春のセンバツ高校野球が中止となって、その出場校の救済措置として開催されたこの夏の甲子園交流試合。現実には、夏の選手権大会が中止になったことで、甲子園球場が空いているということもあって実施できたというところもある。
この交流試合16試合の開催に関しても、ネット含めて外野ではいろんな意見が飛び交っていたようだけれども、やはり開催されてよかったというのは正直なところである。
今年も刊行された、「週刊朝日増刊号」の大会ガイド
そして、この開催に向けて、例年通りに朝日新聞社は「週刊朝日増刊号」として大会ガイドブックを刊行している。おそらく、例年よりは発行部数は大幅に少ないことは否めないだろうけれども、こうして夏の定番があることで、ボクなんかも何となくホッとする。
また、おそらく『報知高校野球』や『ベースボール』も、夏の全国各地で開催された独自の代替大会を含めて、大会号を例年のように刊行していくことになるだろう。
今年の夏はやはり特別だと思うのは、東海大相模の様に甲子園で敗れても、まだ夏の県大会が残っている状況もあるところだ。花咲徳栄も、甲子園の交流試合の開幕戦を戦って、それで戻ってから7回制の埼玉県大会を戦っていた。結果的に東部地区5回戦で敗退したが甲子園後の試合があった。
中京大中京は、目標としていた「無敗で終わる」という思いを達成した。愛知大会決勝では愛産大工を1対0で下して優勝を果たし、2日後には甲子園交流試合で、延長10回タイブレークの末に智弁学園に4対3で勝利した。この交流試合16試合の中でも最も見ごたえのあった試合の一つだった。中京大中京は8月8日から12日までの5日間で4試合を戦うというハードスケジュールとなったが、そのすべてを制したというのは見事だった。しかも、2試合が1点差。やはり、今年の中京大中京は下馬評通り、本当に強かったのだろうと思う。
甲子園でも、十分に持てる力を示した中京大中京の高橋宏斗君(昨秋の明治神宮大会より)
昨年から甲子園で実績のあった中森俊介君と来田涼斗君が残って、今年も評価の高かった明石商も、その力を十分に示した。限定1試合ということではあったが、やはり甲子園だ。夢にまで見た甲子園での試合。例え無観客で応援団のいない控え部員と保護者だけのわずかな観客しか見守っていないスタンドであったとしても、甲子園という場所に変わりはない。甲子園球場で試合をしたということに意味があったのだ。
その場で、しっかりと勝ちきれたことはやはり力のある証明といっていいであろう。
ボクとしては、健大高崎と天理の試合ぶりも注目していた。ただ、健大高崎は1試合限定という戦いの中で青柳博文監督にもいくらか投手起用などに迷いがあったのかもしれない。下君と橋本君という2人の好投手がいて、さらに何人か実戦で使いたい投手がいた。もちろん、下君そのものもそれほど内容として悪いものではなかったとは思う。
この試合に関しては、それ以上に21世紀枠で出場歩果たした帯広農が溌溂とした戦いをしたということであろうか。
健大高崎の下慎之介君もしっかりと自分の投球はしたが(昨秋の明治神宮大会より)
いずれにしても、今年の夏の甲子園での16試合は、いろんな意味で後世に語り継いでいかなくてはいけない試合だったともいえる。高校野球の100年を超える長い歴史の中で、こうした試合をした年があったということ。そのことで、改めて日常が平穏に過ぎていくことの幸せ、そんなことも再認識していかなくてはいけないということを思い知らされた年の高校野球でもあったのだと思う。
だからこそ、このことを残し語らなくてはいけないとも思う。
もちろん、世の中にはへそ曲がりも必ず存在していて、高校野球の試合を開催したことに対して批判するヤツもおる。ただ批判することは簡単だ。だけど、何でもかんでも批判しておくことが意見を述べていることでもないと思う。どうしたらやれるのかということを模索して、それを実現した事実に対して、素直に拍手を送る心こそ、今、我々が持つべき気持ちだと思っている。


