赤川次郎さんの小説に、「杉原爽香シリーズ」というのがある。
毎年1冊ずつ発行されるミステリー小説で、登場人物も1つずつ年を取っていく、というのが売り文句。現在は34作が発売されている。
このシリーズのタイトルには全て色が入っている。最初が「若草色のポシェット」、次が「群青色のカンバス」などと続いて、最新作が「狐色のマフラー」。
最初は15歳だった爽香も、今や48歳という……読み手も自分の半生を見るような時代の駆けっぷり。個人的感想としては、爽やか系と思っていたこのシリーズ、第9弾「暗黒のスタートライン」で衝撃を受けたっけ……。
で、このタイトルに使われている色が、亜麻色、琥珀色、緋色、象牙色、瑠璃色、小豆色……等々、日本語の色表現はたくさんあるのだなあ、と思い出させてくれるようなバラエティ。
でも、その色どんな色? と、その名からピンと思い浮かぶのは半分くらいだろうか。緋色や小豆色はイメージできても、亜麻色や琥珀色は、「ん? 何色?」となってしまう。
この34作にはないが、新選組の「浅葱色」というのも実際テレビなどで観るまで私はわかっていなかった。
若い頃から読み継いできたこのシリーズを思い出したのは、最近「その色どんな色?」と思うことが増えたから。
というのは、パソコンを持ち歩けるバッグが欲しくてネット検索をしていたことに始まる。
今のネットショッピングはカラーバリエーションが豊富。気に入った型のバッグを見つけたのはいいけど……
昔から、アイボリーとかカーキとかネイビーとか言われるのが苦手。
薄い黄色っぽいやつ、何かくすんだ緑と茶色の間くらい、濃いブルー系、との認識で合ってるのか未だに自信がないほど。
でもこれらは割に長いこと普通に使われているようので、まあ取り敢えず慣れてはきた。
が、最近は本当に「?」となる。
キャメル、ラズベリー、アプリコット。
うーむ……薄茶色……赤紫……オレンジ……な感じで当たらずとも遠からず?
更に、スチールグレーとかバーガンディとかハニーとか書いてあるともう想像もつかん。
写真を見る限りはまあいわゆる灰色? 紫っぽいの? 明るい黄色かな? ……という……
元々、物と名前を一致させるのに四苦八苦するタイプの私。お買い物も、リアル店舗で微妙な色味を吟味するのが普通だったので、色の名前などあまり考えずに生きてきた。
多分ネットショップが広がって、画像写真と実際との違和感が減るよう、より細かく色表現が分かれてきたのかな、と思う。
なので、今後ますます新しいカタカナ名前の色が増えてくるのだろうが……その度「???」と戸惑う絶対的自信がある。
せめて赤川次郎さんの小説のように、日本語名だと少しは想像もつくのだけれど。(注:カタカナ表記の色の巻もあります)
(了)
↓「兄弟/姉妹」がお題の新作短編です。14分で読めます。
↓「雨音」がお題の超短編です。2分で読めます。珍しく童話テイスト。
↓「ドキドキの理由」がお題の短編です。11分で読めます。ちょっとだけ時代劇絡み。
↓「レンタル○○」がお題の短編です。10分で読めます。