が出た前半だった。 

 しかし、さすがに昌平は後半早々に反撃した。1分、22mライン内からLW⑪山口君がボールを貰うと、そのままインゴールで回り込んで中央にトライ。ゴールも決まる。さらに、19分にもゴール前15mあたりのモールから、FWがキープしてCTB⑬横山君が持ち出してゴール下にトライした。

 横山君は、前半にも最初のトライを決めているが、主将としても、プレーでしっかりとチームを引っ張っていたといってもいいであろうか。

 慶應志木は健闘して食い下がったものの、あと一歩及ばなかった。

 

川越東は、終始素早い出足のタックルも光った

 川越東は、攻守にいい形でまとまっているなという印象だった。BK陣も速い展開を示していたが、攻撃だけではなく、DFでもしっかりと深谷の攻撃を止めており、そこからの反撃のスピードも速かった。

 4分にFB⑮南雲君が先制トライを挙げると、15分にはPGで地道に追加点。⑫五十嵐君のキック力が安定していることも、川越東としては大きな要素だった。30分にはラインアウトからモールで攻めて、FWのキープからHO②鈴木一ノ心君がトライ。

川越東は、ラインアウトでも確実にボールキープしていた

 後半にも、トライを重ねていったのだけれども、全7トライのうちLO④小泉君とFL⑦柴田君が2本ずつ奪っていることでもわかるが、FWのキープ力でそのままトライというケースが目立った。また、後半23分には相手のクリアキックをキャッチした⑫五十嵐君が、そのまま正面30m付近でDGを決めた。こうした飛び道具も含めて、川越東の鮮やかな戦いだった。

 深谷としては、前半は食い下がりも示していたが、後半はほとんどワンサイドとなってしまった。川越東のDFも強かったが、ついぞ突破きれなかった。