プロ野球の最終決戦、日本シリーズが、先週土曜に終わった。
セとパ、両リーグの頂点チーム同士が戦うのだから、実力も技も気迫も凄まじかろうと期待しては裏切られてきたここ数年。
パリーグの圧勝が続いていて、ちょっとシラケ気味だった。セとパの実力差があまりにあり過ぎて、それが縮まるには100年くらいかかるのではないかと本気で思った。
(去年、一昨年、一昨々年の日本シリーズについて書いてます→「あんまりだった日本シリーズ」(2020)、「あっけなかった日本シリーズ」(2019)、「甲斐キャノン」(2018))
でも、今年はすごかった。
セがヤクルト、パがオリックスという、一見地味な頂上決戦。
近年、プロ野球のファン勢力図みたいなものが大分変わってきたとはいえ、やはり巨人ファンが多いらしく、この顔合わせが決まった時点で「あまり観る気がしない」という暴言を多々耳にした。
まあ私もロッテファンなので、どっちに肩入れもなかったが、野球好きなので強い人達の戦いを観たかった。だって、強い人達の本気の最大ギアでの戦いは、めちゃくちゃ面白い。
それを証明してくれたのが今年の日本シリーズ。
結果から言うと、ヤクルトが4勝2敗で日本一。だけど、6戦のうち5試合が1点差、あと1試合は2点差。
これよこれ。
こういう試合が観たかったのよ! こういうプライドを賭けたようなゲームを待っていた! こうでなくっちゃ!
先発ピッチャーはエースはもちろん、2日目3日目4日目……みんな譲らない。だからものすごく少ないチャンスを生かすしかなく、お互い血眼。
で、1点勝負だろうという試合展開でリードしてもホッとする間もなく、逆転に次ぐ逆転。サヨナラもあり。
そして、よくありがちな、普段は打つのにこの大一番ではマークされまくって音なしになる人気選手……というパターンもなく。
野球ファンじゃなくても名前くらい聞いたことあるでしょう、といった侍JAPAN選手がウヨウヨいて、彼らは期待外れとなることなく、すごい局面で打った。
例えば山田哲人。村上宗高。青木宣親。吉田正尚。杉本裕太郎(←まだ侍経験はないけど実力者なのは間違いない)。(敬称略)
若手も躍動。助っ人外国人も目立った。双方いわゆる全員野球。
最終的にMVPを取ったのは、ヤクルトの中村悠平捕手だったけど、彼のヒーローインタビューがこの日本シリーズを象徴していた。
「精魂尽き果てました」と。
はい。観ている方もそうでした。
最初はこの地味そうな対決に、マスコミも消極的に見えた。日本シリーズが目の前だというのに、日ハム新庄新監督とかオータニサンのニュースの方が目立っていたように思う。
でも、この押したり引いたりの凄まじい死闘に、だんだんと盛り上がっていった感じ。
できれば3勝3敗になって最終第7戦まで観たかった……というのが本音だけど、野球ファンはみな充分に満足したんじゃないだろうか。
ところで、最終戦はドームではない「ほっともっと神戸」での5時間に渡るナイトゲームだった。
こんな寒い時期の吹きっさらしの中、白い息を吐きながらネックウォーマーを身につけてプレイする選手が、ちょっと気の毒に見えた。夜11時まで客席にいた観客だってたまらない。
土曜だったのだし、せめてデーゲームにするなどの配慮はできなかったんだろうか、と思う。
ヤクルト、オリックスの皆さん、お疲れ様でした。野球の醍醐味がいっぱい詰まった試合をありがとう。そしてヤクルト日本一、おめでとうございました。
(了)
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