実は長いこと大石静さんの脚本のファンである。
何も知らずに「この話、次はどうなるの。このキャラから目が離せない」と魅せられたドラマが『脚本 大石静』なことが多いと気づいたのは何十年前だろう。
シナリオの勉強を始めてからは、「キャラが奥深くて面白くて魅力的」「ストーリーの展開が意表をつきながらちゃんと伏線もあって楽しめる」のが大石ワールドだなあなんて思いながら見ていた。
「ふたりっ子」「私ってブスだったの?」「私の運命」「長男の嫁」「あきまへんで!」「愛と青春の宝塚」「お天気お姉さん」「家売るオンナ」など、昔から近年に至るまで、大石作品をWikiを見るまでもなくスラスラ言えるほど好き。
また、数年前に宝塚にハマったそのきっかけの舞台が大石さんの脚本だった。大石さん、筋金入りの宝塚ファンだとか。
書かれたエッセイもほぼ全て持っている。
玉ねぎのみじん切りの仕方を家庭科の先生に怒られて理不尽だと思ったこと、癌と闘っていた時期があること、朝ドラ女優になりたかったのだが脚本家へ逸れていったこと。
そんなどれもこれもが、どれかの作品に生きているように思える。
また、講演にもよく出かけた。
大石さんのお話は、書かれる脚本と同じように起伏に富んでいて、「脚本の勉強」と思わずに聞いても面白いのである。
周りの方のお話もいろいろ耳に入ってきた。大石さんは個人的なことでもざっくばらんに語る方で、打ち合わせではそこまで言っちゃう? ってことまで話されるとか。
そういうところが深いキャラを作り上げることのできる理由なのかな、と思ったり。
なので、私には真似できないかも、とも思った。
私は人に自分のことを話すのが苦手で、そこから話を広げていくというやり方がたぶんできない。
それができないと言っているうちは脚本家になれないのだろう、とか落ち込んだりもして、結局なれなかったのはやはりそのせいもあるかもしれない。
ともかく、長年一線でご活躍なのに、更にいまだに話題作を作り続けている大石さん。
今年の大河ドラマ「光る君へ」。
巷で視聴率がなんだかんだと言われているけれど、キャラ一人一人に面白みがあって、どうなるの、という展開の速さなど、もう相変わらずの目の離せなさ。私にはこの45分がいつもとても短く感じる。
それに合わせてか、BSでは24年前の朝ドラ「オードリー」が再放送されている。これがまた第1話からすごい吸引力なのだ。
実母がいるのに隣の旅館の女将がやたら面倒を見てきて母が2人に、という設定なのだが、それが「怖すぎる」「ホラーだ」とSNSで囁かれたりしている。
が、エッセイによれば、これも大石さんの実体験だったはず。どれだけ経験を生かしてるんだ、大石さん。
ちなみに先週末は、堺雅人さんが脇役で出ていて驚き。佐々木蔵之介さんにしろ、今をときめくイケオジの若い頃のお宝映像でもある。
そんなことも含め、旧朝ドラも大河も長いスパンでの放送なので、楽しみがしばらく続くのが嬉しい。
(了)
↓「お花見」がお題の新作短編です。14分で読めます。(ヒューマンドラマ)
↓「おなかが空いた」がお題の短編です。12分で読めます。(コメディになりそこねたヒューマンドラマ)
読み切り連載始めました⚾
「キッコのベンチ裏レポート」
*****
↓第213回コンテストで佳作に選んでいただいた「ポケットの中」がお題の短編はこちら。11分で読めます。
↓「あなたを消した理由」がお題の短編。8分で読めます。(現代ファンタジー)
↓「雪の思い出」がお題の短編。9分で読めます。(ヒューマンドラマ)
↓第185回コンテストで入賞作に選んでいただいた「○○解禁」がお題の短編はこちら。14分で読めます。
バラを育ててはいけません (ファンタジー)