私の娘、紅梨(クリ)は脊髄小脳変性症の

DRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)

という病気を患っています。

 

脳が萎縮していく病気で、遺伝性・進行性・治療法はありません。

現在は寝たきりの状態です。

 

夫、千秋さんは5年前に、クリに薬が間に合う事だけを祈りながら亡くなりました。

 

現在はキュアDRPLAという団体で

治療法開発活動をしています。

またFacebook内で

患者家族会を立ち上げました。

 

どうか、DRPLAの治療法が

見つかりますように

自己紹介の最初からはこちら

 

バーブ(母)は

12月に入ると

急激に弱っていきました。

 

あまり食べなくなり

腹水も溜まっていきました。

 

特にエマージェンシールームで

腹水を抜いてからは

呼吸は楽になったものの

「苦しい」と言う時間が

増えました。

 

 

私は痛み止めの薬を飲ませたり

背中をさする事しかできず

辛い時間が続きました。

 

バーブは苦しそうに

「もういいよ。

逝きたい」

と言いました。

 

私は

「少しでも長く一緒にいたい」

という気持ちと

「バーブが望むなら

逝かせてあげたい」

という気持ちが

何度も交差しました。

 

 

おかゆが中心の生活から

アイスとブドウだけになり

ジュースしか飲まなくなり

最後は水しか受け付けなくなりました。

 

モルヒネを

あげてからは

苦しむ時間は減って

多くの時間を

寝て過ごしていました。

 

 

それでも

ずっと

クリと私と

一緒にいられる事を

喜んでいました。

 

 

その頃になると

「誰にも

会わなくていい」

と言い

 

毎日の様に

フェイスタイムで

話をしていた新父とも

声だけで話す様になりました。

 

痩せた姿を

新父に見せたくなかったのでしょう。

 

亡くなる前日

バーブは新父と

話をして

最後の挨拶をして

 

電話を切った後に

「もう話さなくていいから」

と言いました。

 

 

「いいの?

またかけてきてもらう?」

と聞きましたが

 

私も新父も

バーブの性格を知っているので

望み通りにしました。

 

一人で納得して

逝きたいんだな

と思いました。

 

 

バーブは

前回のブログに書いた通り

『インデペンデント

(自主的)』

だったんです。

 

他にも

いくつも

バーブの「我が道を行く」行動は

あったのですが

その一つがトイレです。

 

亡くなる前日

既に立つ事も座る事も

できなくなっていましたが

「トイレに行きたい」

と小さな小さな声で言いました。

 

「もう無理だよ」

と言いましたが

絶対にバーブは

ダイパーに

したくないのです。

 

私もナースのシェラも

呆れ返りつつ

 

二人でバーブを抱き上げ

車椅子に下ろし

私がバーブの頭を支えながら

車椅子を押し

シェラがバーブの足を抱えて

トイレまで連れていきました。

 

絶対に病院や施設では

しないと思います。

 

 

私はシェラに

「ごめんね〜」

と謝りましたが

 

シェラは後から

『インデペンデントで感心した。

尊敬する』

と言っていました。

(日本的感覚では

わがままだと思うんですが、、)

 

 

 

 

最後の日は

朝から呼吸数も心拍数も

低下しました。

 

シェラに手伝ってもらって

クリの手を触らせました。

 

 

寂しかったけれど

本当に命の輝きを

見せてもらった気がします。

 

そして

バーブの呼吸は

静かに止まりました。

 

が、

また数分後に

息をするんです。

 

それを繰り返します。

 

 

夕方になり

シェラが帰り

 

私はずっと

バーブの手を握っていました。

 

バーブは

息が止まり

また戻りを

繰り返していました。

 

何度も

繰り返しました。

 

その間も

ずっと

手を握っていました。

 

 

「あ、そうか」

私は気がつきました。

 

バーブは一人で逝きたいのです。

 

「バーブ

一人がいいんだね。

分かったよ。

私はシャワーを浴びてくるから

その間にいってもいいよ」

と言いました。

 

もう十分

話もしましたし

ありがとうも言いました。

 

 

最後を見送りたいのは

私の方で

バーブの希望は違うのです。

 

悲しいけど

「バーブの最後の望みを叶えよう」

と思いました。

 

 

私は

バーブの髪の毛を

整えてから

シャワーを浴びにいきました。

 

続く

 

バーブの信じられない最後①はこちら

 

 

『母が旅立ちました』