前回記事の続きです。
AI到来で失ったMy Work | 公認会計士・税理士トマト麺

今回は前回記事の内容と真逆の、「AI時代においても価値が失わない仕事」を2つご紹介します。

ChatGPT や各種AIツールの普及によって、多くの業務が効率化されています。
その一方で、どうしても人間にしかできない仕事も、確実に存在します。

① 自宅の掃除・片付け訪問サポート
いわばあの有名な「こんまり」の仕事に近いイメージです。


【 AIでも置き換わりにくい理由】
・サービスのすべてが、オフライン(現場作業)で完結する
・部屋の状態は家庭ごとに千差万別で、固定解がない
・単なる掃除ではなく、顧客の価値観・要望に寄り添って「片づく仕組み」を支援する仕事
・一緒に作業する過程で、心理的なサポートも必要

掃除ロボットやスマート家電が進化すれば、人間の手が必要な範囲は確かに狭くなるかもしれません。しかし「暮らし方から変える支援」までは、まだまだ機械が代替するのは難しい領域です。

 

 

 

 

 

 


② シニア世代向けのセミナー講師


2つ目の紹介ですが、近年オンラインセミナーが一般化し、ITリテラシーの高い層はZoomや動画講義で十分に学べるようになりました。
ただし、シニア世代になると事情は大きく変わります。


【 AIでも置き換わりにくい理由】

・IT機器が苦手な方も多く、会場型セミナーのほうが参加のハードルが圧倒的に低い
・参加者は学ぶ意識が高く、実際の講演で直接質問・相談をしたい
・「人の話を生で聞きたい」「講師と会話したい」というニーズが強い
・AI講義では満たせない「その場だからこそ生まれる空気感」が重要

シニア層の学びは知識そのものだけでなく、リアルな交流の場であると共に、今後のより豊かな生活の過ごしかたを考えることが大きな目的です。

この価値を十分に提供するには、AIでは再現が難しいものです。



ここからが本題ですが・・・


そもそも会計士の私の仕事とは、何の関連も無さそうなテーマですね(;'∀')
実を言うと、上記2つの仕事は、現在私の身内が関わっています。
特に①の「お片付け訪問サポート」は、最近ニーズが増えており、現在も募集を続けております。
いわゆる「掃除代行」とはまったく異なるサービスです。単に部屋をきれいにするのではなく、

「家が片づく仕組みづくりの提供」
「より豊かな暮らしにつながるサポート」


という点を強みにしております。

もし、下記のような悩みがある方は、下記インスタで詳細を確認いただき、興味がありましたら、DMから気軽に相談いただければと思います m(__)m

まりこ l 習慣化で家が整った健康オタクママ l リバウンドしても怖くない I 片付く仕組を提案 l 寄り添うお片付け l 東京(@mariko417_lifestyle) • Instagram写真と動画

● こんな悩みはありませんか?


・そもそも片づけ方が分からない
・“もったいない”が止まらず、物が増え続けて空間がなくなる
・物が多すぎて探し物が見つからない
・片づけてもすぐリバウンドしてしまう
・自宅ではないけど、実家がゴミ屋敷状態で困っている

こういった悩みは、意外と多くの人が抱えています。
もし一つでも当てはまるなら、一度プロに相談してみるのは十分に価値があります。

 

 

 

 

 

【まとめ】
今回はほぼ宣伝中心の記事になってしまいました・・笑。
今回紹介した2つの仕事は、どちらもAI時代において価値が高まり続ける分野。
人が人に寄り添う仕事は、これからも確実に必要とされはずです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

昨年まで、不定期に会計・税務関連のWEB記事を作成・監修をすることがありました。しかしここ1年ほど、記事関連の依頼がパッタリ途絶えてしまいました・・( ノД`)。

ご存じの通り、記事作成はもはやGPT系のAIを使えば、圧倒的なスピードで作ることが可能です。
今では多くの企業が、AIによる自動処理で記事を生成できるため、わざわざ外注する必要もなくなりました。

この傾向は記事作成に限らず、人がPCやアプリを使って手作業で作る成果物の多くが、今後もAIに取って代わられる範囲が広がっていくと思います。


参考までに、これまで私が作成・監修したWEB記事のリンクの一部を、以下にご紹介しております。


〇IT資産管理の監査対策!経営者が知っておくべきポイントと事例
https://stmn.co.jp/roei-checker/contents/column/1941/

