コンクールに応募しようとするとき、あるいは何かの原稿を頼まれたとき、真っ先に確認しなくてはならないのが制限枚数。
シナリオコンクールだと、大体が400字詰め原稿用紙で50~60枚ほど。これは1時間ドラマ分。
倍の100~120枚の募集も見かけるが、こちらは映画や2時間ドラマの想定だと思う。
小説だと、短いもので100枚前後。
他、大体が500枚超えの中編か長編の募集で、これはおそらくは加筆修正して単行本になり得るボリュームということだと思う。
今の私、長編パワーが出ないので、中短編ばかり書いているけれど。
で、応募するとなると、この枚数調整というヤツ、短編の方が短い分大変。
取りあえず書き上げてみた時点で、結構オーバーしていることが多い。
ただし、1.5倍くらいまでならば大丈夫。というより、そのくらいが一番ちょうどいい、と、以前書き方を教わった講師の方にも言われた。
少ないものを無理やり枚数分に膨らませても、薄っぺらい引き延ばし感満々の物語になる。
逆に1.5倍分の冗長な部分を削って濃密にまとめられれば、読み応えが出てくる。
というのは、これまで何百とこの長さの話を書いてきた感覚でもわかる。
そして、こんなテーマのこういう話をこの人数の登場人物で行けば大体長さは合う、という見当がつくようになった。
ただ、最近は1.5倍から削るのはちょっときついかな、と思っている。私の場合、枚数不足で書き足すよりも、オーバーして縮める作業の方が負荷が高く感じるので。
1.2倍くらい、つまり50枚制限なら、60枚くらいをめどに書く感じ。
そして削っていく作業はどうするかというと。
まずは出だし。
新人や初心者がやりがちなのは、物語が動く前の背景やら設定やらを最初に延々と書いてしまうこと、とは、シナリオ学校でも小説講座でも指摘されると思う。
そこに余分で削れるところはないか?
次にエピソード。
同じような事件が続くだけで、先の展開に影響がない無駄なものはないか?
人物。
同じようなキャラが複数いないか。いるなら彼らを1人にまとめられないか?
そして言い回し。
重複やまどろっこしい言い方はないか? 単語も、同じ意味のもっと短いものはないか?
そんなこんなで、たぶんあと1~2枚削ればOK、というところまでは来る。
でも、そこからが苦しい。
更に描写を削ってみたり、2行目に1字だけはみ出したセリフを1行に収めようと句読点を削ったり。
そして、最後は登場人物の名前を変えてしまうことも。
シナリオの場合は
小夜子「あっちに何か見えたわ」
彦三郎「え? 気付かなかった」
のように、セリフの上に名前を表示する。
小夜子とか彦三郎等の長ったらしい名前を「薫」や「亨」なんかに変える。主要人物は何度も出てくるのでこれで結構減らせる。
……というセコイこともやる。
まあこれは、最初に登場人物名を作るときに何らかの強い思い入れがなかった場合に限るけど。
そんなこんなで、最終的には大体が制限枚数ギリギリピッタリに仕上がります。
これ、もしかしたら結構な特技ですかね?
(了)
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