「憧れるのをやめましょう。憧れてしまったら超えられないので」
これはもちろん、あの大谷翔平選手がWBCの決勝戦前に侍ジャパンみんなに呼びかけた名言である。
まだ7月だけど、個人的に今年の流行語大賞はこれだと思っている。
それをタイトルに掲げた映画を観てきた。映画というか、映画館で観るドキュメンタリーというか。
あの激闘、あの感激とあの興奮が生まれた、WBC優勝までの軌跡。出場選手を選ぶところからスタートする裏話。
このWBC、私は壮行試合から全部オンタイムで観てきた。優勝の瞬間も、テレビの前で一人で雄叫びをあげた。その後のシャンパンファイトやら特集番組もぶっ続けで観た。更に数か月後にオンエアされたドキュメンタリー番組も観た。
なので、経緯はもう全てわかっている。
選ばれたはいいが、怪我で辞退せざるを得なかった選手。
怪我を押しても出場し続けて素晴らしいプレイを見せてくれた選手。
不調続きで苦しんで最後の最後土壇場で大仕事をした選手。
大事なところで打たれてベンチ裏で涙した選手。
そしてコンスタントに試合をあきらめない一打を放ち続けた選手。
皆を引っ張った精神的、攻撃的リーダー格の選手。
そんなのを全部目の当たりにして、全部知っていて、次はこうなるんだよね、とわかっていたのに。
この映画で再び感動していた。
映画終わりには、客席から拍手も湧いていた。
みんな同じ気持ちだったんだろう。というか、普通の倍もする料金でこれを観に来たのは、あの激闘に見惚れた人たちなはずだろうから当然か。
ちょうど交流戦が終わってペナントレースがお休みだったタイミング、この集まった人たちが野球好きだとを証明していたように思える。前から3列目の席しか取れなかった盛況ぶりだった。
そもそも野球観戦歴○十年以上の私も、ここまで凄まじい試合はそう観たことがなく、ワクワクとドキドキとハラハラとソワソワと、終わった後には灰になるほどのめり込まされたわけで。
つくづく野球というのは社会の縮図。
それだけの努力やチームワークを育てていけば、こんなことが起こり得る、起こし得る。
そんなことを思わせてくれたWBC。それを振り返りながら、ただ試合を辿るだけじゃなかったこの映画、観に行けてよかった。
当初予定の3週間限定公開にちょっとだけの期間延長で先週終了。もっとロングランでもよかったのでは、と、もったいなく思っている。
(了)
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