〇監査証跡とは?内部不正対策を行うために必要な知識や情報を解説
https://stmn.co.jp/roei-checker/contents/column/2726/

〇委託先管理とIT統制
https://stmn.co.jp/roei-checker/contents/column/2318/

〇J-SOXの改訂内容2023年版を解説
https://stmn.co.jp/roei-checker/contents/column/2045/

〇内部統制の目的と不可欠な3点セットを解説
https://stmn.co.jp/roei-checker/contents/column/1732/

〇グループ経営の課題 - 情報共有、ガバナンス、効率化の視点から。
https://biz.tunag.jp/article/79254

〇税理士の探し方とは?選ぶ際に失敗しない、おすすめの方法を解説
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/how-to-find-tax-accountant/

〇印鑑証明を取得したときの勘定科目とは?仕訳を行う際の注意点も解説
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/seal-certificate-account-item/

〇利益とは?売上や粗利との違いから利益の種類、利益を上げる方法を紹介
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/profit/

〇営業譲渡とは?事業譲渡との違いやメリット・デメリット
https://fundbook.co.jp/column/understanding-ma/business-transfer/

〇インボイス制度施行後の決算での不備を防ぐポイントとは
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/invoice-settlement-of-accounts/

〇不動産業界の経理の仕事内容とは?使用する勘定科目や注意点などを解説
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/accounting-real-estate/


はい、今回の記事はここまでです・・。
ここまでだと、何の気付きも無い、微妙な感じになってしまいますが・・
この続きは、次回の記事で改めて書きたいと思っています。

ざっくりとしたテーマだけ言うと、

今回とは逆に「AIに取って代わられない(にくい?)仕事」についてです。
少しお時間をいただきますが、またアップしたいと思います!

今回は、私が以前会計監査の現場で議論した論点について紹介します。

 

会社が仕事や顧客を他者から紹介してもらうケースでは、紹介してくれた相手に「紹介手数料」を支払うことがあります。
このとき、多くの会社では「支払手数料」として処理しているかもしれません。

 

しかし、会計または税務上は一概にそうとは言えません。
状況によっては「接待交際費」として扱うべき場合もあるのです。

 

本記事では、税法上の規定に基づいて、どのように判断すべきかを解説します。

 

<処理方法は2通りある>

顧客紹介のような支払いは、大きく分けて次の2通りの処理方法が考えられます。

1️⃣ 「支払手数料」として処理できる場合
2️⃣ 「接待交際費」として処理すべき場合

まず、「支払手数料」として認められる条件を確認しましょう。

 

■ 「支払手数料」として処理できる場合

租税特別措置法第61条の4第1項第8号では、次の要件をすべて満たす場合に「支払手数料」として扱うことを認めています。

また、その支払先が「顧客紹介の専門業者」であることも求められます。

 

(1) あらかじめ契約を結んでいること

つまり「後からご褒美的に渡したお金」ではなく、最初から業務の対価として支払うことを取り決めていたか?がポイントです。

 

たとえば、「顧客紹介に関する業務委託契約書を締結し、情報提供料として○万円を支払う」といった形で、契約書やメールで事前に明示しておくことが重要です。

 

(2) 情報提供の内容が具体的で、実際に提供を受けていること

ここで求められているのは「何を、どのように、誰からもらったのか」が明確であることです。

 

たとえば「顧客A社を紹介する」など、内容が具体的で、実際にA社を紹介されたことを示す契約書や成約報告書などのエビデンスを提示できることが重要です。

 

一方、内容が曖昧で証拠も残っていない場合には、実態のない支払い=交際費的性格とみなされるリスクがあります。

 

(3) 支払金額が内容に見合っていること

つまり、支払った金額が、提供された情報の価値として妥当か?という点です。

 

明らかに高額な場合は、「実態は接待交際費ではないか」と判断されるリスクがあります。

一般的な紹介手数料の相場を踏まえ、業務の実態に見合う金額設定を行うことが重要です。

 

< 要件を満たさない場合は「接待交際費」扱いに>

上記3要件のいずれかを満たさない場合は、「支払手数料」ではなく「接待交際費」として扱われます。

特に、紹介業が専門でない個人や取引先への支払いは、一時的な謝礼やお付き合いの性質が強い取引と判断されやすくなります。

 

<「接待交際費」として処理する場合の留意点>

「接待交際費」として扱う場合、法人税計算上、損金不算入になる可能性があります。したがって、節税の観点では不利になりやすいと言えます。

 

