今日はお仕事お休みですか?(22/6/5) | 石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

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日常で気になったことや、長い物書き志望歴で思ったことをランダムに綴ります。

半年ぶりくらいに美容院に出かけた。担当してくれた美容師さんとは初対面。


で、最初に聞かれたのが「今日はお仕事お休みですか?」という、ルーチン中のルーチンみたいな、判で押したような取っ掛かりフレーズ。

 

悪気はないに違いないのだが、これが私は苦手。

 

話は飛ぶが、先日、新聞で井上荒野さんの一文を読んだ。自分の職業を明かすか明かさないか悩むというお話(22/5/31日経新聞)。

 

やっぱり美容院での「今日はお仕事お休みですか?」に対する件。これに「小説家です」と答えることができないという。


だってそう答えた場合、更に筆名やらどういった小説なのかを突っ込まれたら、そしてその美容師がそれを知らなかったら。……かなり気まずい感じになると。

 

れっきとした小説家である井上荒野さんでさえそうなのだ。ならば志望段階の私なんかが同じ思いに悶々としているだなんて、畏れ多いというか図々しいというか。

 

でも、そういう気まずさはものすごくわかる。

 

私の場合、物を書くことは職業には至っていなく、したがって他にアルバイトをしている。美容院で「今日はお仕事お休みですか?」と聞かれ、アルバイトのことを答えていいのか、物書きとしてはほとんど収入になってないんですよ、と答えればいいのか。

 

いや、美容院の予約は大体アルバイトのシフトがない平日の昼間に取るわけだから「(アルバイトは)今日は休みです」と答えるのが正解なのだろうし、そうすることにしているけれど。でも同時に頭では「どうせ文章では仕事になってませんよ」とつぶやいている。

 

物を書いている、なんて口にしたら、必ずどんなものを書いているのかを聞かれるだろう。すると絶対に向こうは知らないものしか挙げられないので、その後のお互いの間に流れるだろうぎこちない空気が目に見えてしまう。だから言わない。

 

というか、仕事がどうとか聞くの、やめてほしい。

 

そもそも今のバイトだって、たどり着くまでに紆余曲折があった。とにかく、あちこちに履歴書を山ほど送っても送り返されるか全くシカトされるかようやく面接に漕ぎつけてもそこで落とされる、という、何かもう自分の存在意義って何? みたく崖下の底の底まで落ち込んだりした。

 

そんなときだって「今日はお仕事お休みですか?」なんて聞かれたくない。

はいはい、どうせ仕事してないですよ、一生休みですよ、ごめんなさいね、とやさぐれてしまうわけで。

 

物を書くことを続けていても、なかなか「お仕事」にはなりにくいし、書く時間を取るためにパートやバイトという仕事形態を選んでいます、といった状況だと、何かもう、どう答えていいかわからなくて、とにかく空気が悪くならない方向へ悪くならない方向へ、と話をそらしながら曖昧に笑うしかないのである。

 

くつろぐために美容室へ行って何で疲れて帰ってくるんだろう、私……と思うことが結構ある。

 

(了)

 

 

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