このご時世、学校もオンライン、帰省もオンライン、飲み会もオンライン。政府が推奨するものはみんなオンラインで、お仕事も同じく、それがいわゆるテレワーク。
私がやっているバイトは、ざっくり言ってしまえば「データ入力」で、このほどその噂のテレワークというやつを初体験した。
そもそも紙ベースの物をパソコンに入力する仕事なので、その紙がないとできないんだし、と諦めていた。それがどうにかできるように環境を整えてもらえた。
むろん、一気に在宅へ100%切り替えられるわけじゃなく、出社日もある。でも、たとえ半分の日数でも安心感は全然違う。
ただし、割と泥縄的にバタバタとレクチャーされてあとはよろしくね、って感じだったので不安もあった。家で一人で、さてこれから業務開始するぞ、ってときに、「パソコンが会社のサーバにつながらない!」なんてことになったら。つながっても途中でワケわからんフリーズでもしたら。
けれどあっさりクリア。意外に何のトラブルもなくサクサク進む。紙分のデータ自体をパソコンに取り込んでもらえたので、それをいつものデータとして入力する形。紙がないのは画面上を行ったり来たりとイマイチやりにくいが、それも慣れるとどうにかなってくる。
何より通勤がないのが楽すぎる。片道1時間、化粧や着替えやお弁当などの支度、万が一のための余裕分を含めると、3時間ほどが浮く。
今は電車に乗ること自体が怖いので、それがないとストレスが全く違う。家を出ないのでマスクも節約でき、助かる。平時の時でもラッシュや何かの事故で遅れた大混雑などもあった。その、会社に着いただけで今日の仕事は終わった的な体力消耗とも無縁。
「今日は午後から通り雨が」なんて天気予報があっても洗濯物を外に干せて、昼に取り込める。今の時期、それで十分乾く。
水筒で持参していたコーヒーも、メーカーで保温したまま、好きな時にカップに注いで飲む。その際のおやつとして、前日にクッキーとかケーキなどを焼いておく。これを楽しみに仕事のテンションも上がる。
気温変化の激しいこの時期、服選びに失敗し、
会社で震えっぱなし、または汗だくなんてことも。あるいは冷房戦争。それもない。こころゆくまで着ぶくれすることも可。
そういえば、オリンピック開催が決まってから、今年の夏の通勤を恐れていたっけ。真夏のクソ暑さには毎年やられ、必ず体調を崩す。それに加え、オリンピックの大混雑に巻き込まれたらと思うと憂鬱で。
世の中にテレワークという手があるということは知っていたけど、まあ自分には無縁だろうと思っていた。でも来年オリンピックが開かれるとしたら使えるだろうと思うと気が楽だ。
ただ、通勤は意外に歩数を稼いでいた。それが全くなくなった。でもお菓子の摂取量は増えている。……そういえば私、糖尿病予備軍だったんだっけ……。
それに。
ビデオ会議だと映像が粗いということに気付いてしまった。そうなると化粧もせず服は上半身だけそこそこ、という技を使うように。元々少ない女子力が落ちるばかり……噂に聞いてはいたが。
物を書くために会社を辞めた大昔を思い出す。テレワークなんて影も形もない時代だったけど、毎日通わなきゃいけない先がなくなり、「わーい」と日がな一日物を書いていた(そのうち書けなくなって心地悪くなったけど)。ほぼほぼ家に籠っていたのは一緒。女子力が落ちたのも一緒。運動不足も食べ過ぎも一緒。
あれから何年? 世の中はこんなに変わったというのに、同じ轍を踏みまくっている自分に、ちょっと唖然としている……いや、喉元過ぎてめっちゃ忘れていたというべきか。
(了)