自分が書いた物語を後から読み返したとき、全く忘れていることもあれば、こういう意図で書いたな、とハッキリ覚えている文章もある。
後者がなぜかといえば、その一文に思い入れや理由があるから。
例えば、昔の思い出にリンクしていたり、ある人を思い描いて書いたからだったり。
今、定期開催のネット短編小説コンクールに皆勤投稿中なのだけれど、9割方で落っこちている。
大量の落選作品を寝かせておくのも何なので、他のコンクールに出せるかな? と整理することがある。箸にも棒にもかからなかった話たちでも、作者としては気に入っている物は結構あって。
それは、やっぱりそういう「理由」のある一文を組み込んである小説なことが多い。
よく巷でゴーストライターとか、パクリとかが登場する。事実であれ、ドラマ内のことであれ、丸ごとそのまま使っちゃそりゃアウトでしょ、と思う。そのソックリ同じ文だのストーリーだのは、どっちが真似したのか? となると、証明は難しいよね、とも。
でも、「このエピソードはこんな思い出を元に書いたのだよ」「この人物は私の友達にこんな変なキャラがいてモデルにした」なんていう、その人にしか書けないだろう文章があれば、こっちが本家本元、という証拠になるような気がする。
たとえば私も、もう2年くらい前に書いた短編の中に、変な文章がある。たぶん、物語として読んだ時に「これ必要?」みたいな、ストーリー上あんまり関係なさそうな一文。
以下、その過去作のあらすじ。
~ミユキさんという主人公が、恨んでいる相手がいる。ミユキさんはどこどこまでも追うが、そいつの前に姿は現さない。ただ、切り絵作家だった彼女が得意とするモチーフの「バラ」がそいつの周りに都度都度出現し、そいつを精神的に追い詰めてゆく~
この中で、私はミユキさんがバラが得意な切り絵作家であり「黒バラのミユキ」というニックネームを持つと設定。で、追い詰める相手には「黒バラのあるところ、ミユキ参上」というセリフで恐怖をあおる効果を狙った。
これ、わかる人にはきっとわかる。私が好きだった漫画家さんをリスペクトする意味で使ったものだから。
前者は和田慎二さん「大逃亡」、後者は美内すずえさん「黒百合の系図」から。
「黒バラの万里亜」、「黒百合のあるところ鬼姫参上」という。
で、もし私のこの過去作をパクった人がいたとしても、なぜここでこういうちょっと無駄な感じの呼び名や煽り文句が入るのか? という説明は難しいのでは。
でも私には、お二人をリスペクトして入れたとのれっきとした理由がある。このお二人の他のコミックもいまだたくさん持っている。
だからこの小説は私が書いたのだ、と言ったら信じてもらえるのではないだろうか?
……でも、その呼び名や煽り文句を使うこと自体がもしかしたらパクリに当たるかもしれないと思い、結局削除した次第ですが。
(了)
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