漫画家の野間美由紀さんが亡くなった。
ツイッターでついこの前まで愛猫や手料理や手芸のことなど普通につぶやいてらしたのに……。ほとんどのコミックスを持っている私には、いきなりすぎてショックが大きい。
花とゆめ(白泉社)などに掲載された「パズルゲーム☆はいすくーる」シリーズが代表作だと思う。
この漫画は高校生が主人公の学園ミステリだけれど、長く続くうちに、大人になってからの「プロフェッショナル」、中学生時代の「Jr.はいすくーる」、高校卒業後探偵になる前の「プレステージ」、彼らの子供達が主人公となる「NEXTゼネレーション」等、時代を行き交うようになる。
私個人としては、職業や舞台が自由に広がる「プロフェッショナル」の世界が特に好きだった。
また、もう少しアダルト向けの、宝石をキーにしたミステリ漫画「ジュエリーコネクション」シリーズも私の愛読書だった。精巧に描き込まれた宝石達に毎度毎度見惚れた。ストーリーの中での宝石の使い方も面白く、何度読み直したことか。
野間さんのコミックスには、雑誌掲載時は広告欄(翌号の予告など)だったスペースに、読者へのメッセージが細かい字で目一杯記されていた。内容は、ファンレターへのお礼やお勧めミステリや、アイディアを思いついたきっかけなどの裏話。
例えば、「パズルゲーム☆プレステージ」PRACTICE4の「証明写真は語る」。主人公が妙なサイズの写真を拾い、調べてみると銃の取得と狩猟免許に使う証明写真の大きさだった――という、胸のざわつく展開。
この話は、ご自身が写真屋さんにお子さんのプリントを取りに行ったとき、目にした証明写真のポスターを見て思いついたという。そりゃ私だってそういうのを見たことはあるけど、全くスルーしていた……。
「パズルゲーム☆プロフェッショナル」PROBLEM10の「旋律の銃弾」では、オルゴールが出てくる。といっても手持ちの小さなものでなく、大昔の大仰なもの。こういうオルゴールの博物館があることもその欄で知り、足を運んでみたら実際に曲を聴かせてもらえた。現代のレコードやCDとどう違うの? くらいの素晴らしい音色の演奏が再現されるのに驚いたっけ。
こういうオルゴールは中に組み込むロールペーパーにいくつもの小さな穴が開いていて、それが巻き取られる際に音を出す仕掛け。「旋律の銃弾」では、そんなオルゴールが曲を奏でたとき、何か変な一音が混じる。その異音は、ペーパーに撃ち込まれた弾丸の穴のせいだった? となり、ええっ、先が気になる! と読むのが止まらなくなるストーリーだった。
(余談だが、「プレステージ」はPRACTICE、「プロフェッショナル」はPROBLEM、「はいすくーる」はNOTE、「NEXT」はCONCLUSIONと、章立てが時代ごとに違い、そんな細かいこだわりがまた好きだった)
野間さんという方は、作品から想像するに、可愛らしいデザインやアンティークな小物がお好きなのだろうと思う。だから初めはネタとしてではなく、ご趣味の延長としてオルゴールに興味がおありだったのではないか。そこからそんなストーリーを広げていった。証明写真と同じく、普段の手近なところを見つめる目が違う。広げていく創造力が違う。私も面白い物語を創りたいなら、こういう力をつけないとダメだろうと思った。
最初は単にストーリーが面白いから好きだった。でも自分が創作するようになってからはお手本に思えた。野間美由紀さんは私にとってそんな漫画家さんだった。
本当に残念です。謹んでお悔やみ申し上げます。
(了)
同じく花とゆめで活躍されていた大好きな和田慎二さんが亡くなったときのショックを思い出しました→「和田慎二さん、逝く」