「支払手数料」として処理できる根拠(契約書・エビデンス等)を残しておくことが重要です。

 

< まとめ>

今回紹介した「紹介手数料」の会計処理は、不動産仲介手数料などにも共通する論点です。

「手数料」という名目だからといって、すぐに「支払手数料」と処理するのではなく、上記3要件に照らして、「接待交際費」に該当しないかを慎重に判断することが必要です。

 

 

 

<長期滞留資産とは?>
「長期滞留資産」とは、本来であれば短期間で売買される性質の資産(流動資産)にも関わらず、長期間にわたって売却・処分できず、現金回収が滞っているものを指します。
 

たとえば、計上後1年以上入金のない売掛金や、何年も倉庫に眠っている商品在庫などが挙げられます。
 

これらの資産は、将来の回収可能性・販売可能性が大きく低下していると考えられ、期末決算時に「評価減」という処理を検討する必要があります。


しかし実務上、その評価は簡単ではありません。相手先の経営状況が分からなかったり、棚卸資産の市場価値を客観的に測れない場面も想定されるからです。
 

そのような場合に、会計上は「簡便法」と呼ばれる、シンプルな評価減の方法が認められる場合があります。

 

< 簡便法OK/NGなケース>
ここでは、滞留資産の評価において、会計上特に重要な影響を与える売上債権(売掛金など)、棚卸資産を題材に、簡便法の適用可否について解説します。

 

 

【① 売上債権⇒簡便法OK】
回収可能性に懸念が生じた売上債権については、「金融商品会計に関する実務指針:第114項」に次のような定めがあります。

「債務者の支払能力を判断するための資料や情報の入手が困難であり、貸倒見積額の算定が難しい場合は、初年度に限り、債権額の50%を貸倒引当金の計上額とすることができる」


つまり、債務者の財務状況の詳細な把握が難しい場合は「とりあえず50%引き当てる」という簡単な方法が認められます。


この方法は、売掛金を一般債権から貸倒懸念債権に区分変更した初年度において、特に中小企業などで情報収集コストを抑えられるというメリットがあります。

ただし翌期以降は、直近の回収状況などを踏まえ、より実態に近い形で評価を見直す必要があります。

 

【②棚卸資産(在庫)⇒簡便法NG】
一方で、長期間売れ残った滞留在庫については、上記売上債権のような50%評価減の簡便法は会計基準上存在しません。

そのため、「とりあえず簿価の50%にしておこう」といった処理には合理的な根拠がなく、多くの場合認められないのが実情です。

一方、棚卸資産評価会計基準:9項(2)では、「合理的に算定された価額によることが困難な場合には、正味売却価額まで切り下げる方法に代えて、一定の回転期間を超える場合、規則的に帳簿価額を切り下げる方法」が認められています。


例えば、「滞留期間が1年以上:50%切り下げ、2年以上:全額切り下げ」という社内ルールに基づく規則的な処理方法などが認められます。


ただし上記社内ルールの場合、評価減のパーセンテージの決定については、一定の根拠が必要です。

例えば、過去の処分実績や、物質的な劣化までの期間などに関するエビデンスを、通常の場合、監査法人から提出が求められます。「とりあえず○%にしよう」など、闇雲なルール作りは却下されやすいので、ご注意ください。

<参考:全額評価減とする方法>
ここで、合理的な評価が難しい滞留在庫において、実務上は、50%評価減よりも「全額評価減」のほうが、シンプルかつ合理性が認められやすくなります。

・「市場でほぼ需要が無い」「目に見えや破損・劣化がある」など、回収可能性が大幅に低下している事象が認められる場合、「正味売却価額をゼロとみなす」ことで、複雑な見積もりは不要となり、監査法人からも認めてもらいやすくなります。

 

<まとめ>
滞留資産の評価は、経理実務の中でも判断が難しい分野のひとつです。
 

上述の長期滞留した売掛金、棚卸資産の簡便法に関する評価方法を整理すると、下記の通りとなります。
•売上債権:初年度に限り50%引当を認める簡便法あり(金融商品実務指針:114項)
•棚卸資産:50%減の簡便法なし。

 

こうみると、売上債権の評価のほうが、比較的ラクと言えます。


評価方法に迷ったときは「なぜその金額を採用したのか」というロジックを整理することが大切です。定量的な証拠・裏付けが取れなくても、ロジックに矛盾のない説明ができれば、多くの場合、監査法人もOKしてくれるでしょう。

