先日、中小企業の経営者の方々との懇親会に参加してきました。
業界も会社の規模もさまざまで、普段あまり聞くことのできない話をたくさん聞くことができ、とても刺激を受けました。
もちろん、資金繰りや人材採用といった現実的な話もありましたが、それ以上に印象に残ったのが、
「会社をこれからどうしていきたいか」「次はこんな事業をやってみたい」といった未来の話です。
皆さん、本当に楽しそうに話されます。
その話を聞きながら、ふとこんなことを思いました。
「会計士って、"具体"を考えることは得意だけど、経営者のような"抽象"を考える機会って意外と少ないのかもしれない。」
もちろん、人による話です。
会計士でも経営者として活躍されている方はいますし、抽象的な思考が得意な方もたくさんいます。
なので、あくまで「職業柄」という話です。
会計士は、とにかく"具体"を考える仕事。
改めて考えてみると、会計士の仕事って、ものすごく「具体」の世界です。
例えば、
「この判断は適切なのか。」
「この論点はどう整理すべきなのか。」
「どこにリスクが潜んでいるのか。」
そんな一つひとつの課題について、事実を集め、会計基準等に照らし合わせながら、一歩ずつ結論を導いていきます。
大きな問題を細かく分解して、一つずつ整理していく。
会計士って、こういう思考が自然と身に付く仕事なんだと思います。
逆に、「5年後、会社をどう成長させるか」「どんな新しい価値を生み出すか」といった抽象的なテーマを考える時間は、
普段の仕事ではそれほど多くありません。
だからこそ、気付かないうちに「具体」を考える力がどんどん鍛えられていくのかもしれません。
仕事は「何をやるか」より、「どうやるか」
もう一つ思ったことがあります。
会計士の仕事って、基本的には誰かから依頼を受けて始まります。
監査もそうですし、会計コンサルティングもそう。
DDやIPO支援も、「この案件をお願いしたい」という依頼があって初めて仕事になります。
つまり、「何を解決するか」は、ある程度決まっていることが多いんです。
私たちは、その課題をどう整理し、どう解決するかを考えるプロフェッショナル。
一方で、「何を事業にするか」「どんな市場へ挑戦するか」というスタート地点そのものを考えることは、実はあまり多くありません。
この違いは、経営者の方々と話していて改めて感じました。
独立しても、やることは意外と変わらない?
会計士は独立しやすい資格だと言われます。
私自身も独立していますが、よく考えてみると、仕事の中身はそこまで大きく変わっていません。
監査、会計コンサルティング、DD、IPO支援…。
もちろん働き方は自由になりますし、自分で仕事を選べるようになります。
でも、「専門家として課題を解決する」という軸は、勤務時代とあまり変わらないように思います。
ゼロから新しい事業を考えたり、自分で市場を作ったりするよりも、
自分の専門性を磨き、それを価値として提供する。
そんな働き方を選ぶ会計士が多い気がします。
会計士は「社長」より「参謀」タイプが多い
これも完全に個人的な印象ですが、
周りを見ても、会計士出身で事業会社の代表取締役やCEOとして経営を引っ張っている方は、
それほど多くない気がします。
もちろんゼロではありません。
でも、多いのはCFOや管理部門の責任者、監査役、社外取締役などのポジションです。
どれも会社にとって欠かせない重要な役割ですが、どちらかというと「会社を支える側」です。
数字やリスク、ガバナンスの面から経営を支える。
まさに「社長の右腕」「参謀」という立ち位置です。
会計士の強みが一番発揮されるのも、このポジションなのかもしれません。
「何をやるか」と「どうやるか」
今回の懇親会で、経営者の方々の話を聞いていて、一番印象に残ったのはここでした。
経営者は、
「会社はどこへ向かうか。」
「次は何に挑戦するか。」
「どんな価値を世の中に届けたいか。」
そんな、明確な正解のない問いについて考え続けています。
一方で、会計士が普段向き合っているのは、
「それをどう実現するか。」
「どう整理すれば適切か。」
「どんなリスクがあるか。」
という問いです。
どちらが難しいとか、どちらが重要という話ではありません。
でも、考えていることの"レイヤー"は少し違うのかな、と感じました。
まとめ
今回の懇親会を通じて、「会計士は具体を考える力が鍛えられる職業なんだな」と改めて感じました。
もちろん、それは会計士の大きな強みです。
目の前の課題を整理し、論理的に解決へ導く力は、多くの企業から求められる価値そのものだと思います。
ただ、その一方で、経営者の方々のお話を聞いていると、
「会社はどこへ向かうのか」「何を実現したいのか」といった抽象的なテーマについて考える時間の多さにも驚かされました。
だからこそ、私自身も専門的な論点だけでなく、
「この会社はどこを目指すべきなんだろう」「社会にどんな価値を提供したいんだろう」といった視点でも、
もっと考えられるようになりたいと思いました。
会計士は「具体」が得意。
だからこそ、意識して「抽象」にも目を向けてみる。
その両方を行き来できるようになったら、今よりもっと面白い仕事ができるのかもしれません。
そんなことを考えた一日でした。










































