主婦歴数十年。料理のレパートリー、一桁。
料理した回数だけなら数えきれない私だけど、大抵は市販のカレーの素、中華の素、〇〇焼の素……と、味付けはほぼ外注と言っていい。最近の「素」は下手に手探りで調味料を合わせるより美味しくて間違いを起こさない。早くからそれに気付いていた私は、ヘビーな愛用者なわけで。
とはいえ、美味しいものを食べるのは好き。だから美味しそうな料理本をながめるのも料理番組を見るのも好き。気になったものは真似して作りたいと思う気概もある。
けれど、その気概が挫かれることは多い。料理本・番組、共にあるワードが出てくると投げ出してしまう。
その1「〇〇したらラップで包んで冷蔵庫で一晩おきましょう」
これ、ダメなんだなあ……。料理は嫌いじゃないけど、毎日となるとやる気を起こすのが大変。やる気になったらその貴重なチャンスに一気にやらないと。一晩経ってそのやる気が持続しているかは怪しい。ラップで包んだまま1週間や2週間、平気で過ぎてしまいそうなんである……。
その2「魚焼きグリルを使うだけなのでカンタン」
作ること自体はカンタンかも知れないけど、その後が問題。あのグリルの、乗せる台一本一本と受け皿の汚れを洗うのが嫌いで嫌いで。そもそも本来利用するはずの魚さえフライパンにシートを敷いて焼いているくらいなのだ。
その3「ここでミキサーにかけます」
これも2と同じ理由で私にはNG。大昔、ビシソワーズというジャガイモのスープ作りに凝っていた時もあるけど、自然消滅してしまったのはそのせい。ミキサーの入れ物と刃をきれいに洗い上げることを考えるだけで憂鬱になるんである。
思えば、お菓子作りにトライしていたこともあった。でもあれは使う用具も多いし、粉が飛び散ることも、バターやらのオイルがこびりつくことも、はたまた焼け焦げる可能性も大。その後片付けは私にとってひとかたならぬ重労働だった。だから、餅焼き網やらザルやらもめったに使わない。
要は洗い物が嫌いなせいでレパートリーが狭まっているのかも。世の中のお料理好きな方は、そういうことを面倒だと思わないのかなあ。
私の作るのは、なるたけ簡単で洗い物が少なく(食器含めて)短い時間で出来上がるものばかり。結果一皿物が実に多くなっている。
手の込んだ超美味しいものを食べたくなったらプロの作るお料理を。つまり外食する。ちょっと目先を変えたくなったり品数が少ないと思ったら、出来合いの総菜を買う。それでいいんじゃないかな。
冷ややかな目で見られても呆れられても動じない。このところ、開き直りだけは上手くなってきた。苦手なことを長く続けるにはそれが一番大事よね、と思う。……これも一種の開き直りか。
(了)