形成外科の外来は大学病院らしく
予約の時間に呼ばれる事はない
それでも今日は30分オーバーで呼ばれたので
いい方だ
形成外科の診察に呼ばれ
中に入る
この形成外科の教授と話すと
いつも明るい気持ちになる
今日は学生がひとりもいない
いや、人はいるのだが
それが学生なのか看護師なのかがよくわからない
まずは傷口の様子を診る
いつものように
他の患者が間違って入って来ないように
診察室の鍵は締められ
診察室のドアの小窓の磨りガラスから見えないように
スクリーンカーテンが下ろされる
上半身裸になっている間も
教授と自分の会話は続く
教授『自家組織とインプラントどっちがいいかな。やっぱりインプラント?』
自分『こないだ先生が自家組織が良いかもって言ってくれてから、色々調べたんです。お腹から組織を持ってくるとして、それが思いがけず大きく組織を取るってわかって·····傷が治りにくい体質だし·····先生ともっとよく話しあってから決めようと思っています』
教授『確かに傷口は治りにくい体質だね』
と、
傷口を診てもらう
教授の顔が自分の胸の前に来る事も
もう何とも思わない
教授『ウンウン、胸筋の委縮はおきているね』
教授『で、お腹に傷あったんだよね』
と言いながら
自分のワンピースを下げようとしているが
ボタンとベルトを外さないと下がらない
下がらないのに
教授はぐいぐいと服を下げようとするのをやめない
自分『先生待って、ボタン外します』
お腹の傷口を診て
教授『ここも肥厚性瘢痕になってたね。それが治った傷だね』
自分『これは2015年の手術の傷で、落ち着くまで何年もかかりました』
教授『ふんふん』
自分『私、手術の度に炎症を起こしているからそれが不安なんですよ。去年も先生に助けてもらわなかったらどうなっていたことか···』
教授『なったらなった時に淡々とやるだけだね』
と笑っている
ほう、そうか
自分『それに、手術の度に何かが起こるんですよ。2015年の時はその後なぜか2年位歩行困難になってるし····昨年も·····なぜか色々な起こるはずのないことが自分の身に起きてしまうんですよ。
因みに今回の手術は硬膜外麻酔はやりますか』
教授も看護師も、うんうんとうなずきながら聞いてくれている
教授『あ、硬膜外麻酔はやらないで出来るから大丈夫』
自分『あぁ、良かった。
ところで自家組織だと一回で手術は済むのですか。エキスパンダーを入れた後の自家組織とインプラントの選択って聞いていたけれど、自家組織の手術は一回限りでも出来るのですか』
教授はうんうんとうなずきながら
『自家組織だと、一度の手術でも可能なんだけれど、先にとりあえずエキスパンダーを入れて、そのとき、もし人口物が入っていても大丈夫なら、そのままインプラントで再建するというてもあるし、もしエキスパンダーを入れてててあまりにも違和感があれば、自家組織にしたら良いかもね。そういう選択もあるよ』
と言ってくれる
教授『脂肪があまりないからさ
背中からよりお腹から持ってきたほうが良さそうだよね』
そして
『脂肪注入が保険適用になればね
良いんだけれどね。ずっと待っているんだけれど保険適用にならないんだよね』
とも言ってくれる
次の乳腺外科が8月で、
術後一年目の検査がある
その時の結果で再発転移がなければもう少し具体的な事を決めようということになった
次の予約は8月ではあきすぎるから、7月に来れるかを聞かれ
教授『乳房再建外来っていうのがあるんだけれど、来てみる?他の病院から専門の先生が来るんだけれどね·····』
自分『あぁ 、一度御逢いしたことがあります。
あの若い女の先生ですよね』
教授『あぁ、会ったことあったかい
若く見えるけれど、そんなに若くないんだよね』
と、教授がいい
また念を押すように
『若くはないんだよね』
という
その部屋にいた皆で教授のその言葉に大笑いした
教授は、
『自分のこういうところがだめなところなんだよね.....でも、本当に若くはないんだよね』
と笑っている
そして、はい、と渡されたホルダーは別の患者さんのもので
『あぁ、ここに置いておくのがダメなんだな』
と言っている
本当にこの教授と話すと明るい前向きな気持ちになれる
そんな形成外科の受診を終えて