2025年12月12日付 SNEPシングル&アルバムチャート
※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)
【シングルチャート】
1 Melodrama - Disiz, Théodora
2 Mon bébé - RnBOi
3 Love You - Nono La Grinta
4 Parisienne - Maître Gims,La Mano 1.9
5 Golden - KPop Demon Hunters Cast
6 Génération impolie - Franglish, KeBlack
7 The Fate of Ophelia - Taylor Swift
8 Soleil bleu - Bleu Soleil,Luiza
9 Bloqué - Maître Gims, L2B
10 ZOU BISOU - Théodora, JuL
【アルバムチャート】
1 TP sur TP - JuL
2 KPop Demon Hunters - KPop Demon Hunters Cast
3 Il faut que tu saches - Slimane
4 Le Nord se souvient(L'Odyssée) - Maître Gims
5 Cœur maladroit - Maline
6 Mega BBL - Théodora
7 Grandeur nature - Florent Pagny
8 Bitume Caviar (Vol. 2) - Isha & Limsa D'Aulnay
9 Memento Mori:Mexico City - Depeche Mode
10 Recommence-moi - SANTA
DisizとThéodoraの「Melodrama」のシングルチャート1位はこれで9週連続です。記録をどこまで伸ばすのか。9位にMaître GimsとL2Bの「Bloqué」(ブロック)が浮上。これは企画盤GP Explorerの「The Last Race」(今週アルバム11位)に便乗した曲とも言えます。JuL(ジュール)の新作アルバム収録曲がシングル11位、22位、24位、26位、29位、34位に入りましたが、1曲もトップ10に届かなかったのは人気に陰り?
そのフレンチラップ(ラップフランセ)マルセイユ・コネクションの首領(ドン)、JuLの新作アルバム「TP sur TP」が、12月5日の発売後3日間でフランス音楽史上最高の売上記録を更新してSNEPアルバムチャート1位。この32曲入りダブルCDを購入すれば来年4月のパリとマルセイユのジュールの公演チケット購入権が得られるというAKB48顔負けの抱き合わせ商法を展開したことでいまフランスでは賛否を呼んでおり、SNEPも問題視しています。
反対派は「支配的地位を乱用した不公正な取引でEU競争法違反だ」と主張しますが、賛成派は「コンサートではCD購入を条件としない座席も用意されている」「アヤ・ナカムラも同じことをやっていた」と反論。CD購入が条件の座席の割合はアヤ・ナカムラ3割に対し、ジュールのほうは8割もあるそうですが、欧州委員会競争総局の判断は、いかに?
ちなみに日本の公正取引委員会は「CD握手券商法」について、「ファンが自発的に購入しているとみなされれば独占禁止法違反の抱き合わせ販売とは断定しにくい」という見解を出しています。
5位にMarine(マリーヌ)の6月27日発売「Cœur maladroit」(不器用な心)が再浮上しました。7月に最高2位。マリーヌは2月にTF1「スター アカデミー」のシーズン12で優勝した25歳の女性シンガーソングライター。フランス最北部パ=ド=カレー(Pas-de-Calais/62)県アラス(Arras)の生まれで、2025年7月8日号でくわしくご紹介しています。
今週アルバム8位にIsha & Limsa D'Aulnay(イシャ&リムサ・ダルネー)の「Bitume Caviar (Vol. 2)」がチャートインしました。タイトルは「アスファルトのキャビア」という意味で12月1日リリース。Ishaはベルギーのヴォリュウェ=サン=ランベール(Woluwe-Saint-Lambert)出身、Limsa D'Aulnayはフランスのセーヌ=サン=ドニ(Seine-Saint-Denis/93)県オルネー=スー=ボワ(Aulnay-sous-Bois)出身で、ともに39歳の中堅ラッパー。タリス改めユーロスター・デュオの13曲入りコラボ盤のコンセプトは「更生したチンピラの憂鬱と30代の人生が交錯する世界」だそうです。
9位は1980年から活動し2020年に「ロックの殿堂」入りしたUKニューウェイヴの泰斗、Depeche Mode(デペッシュ・モード)のメキシコシティ公演のライブアルバム「Memento Mori:Mexico City」(12月5日発売)。11月2日はメキシコの「死者の日(Día de Muertos)」でした。Memento Mori(メメント・モリ)はラテン語で「死を想え」という意味。インドで撮られた「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」というキャプションがついた衝撃の一枚が今なお「伝説」として語られる同名の藤原新也氏の写真集が発刊されたのは1983年でした。当時「インドに行ったら人生が変わる」と盛んに言われましたが、私はその後、インドには計3回も行ったのに、人生、なんにも変わりませんでした(苦笑)。
YOASOBIの幾田りらさんも参加したOrelsan(オレールサン)の「La fuite en avant」は今週13位で、トップ10から滑り落ちました。盛者必衰の理。
Slimane(スリマン)
12月5日リリースの「Il faut que tu saches」(「君は知る必要がある」という意味)が今週のアルバムチャートで3位に初登場したフレンチポップスのシンガーソングライター、Slimane(スリマン)は、2022年9月13日号と、ユーロヴィジョン・ソングコンテストで4位になった後の2024年5月21日号でくわしく解説していますが、おそらく大ヒットした2019年のVitaa(ヴィタ)とのデュエット曲「Je te le donne」(最高12位)で彼を知った人も少なくないことでしょう。
1989年10月、セーヌ=エ=マルヌ(Seine-et-Marne/77)県シェル(Chelles)生まれの36歳。本名はSlimane Nebchiといいアルジェリア系です。少年時代は教会でゴスペルを歌い、学生時代はパリ9区と18区にまたがる盛り場ピガール(Pigalle)地区の酒場でピアノを弾きながら曲を書いていました。2016年、フランス版「The Voice」第5シーズンに出場してフローラン・パニーら審査員全員が推薦し一般投票でも首位という完全優勝を遂げ、26歳でメジャーデビューしています。
2016年のデビューアルバム「À bout de rêves」は最高1位、2018年のセカンドアルバム「Solune」は最高2位、2019年のVitaaとの共作アルバム「VersuS」は最高1位、2022年のアルバム「Chroniques d'un Cupidon」は最高1位でした。3年ぶりに出した「Il faut que tu saches」は5枚目のアルバムになります。2023年リリースのユーロヴィジョン・ソングコンテスト出場曲「Mon amour」はシングル最高2位というヒットを飛ばしています。
さて、12曲入りの新作アルバムはアーバンポップ、R&B、ヒップホップなど、さまざまな音楽要素を取り入れていますが、収録曲からMVが11月7日に先行公開された「Mieux que moi」をお聴きください。最後は次のようなリフレインで締めくくっています。
Oh mon dieu dis moi c'que j'fais là. Trop souvent j'me d'mande pourquoi moi. Oh j'espère mon dieu que tu m'pardonneras. Ce monde est fou mon dieu mais tu l'sais mieux que moi.
(拙訳)「ああ、私の神様、私がここで何をしているのか教えてください。何度も何度も、私はなぜここにいるのかを考えています。ああ、私の神様、私を許してください。この世界は狂っています、神様。とはいえど、あなたはそのことを私よりもよくご存知です」
まるで告解(confession)のような歌詞(paroles)ですが、おそらく、彼が原点回帰してみたいのは、少年時代に親しんだゴスペルなのでしょう。
Slimane(スリマン) - Mieux que moi (Clip Officiel)
では、また来週
À la semaine prochaine!




















