私の祖父は生前、大の相撲ファンだった。けれど心臓を患ってから、生で観戦することはドクターストップがかかっていた。どうしても観たいとあれば、ニュースなどで勝ち負けがわかってから録画を観るように、とのこと。
その話を聞いたとき、気の毒に思ったものだった。相撲が好きというのは、贔屓力士が勝ってほしいという思いもあるが、どちらが勝つか負けるか、ハラハラドキドキするのを含めて好き、ということだと思うからだ。相撲に限らず、スポーツ好きは、みなそうじゃないだろうか。
けれど、最近祖父の立場が少しわかるような気がしている。
もう何十年にも渡りプロ野球ファンの私だが、贔屓チームは変わった。けれどそのチームの勝ちを願って観ているのは同じ。先発が打たれたり打線が沈黙させられたり、あるいは先制しても逆転されたり、はたまた1点差で薄氷を踏む思いだったりは、かなりストレスがたまる。
一番面白いと言われる「ルーズベルトゲーム」なんかもう。これは8-7とか7-8のシーソーゲームのことだけど、それが面白さを通り越してそれこそ心臓に悪い。逆転に継ぐ逆転のたびに、大喜びをしたり崖から突き落とされたり目が点になったりする。
……スポーツ観戦って、身体に悪くない?
ハラハラドキドキするのが醍醐味。それはよくわかっている。でも、……言いたくないけど歳のせいなのかなあ。ハラハラドキドキに疲れてしまって夜よく眠れないとか翌日立ち上がれないとか、何かこう、若い頃のように単純に楽しむだけ、それでおしまい、という感じではなくなっている……。
できれば安心して観ていられる試合をやってくれないかな……序盤に3点くらい入って中盤に1、2点の追加、終盤にはダメ押し。そしてピッチャーがピシャリと相手を沈黙させる、みたいな。まあ、いわゆる一方的、というやつ。
そんなの、スポーツファンとしてどうなの、と自分でも思う。
でも、最近のプロ野球、本当に実力が拮抗してきたように思う。どのチームも結構強いし、しつこいし、5,6点ではセーフティリードとは言えない。だから本当に何が起こるかわからないのだ。勝っていても負けていても、最後まで気が抜けない。毎試合毎試合面白すぎる。
そのハラハラドキドキに耐える体力がなく、野球観戦で消耗しすぎて仕事も家事もおろそかに。そんなんでいいのか、私。
スポーツは生でしょ。録画で観るのはつまらないでしょ。とずっと思って生きてきたけれど、そろそろ考える時期にきたのか……要自分ドクターストップ?
いやいや、でもでもやっぱり生観戦はやめられない。
で、心臓に悪くないよう、危うくなったらチャンネルを替えたり片付けものに立ったり、逃げながら観る。
でもこのやり方、観ていない間に贔屓チームがものすごい大逆転をしてくれたりすることもあるんだなあ。それを見逃した悔しさといったら、また身体に悪い。
と、バカバカしい悩みを日々繰り返しておりますが。
今月久し振りに球場へ行ってきます。
……神経、もちますように。
(了)