※本記事は特定の企業を前提としたものではなく、実務上よく見られる取引を一般化したものです。
今回はやや会計マニア向けの、お墓を扱う業種の会計処理の解説記事になります!
墓地ビジネスの会計処理は、一見シンプルに見えますが、実務上は多様な収益構造を持っています。
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お墓の管理受託手数料
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墓の施工や撤去
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お寺の境内・区画工事
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プレート・彫刻などの追加オプション
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相続不動産の紹介手数料
こうした異なる性質の収益が混在するため、収益認識時点の整理が曖昧になりやすい領域でもあります。
本記事では、墓地ビジネスで見られる代表的な収益パターンごとに、会計処理の考え方を整理します。
① 樹木葬の管理受託収益
近年増えている樹木葬の利用者から、月次で使用料がお寺に支払われ、その一部をお寺から委託された管理運営の手数料収益として配分を受けるような取引です。
<収益認識の考え方>
各月の実績に応じて収益認識します。
月ごとの使用料は、新規利用者の増加や解約等により変動します。そのため、実務上は当月実績に対して、当事者間の契約であらかじめ定めた一定割合を乗じた金額を、顧客との契約期間に渡り毎月末時点で請求・収益計上する形になります。
② 樹木葬オプション売上
①に付加される、樹木葬のプレート・彫刻などの追加オプションに係る収益です。
<収益認識の考え方>
納品時点で収益認識します。
入金後に、彫刻等作成業者へ外注し、完成後に顧客へ納品する流れであることから、履行義務の完了は納品時点と整理されます。したがって、入金時点では前受金として処理することが適切です。
③ お寺の境内工事・区画整備
境内工事や区画整備に関する収益です。
<収益認識の考え方>
工事完了時点で収益認識します。
実務上の論点は、完了の事実をどのように証明するかにあります。検収書の取得に加え、顧客からの検収完了メールの確認や、顧客の責任者不在時のリモート検収など、実態に即した証跡整備が重要となります。
④ 墓じまい(解体・撤去)
既存の墓の解体・撤去に関する収益です。
<収益認識の考え方>
解体・撤去作業完了時に収益認識します。
入金時点では履行義務が完了していないため前受金として処理し、作業完了時に収益へ振り替えることが基本となります。
⑤ 相続不動産の紹介手数料
墓利用者が相続した不動産の処分に困っているとき、不動産会社へ紹介することにより得られる手数料収入です。
<収益認識の考え方>
不動産売買契約成立時点で収益認識します。
不動産紹介の履行義務は、不動産売買契約の成立をもって完了すると考えられるため、入金時ではなく成約時が収益認識時点となります。
⑥ 建墓売上
従来型の墓石の設置・引渡しに係る収益です。最近は①樹木葬の需要が増加し、墓石は減少傾向にあるようです。
<収益認識の考え方>
納品時点で収益認識します。
履行義務の完了は引渡しと検収により確認されるため、当該時点が収益認識時点となります。
⑦ 埋葬彫刻
⑥の既存墓への追加彫刻に関する収益です。
<収益認識の考え方>
納品時点で収益認識します。
樹木葬オプションサービスと同様に、履行義務の完了時点である納品を基準とします。
まとめ
墓地ビジネスにおける収益認識は、個々の取引ごとに見るとシンプルですが、全体としては以下の3点に整理されます。
① 履行義務が完了した時点で収益を認識する
② 入金時点と収益認識時点を区別して処理する
③ 収益認識を裏付ける証跡を適切に整備する
経理実務では、入金時点で収益計上が行われているケースが多々見受けられますが、履行義務が未了である場合には前受金として処理する必要があります。
墓地ビジネスは、複数の収益類型が混在するため、会計上は履行義務の観点から整理することで、収益認識の考え方が明確になりやすくなると考えます。
実務担当者にとって、押さえておきたい基本論点の一つといえるでしょう。
※本記事は特定の個社事例ではなく、一般的な実務整理として記載しています。

























