札幌の病院へ行くたびにこの神社の前を通っていたので、この神社があることは知っていた
知ってはいたが、寄ってみようと思うことはなかった
その日もこの神社に寄ろうなんて
これっぽっちも考えていなかった

そういえば、その日はいつもと同じ時間に家を出たのに、いつもよりかなり早く旭川駅に着いた
いつもの時間より一本早い札幌行きのJRに乗り、札幌駅で手稲行きに乗り換え
いつもより早く琴似に着いた
病院へ向かうバスの時間まであと40分程あった
いつもだったら、早く着いたらバスの時間までその辺りで時間を潰しているのだが、その日は違った
駅前に掲げてあったお祭りののぼりを見て
突然
「琴似神社に行こう」
と思った
思った瞬間、琴似神社に向かって歩き出していた
のぼりに誘われて
神社に引き寄せられた感じだった
頼りないこの足でも20分かからないくらいで琴似神社にたどり着く
この土地の神さまの場所にお邪魔する
手水で手と口を浄める

どうしてなのかはわからないが
ここには参拝する場所がいくつかあるようだ
よくわからないけれど、お邪魔しているのだから、それぞれの神さまに挨拶をすることにする
正面から見たときと横から見たときの表情が違う「撫牛」がいる
なぜか撫牛のところに、ガラガラと鳴らす大きな鈴があった
それをいつものようにガラガラと音を立てると、宮司がひょっこり現れた
心の中で
「この神社は用事があったらこれを鳴らすのだろうか・・・
いやいや、これは神さまの場所に来ましたよ・・・の合図だよね・・・」
と思いながらも笑顔で
「こんにちは」
と挨拶をし、参拝を続けた
撫牛を撫でるのは初めてだった
表情が変わって見えるこの撫牛を、撫でるのに夢中になってしまい、お願い事をするのをすっかり忘れていたことに気づく

ここの土地の神さまにパワーをいただき
病院へ向かう
神社を出たあたりから
急に頭痛を感じていた
すごいパワーのある神社なのだと
体が教えてくれた
神社の参拝をしたあとに
こういう状態になる事は割と多い
その場所のパワーに比例して
体に異変が起こるのだ
いつも素通りのこの神社に呼ばれた意味は何だったのだろう
きっとそのうち
ストンとわかる時が来るだろう
人生に無駄な事は何もない
必ず何か意味がある