 

最近バタついていて、すっかり更新滞ってしまっていましたm(__)m

 

今回は、株主などの投資家に開示する決算書類の作成に関連する実務的な落とし穴・・「連結附属明細」という書類にまつわる混乱について、解説したいと思います。

 

 

 

 

< 会社法と金商法上の「開示書類」>


まず最初に触れたいのは、会社法と金融商品取引法(以下、金商法)では、開示の目的がやや異なるという点です。

会社法は、会社の経営成績や財政状態を、主に株主や債権者向けへの開示を目的とします。
一方金商法は、投資家などより幅広いステークホルダーへの情報開示を目的として開示のルールを定めています。
 

現行法上は、
•    会社法ベースの開示書類=「計算書類」
•    金商法ベースの開示書類=「有価証券報告書」
というように、開示書類が明確に区別されています。
 

<微妙な名前のちがい>
ここで連結子会社を持つ会社(多くは上場企業や大会社)は、連結財務諸表の作成・公表が求められます。


このとき、
・会社法:では「連結計算書類」
・金商法:「連結財務諸表」
という名称で制度が構築されています。
 

名称は似ていますが、制度上の位置づけは別物です。

さらに上記開示書類と合わせて「附属明細」という、財務諸表の各勘定科目の内容をより詳しく説明するための明細資料の作成も必要です。
興味深いのは、両法では、下記の通り呼び名が微妙に異なる点です。
 

•    会社法:附属明細「書」
•    金商法:附属明細「表」
 

細かい違いではありますが、「附属明細表」は金融庁への提出書類(有報)に含まれる正式な開示項目であり、「附属明細書」は株主総会用の決算書類としての性格を持ちます。
漢字一文字ちがいで、とてもよく似ていますが、まったくの別物です・・・。

<「連結附属明細」の範囲>
前置きが長くなりましたが・・・いよいよ本題です。
よく誤解を招きやすいのは、連結ベースでの「附属明細」も、作成が必要なのか?という点です。

結論、
・金商法:必要
・会社法:必要なし
となります。
 

すなわち「連結附属明細」という書類は、法的には存在しないのです。

 

 

 

 

<なぜ会社法では、連結附属明細書の作成が不要?>

会社法では、「計算書類」に付属する附属明細書が定義されており、主に固定資産・引当金・借入金の内訳などを記載します。しかしこの「附属明細書」は、親会社の単体決算に付随するもののみです。


一方、会社法における連結計算書類は、次の4つのみです。
1.    連結貸借対照表
2.    連結損益計算書
3.    連結株主資本等変動計算書
4.    連結注記表

↑連結附属明細の記載がありませんね。

これに対し、金商法では、有価証券報告書において「連結附属明細」が正式な開示書類として作成が義務付けられています。

< 間違えて「連結附属明細」を作っているケース>
 

実務で誤解を招きやすい点として、事業会社の経理部で、金商法の附属明細表と同様に「連結附属明細書」も作ってしまっているケースを、まれに見かけます。
しかし上記の通り、会社法上の正式書類としては存在しない書類です。つまり、お蔵入りになってしまう運命の書類というわけです。せっかく作ったのに、ちょっと悲しいですね・・。

< まとめ>
「附属明細書」と「附属明細表」――
たった一文字の違いですが、会社法と金商法で制度の根拠が異なるため、混同しやすい点です。「連結附属明細書」は、法的には存在しない書類。


もし社内で「連結附属明細って必要ですか?」と聞かれたら、「会社法上は作らない、でも金商法では『表』として開示する」と答えられたら完璧です。

 

 

 

 

今回は、会計監査の現場でもたびたび議論になる「事業計画」について、経営者と公認会計士(会計監査人)の視点の違いについて、解説します。

 

 

監査における「事業計画」の位置づけ

会計監査の現場では、会社の事業計画や予算を確認する場面が少なくありません。
代表的な例としては、

  • 固定資産の減損検討における将来キャッシュフローの見積もり
  • 税効果会計における将来課税所得の見積もり

など、会計上の見積もりが関係する項目が挙げられます。


監査人が着目するのは「その事業計画は実現可能か」という点です。

過去の実績や受注残高といった裏付けがあるかどうか、あるいは「絵に描いた餅」で作っただけの数字ではないか、といった視点から、保守的かつ慎重に検証していきます。

 

