仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

 
2025年7月29日号

 

2025年7月25日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Soleil Bleu - Bleu Soleil, Luiza

 2 Charger - TRIANGLE DES BERMUDES

 3 Ruinart - R2

 4 Air Force blanche - Maître Gims & JuL

 5 Ninao - Maître Gims

 6 KYKY2BONDY - Hamza

 7 Melrose Place - KeBlack ft.Guy2Bezbar

 8 Paris - Nono La Grinta

 9 Appelle ta copine - Maître Gims

 10 KAT - Gazo ft.La Rvfleuze

 

【アルバムチャート】

 1 Le Nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 2 BĒYĀH - Damso

 3 D&P à vie - JuL

 4 Mega BBL - Théodora

 5 Focus - KeBlack

 6 Nés pour briller - L2B

 7 BDLM Vol.1 - Tiakola

 8 Mania - Hamza

 9 Diamant noir - Werenoi

 10 You'll Be Alright,Kid(Chapter 1) - Alex Warren

 

 今週のシングルチャート1位は、前週に続きBleu Soleil(ブルー・ソレイユ)とLuiza(ルイーザ)の「Soleil bleu」でした。トップ10は順位こそ入れ替わったものの、前週と同じ顔ぶれ。 アルバムチャート1位は3週連続Maître Gimsの「Le Nord se souvient:L'Odyssée」で、JuLの「D&P à vie」が3位、Werenoiの「Diamant noir」が9位でトップ10に復帰しました。前週2位のMylène Farmer(ミレーヌ・ファルメール)の「86/97」ですが、今週はトップ10はるか圏外の48位に後退しました。魔法が長続きしなくなった?

 

Alex Warren

 Alex Warren(アレックス・ウォーレン)は、アメリカ・カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad)出身の24歳のシンガーソングライターです。2024年9月リリースのファーストアルバム「You'll Be Alright,Kid(Chapter 1)」がUKで1位になり、今週、フランスのアルバムチャートでも10位に入っています。シングルは「Ordinary」が今週14位です。

 ジャンル的にはアコースティック・ギター一本でステージで弾き語りをする昔なつかしの「フォーク」で、歌詞の中身はカトリックの信仰に根ざし、愛する妻に捧げるようなまじめなものですが、Instagram、TikTok、YouTubeなどソーシャルメディアを駆使して、Netflixへの出演でその人気に火がつくなど、売り出し方は現代的です。

 

Luiza(ルイーザ)


Luiza

 シングルチャートで前々週は5位、前週は1位、今週も1位のLuiza(ルイーザ)の「Soleil Bleu」は、4月11日にリリースされています。トロピカル・サウンドをやっている男性2人組のBleu Soleil(ブルー・ソレイユ)とコラボレーションした、レゲエベースの「トロピカル・エレクトロポップ」ナンバー。彼らのアルバム「Soleil Blue」は今週29位です。

 ルイーザはブルターニュ地方のレンヌ(Rennes)の生まれ。年齢不詳。本名をルイーザ・フェルナンデス(Luiza Fernandes)といい、母親はブラジル出身のコンテンポラリー・ダンサー兼振付師、父親はフランス人のジャズ・ダブルベース奏者という家庭環境の中で「芸術こそ、私の生き方である」という自負心が醸成されました。

 地元のレンヌ音楽院でクラシックの素養を積んだ後、アフリカ沖のインド洋に浮かぶフランス海外県レユニオン(Réunion)島のアートスクールでアフリカやアジアの芸術を学んでいます。デビュー前に母親の郷里のブラジルのアマゾン地域で暮らしたことも、文化のるつぼ、大都会パリで生活したこともあります。そんな経歴もあってか自らを「世界のフランス系ブラジル人(Franco-brasileira du mundo)」と称しています。大風呂敷でよろしい。

 音楽的には、ブラジリアンのリズム、バルカン半島のルーマニアやウクライナの伝統音楽、キューバなどカリブ海のトロピカル・サウンド、さらにエレクトロポップ、ダブといった都会的なグルーヴなどがほとんど闇鍋的に共存するというハイブリッドなものです。文章で説明してもたぶん伝わらないと思いますから、ヒット中の「Soleil Bleu」とともに、2024年6月に出したメジャーデビューシングル「Demain, demain」や、2025年2月に出したEP「Fantastik」(「すばらしい」という意味のポルトガル語。フランス語でいえばFantastique)も聴いてみてください。

「Demain Demain」は、歌詞こそフランス語ですが、キューバ、スペイン、さらにロマ民族独特の歌謡のエッセンスまで織り交ぜた多文化共生の響きあり。彼女はまさに「ワールドミュージックの子」と言えるでしょう。

 80年代、「五月革命を『回収』した」ミッテラン政権のジャック・ラング文化相の文化政策に後押しされ、パリを発信源にひろまったワールドミュージックのムーブメントですが、かつてはパリ7区のケ・ブランリ美術館(Musée du Quai Branly)やパリ5区のアラブ世界研究所(Institut du monde arabe)とともに評論家やインテリから「植民地主義、ヨーロッパ人至上主義のメタファー(隠喩)にすぎない」などと批判を浴び、今はまた「反グローバリズム」の世界的なうねりの脅威にさらされながらも、世代を超えて脈々と受け継がれているようです。

 

Bleu Soleil(ブルー・ソレイユ)&Luiza(ルイーザ)  - Soleil Bleu (Clip officiel)

 

Luiza(ルイーザ) - Demain, demain (CLIP OFFICIEL)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!