ツイッターを眺めていたら、「読書体力」なる言葉が流れてきた。
長文が読めない。目が滑る。内容が頭に入ってこない。元々読書好きだった方々の、本が読めなくなった嘆き。「読書体力」の低下だという。
産後にそうなった方が多かったが、うつ病や老化でもあるとのこと。
これだ。
私も年々感じていたこと。
産後でもなく、たぶんうつ病でもないので、おそらく最後のやつ。
若い頃は一晩で1冊などはざらだった。特に学生のときの試験前になると(←×)めっちゃくちゃページが進んだ。漫画なら1日20冊、なんてこともあった。
それが、今や字面を追いかけてはいるものの、どんな話か頭に入ってこないのが常。気付くと10行も20行も読み飛ばしていることもある。しばらくしてから、何でこういう展開になってるのかわからず、前に戻って読み返し、それを一度や二度でない回数繰り返して初めて内容を把握。以前の何倍もの時間がかかるわけで、面倒になって途中で放り出すことも増えた。
私の場合、「読む」ではなく「聞く」ならこういったことは昔からあった。なのであまり深くは考えていなかったが……まさに老化による「読書体力」の低下、というやつではないか?
主人公と一緒に冒険や謎解きや不思議な世界を体験する。物語のそれが好きだったのに、いつのまにかスンナリそっちへ行けなくなっていたのだった。気分転換・癒し・ストレス解消だったはずなのに、そこにたどり着くまでにストレスがたまる。当然、ノンフィクションやハウツー本にしても理解力が相当落ちている。
思い起こせば、海外の映画を観るとき、私は断然字幕派だった。その役者さんの生の声が聞きたいからである。けれど最近は吹き替えばかり。字幕を追っていると画面に集中できないのだ。字を読むことが遅くなっている。字の内容を理解する力が衰えている。
それでも寝る前には本を読まないと落ち着かず、手には取る。必ず章の区切りまで読んで栞を挟んだ昔と違い、1~2ページで寝落ち。どこまで読んだかもわからなくなって、翌日またさかのぼり、1冊読むのに一体何日かかってるんだか。
読書は大体寝転んで読むスタイルだった。けれど最近はうつ伏せで読み続けるのが辛い。すぐに背中や腰に来る。それで横向けや仰向けで読むのだが、これが危険。こないだなど、ウトウトしたらハードカバーが落ちてきて、危うく顔面打撲するところだった。
そんな読者だというのに、書くときは結構不親切な私かもしれない。なるたけ最小限の言葉で伝えたい。行間からこちらの意図を想像してもらいたい、などというスタンスで書いているのだから。
文字で伝える難しさは痛感していたけれど、読み手の「読書体力」というものにも配慮したいなあ、と思う年頃のようである。
(了)