経営者が描くアグレッシブな未来

一方で、事業計画を策定する経営者の視点はまったく異なることがあります。
特にベンチャー企業やスタートアップでは、現実の延長線ではなく、大きな飛躍を前提とした計画を掲げるケースも少なくありません。

 

例えば、直近の売上高の数倍にもなる将来目標を掲げ、それを「本気で目指す」のが彼らのスタイルです。そこには次のような思想が含まれています。

  • 数割増しの売上目標は単なる「予定」を設けただけ。ワクワク感がない
  • 現状維持の外側にゴールを設定するからこそ、ブレイクスルーが起きる
  • コンフォートゾーンから脱却してこそ成長できる。
  • 無謀に見える挑戦が、従業員の発想や行動を変え、組織を成長させる

これはベンチャー特有の「攻め」の姿勢であり、多くの革新や成功も、こうした高い志から生まれています。

 

 

 

 

上場を視野に入れたときの転換点

しかし、こうした会社が株式上場を目指す段階になると、状況は変わります。


上場準備に入れば、公認会計士による監査が義務化され、会計処理も「現金主義に基づく税務会計」から「発生主義に基づく制度会計」へと本格的にシフトします。

ここではじめて、監査人が事業計画を精緻に検証することになります。


つまり、ベンチャー等の経営者が「未来への挑戦」として描いた計画を、会計士が「現実性」の観点からストレステストする、という構図が鮮明になるのです。

 

すれ違う両者の視点

こうした場面でしばしば起こるのが、経営者と会計士の間の摩擦です。

  • 経営者は「大幅な成長目標」を当然のように掲げる
  • 会計士は「過去実績や根拠のない数字は認めない」と突き返す

結果として「もっと手堅く計画を立て直してください」と指摘され、両者の意見が対立することもあります。

 

これは単なる価値観の違いではなく、役割の違いからくるものです。

会計士は投資家や社会に対して「説明責任」を果たす立場にあり、経営者は「未来を創る」役割を担っています。両者の緊張関係は、上場を目指す企業にとって避けて通れないプロセスといえるでしょう。

 

経営者が「大人」になるタイミング

特に上場という社会的な影響力の大きいステージを目指す際には、特にベンチャー経営者には「イケイケ」なフェーズから一歩進んで、現実的かつ説明可能な計画を立てるという「大人の対応」が求められます。
もちろん夢や挑戦を捨てる必要はありませんが、外部の目線に耐えうる計画が不可欠となるのです。

 

まとめ

事業計画をめぐっては、会計士と経営者で視点が大きく異なります。

  • 公認会計士(監査人):保守的・現実的。実現可能性を重視し、数字の裏付けを求める
  • 経営者:挑戦的・未来志向。非連続な成長を信じ、組織を鼓舞する

どちらが正しい、間違っているという話ではなく、役割の違いです。


しかし、企業が上場を目指すときには、この両者の視点をどう調和させるかが大きな課題となります。

 

「夢」と「現実」。そのギャップを埋めることこそ、上場準備における最大の経営課題なのかもしれません。

 

 

 

 

近年よく耳にする「年収の壁」。
表題の 103万円・106万円・130万円 の3つのラインは、特にパートやアルバイトで働く方にとって大切なポイントです。

 

この記事では、それぞれの壁の違いを整理しています。

 


103万円の壁とは?

まずは 103万円の壁
これは勤務先からもらう給与収入について「所得税がかかるかどうか」の基準です。

給与収入が103万円以下であれば、所得税はかかりません。理由は、すべての給与所得者に、下記2点の控除が認められるためです。

 

1.給与所得控除(最低額55万円)
2.所得税の基礎控除(48万円)

 

この2つを合計すると 103万円 になります。

そのため、アルバイトやパートでの年収が103万円以下であれば、課税所得はゼロとなり、所得税もかからず、確定申告も不要です。


106万円の壁とは?

次に 106万円の壁
こちらは「勤務先の社会保険に入るかどうか」の基準です。

  • 判断するのは「1つの勤務先からの給与額」であり、複数の勤務先の合計ではありません。
  • 社会保険に加入する条件は、以下をすべて満たした場合です。
    1. 勤務先の従業員数が51人以上
    2. 週の所定労働時間が20時間以上
    3. 月額賃金がおおむね8.8万円以上(年収換算で106万円)
    4. 学生でないこと

これらを満たすと、その勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する必要が出てきます。


130万円の壁とは?

そして 130万円の壁
これは「配偶者の扶養を外れるかどうか」の基準です。

  • 年収が130万円を超えると、配偶者(例:夫)の扶養から外れる必要があります。
  • その場合、ご自身で 国民健康保険・国民年金 に加入し、保険料を負担することになります。

こちらは「複数の勤務先からの収入も含めた合計年収」で判定される点が、106万円の壁との大きな違いです。


まとめ

  • 103万円の壁:給与収入が103万円以下なら所得税はかからず、確定申告も不要。
  • 106万円の壁:1つの勤務先の給与収入が106万円を超え、一定条件を満たすと、その勤務先の社会保険に加入。
  • 130万円の壁:年収合計が130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、自身で国保・国民年金に加入。

内容は基本的なものですが、よく混同しがちになりやすいと思いますので、改めて整理するとすっきりすると思います!

今回は、過去私が中間決算の会計監査の現場で実際に議論になった「売上の取消し」に関する、少し特殊な仕訳事例をご紹介します。

 

1. 通常の売上取引の流れ

まずは一般的な売上取引とその仕訳を整理しておきましょう。

 

<事例>
当上期に売上を100計上。顧客へ納品・検収済み。

 

①顧客への売上時(取引合意時)

(借)売掛金 100 / (貸)売上高 100

 

②入金時

(借)現預金 100 / (貸)売掛金 100

 

ここまでは、ごく一般的な仕訳です。

 

2. 通常の売上取消しの仕訳

 

まず最初に、返品やキャンセルといった「通常の取引の範疇」で発生する売上取消の仕訳を見てみます。

 

例:ネット通販の返品の場合

(借)売上高 / (貸)売掛金

 

この場合は「取引そのものが不成立となった」ため、売上高を減額して処理するのが自然です。

つまり、通常の取消しであれば、借方は「売上高」の勘定科目が用いられます。

 

3. 少し特殊なケース:「雑損失」で処理

 

今回ご紹介したいのは、売上高の取消しではなく借方に「雑損失」を用いる点が特殊なケースです。

 

【事例】

 ※1.通常の売上取引の流れの事例の続きです


・当下期に納品物の不具合が発覚

・原因は、売り手側の対応不備にあった

・顧客との関係維持を優先し、売り手の判断で売上金の全額を返金した

 

この場合の仕訳は次のようになります。

 

(借)雑損失 100 / (貸)現預金 100

 

【イメージ図】

 

4. なぜ「雑損失」なのか?

 

監査チーム内でも議論になったのは、「売上高の取消し(借方:売上高)」ではなく「雑損失」を使う点でした。

 

整理すると、以下の理由があります。

 

・顧客は検収に合意済みで、売上取引は成立していた。 

売り手の履行義務は完了しており「売上高の取消し」とは言えない。

・契約上、返金条項などが明記されていなかった。返金は売り手側の自主的・イレギュラーな判断によるもの。 

⇒仮に返金条項が契約時点で明記されている場合は、収益認識基準上、そもそも売上計上自体が認められない可能性がある。

・本件は、営業外取引の性質が強いため「雑損失」処理が適切。

 

 

まとめ

 

・通常の返品・キャンセル ⇒ 借方は「売上高」

・履行義務完了後、想定外の返金 ⇒ 借方は「雑損失」

 

返金という取引自体は珍しいものではありませんが、「売上高の取消しではなく雑損失で処理する」という少し特殊な点が個人的に新鮮だったので、今回取り上げてみました。

企業が保険契約に基づいて受け取るお金には、主に「保険解約返戻金」と「保険金収入」があります。
いずれも保険契約に基づく収入ですが、キャッシュフロー(以下「CF」)計算書における区分などが異なるため、明確に整理しておくことが大切です。

1. 保険解約返戻金とは
保険解約返戻金は、契約途中で保険を解約したときに、保険会社から返戻されるお金です。

<会計処理イメージ>
〇解約前に計上されていた「保険積立金」(資産)の取崩しに対応する入金。
〇入金額と積立金との差額は「雑収入(保険解約返戻金)」として損益計算書(以下「PL」)に計上。

【仕訳イメージ(※数値は仮)】

<CF計算書での表示方法>
〇CFの表示区分は「投資活動によるCF」。
〇表示例:保険積立金の解約による収入
〇入金額と資産の取崩額との差額(保険解約返戻金)は「営業CFの調整項目」として加減算調整される。



2. 保険金収入とは
一方、保険金収入とは、保険契約に起因する事故等(損害保険の事故保険金や生命保険の死亡保険金など)の発生により受け取るお金を指します。

<会計処理の考え方>
〇性質的には、「営業活動に付随して発生する収入」と考える。
〇PL上は「雑収入」「受取保険金」などで計上するのが一般的。

<CF計算書での表示方法>
•表示区分は「営業活動によるCF」
•表示例:「保険金の受取額(小計欄の下)」
解約による収入ではないため、①の「保険解約返戻金」とは明確に区別されます。


3. 両者の違いを整理すると
〇保険解約返戻金
・CF計算書の実務指針に従い「投資活動によるCF」で表示
・入金額と保険積立取崩額との差額は、PL「保険解約返戻金(雑収入)」で計上し、CF計算書上は「営業CFの調整項目」として反映

〇保険金収入
・営業活動に付随して発生する収入のため「営業活動によるCF」で表示
・PLでは「雑収入」や「受取保険金」として処理

4. まとめ
上記保険契約に関連する入金は、ぱっと見で似てはいますが、CF計算書における区分は異なります。
•解約返戻金は「投資活動によるCF」
•保険金収入は「営業活動によるCF」

経理実務では、BS・PLの勘定科目だけでなく、CF区分についても適切に整理しておくことが重要です。
開示に関しては、有価証券報告書などの他社事例を参考にすると、より実際の表示方法についてイメージしやすくなります。

 

 

 

会計士・税理士として日々仕事をしていると、複雑な会計処理や税務論点に直面する場面が少なくありません。
最近、そうした場面で頻繁に活用するようになったのが「AI」です。

今回は、私自身が実務でとても助けられているAIツール「perplexity」をご紹介したいと思います。
Perplexity

perplexityって何?
正直、AIの仕組みや他のAIとの構造的な違いまでは、詳しく理解していません。
ただ、結果として「実務でかなり役に立つ」というのが率直な感想です。

特に、会計や税務でのやや複雑な論点について相談を受けたとき、従来は書籍やネット検索を駆使して時間をかけて調べる必要がありました。
それが、perplexityを使うようになってからは「調査や論点整理のスピード」が一段と上がったと感じています。

実際にどう役立つのか?
<複雑な論点の整理が早い>
もちろん、難しい会計処理の相談に対して、1発で完璧な回答が返ってくるわけではありません。
ただし、断片的でも有用なヒントを提示してくれることが多く、それらをつなぎ合わせることで論点整理が効率化します。

<視点の幅が広がる>
「こういう考え方もあるのか」という視点を得られるので、従来の調査では気づかなかった角度から検討できる点も魅力です。

<スピード感>
クライアントからの急な質問に対しても、まず方向性をつかむ助けになり、初動が速くなります。

感じたデメリット

上記のような便利さがある一方で、使ってみて感じたデメリットもあります。

<無料プランの制限>
1日に2〜3件ほどしか質問できません。回答のクオリティが高いだけに、すぐに上限に達してしまいます。

<質問のクオリティも重要>
限られた回数で効率よく情報を得るためには、事前に「何を聞きたいか」を整理しておく必要があります。
漠然とした質問より、具体的で絞り込んだ質問の方が役立つ答えを得やすいと感じています。

AIに仕事を奪われる?それとも活用する?

このツールを使い始めてから、「会計士要らないんじゃないか?」と脅威に感じることも、最近けっこうあります・・。
AIの精度が高まるほど、従来の“知識を持っているだけ”という付加価値は弱まっていくのは事実でしょう。

ただし、AIが出してくれるのはあくまで“材料”。
それを整理し、正しく解釈し、クライアントに合った解決策に落とし込むのは、やはり人間の専門家の役割です。
だからこそ、今後ますます「自分の付加価値は何か?」に真剣に向き合う時期に来ていると強く感じます。

まとめ
・perplexityは会計・経理実務において非常に役立つAI
・特に複雑な論点整理や調査スピードの向上に効果的
・ただし無料プランの制限や質問力の重要性には注意
・AI時代においては「情報をどう活かすか」が専門家の価値になる

 

AIに脅威を感じつつも、実務を効率化し、より高いレベルの付加価値提供に集中するために、積極的に取り入れていきたいと考えています。