ホラーというジャンルの物語を書いてみたくて、「自分は何を怖いと思うだろうか?」と考えた。
かつて読んだ本で怖かったのは、「むかし僕が死んだ家」(東野圭吾)、「リング」(鈴木光司)、「黒い家」(貴志祐介)など(敬称略)。
「むかし僕が死んだ家」は、何が起こっているのかわからないうちからその雰囲気が異様に怖い。そして謎が解き明かされた先にはリアルな社会問題があって、それが怖さに拍車をかけた。
「リング」は、映画で長髪の貞子がテレビを出てくるシーンがお馴染みだが、そこは別に自分のツボではなかった。原作にはないシーンだし。自分には、謎を解明していく過程の、例えばまばたきが男性は毎分20回、女性なら毎分15といった、身近でリアルな事実の積み重ねがすごく怖かった。
「黒い家」は、保険金殺人のあまりのリアルさが怖すぎた。買ったその文庫本を持っているのが恐怖ですぐに売ってしまったほどである。またこれを大竹しのぶさん主演で映画化が決まったという時期に読んだので、頭にクッキリイメージが沸いてしまい、更に恐怖が膨れ上がったわけで(あまりに怖くて映画は観に行けなかった……)。
そういう感覚の自分は、どういうホラーが書けるだろうか? これまでの人生で怖かったことは何だ? と思い悩んだ末に、一つだけ出てきた。「置いていかれること」。
いろんな人がいろんな共通点で繋がっている。でも一緒だと思っていた彼らが、違っていたら? 自分一人が置いていかれるとしたら?
例えば、年を取っていろんなことが退化していくこと自体も怖い。けれど、同年代の友達や学校の同級生などみなそれは同じように起こる。だから年寄りになってもお互い安心してそういう話で盛り上がり、仲間でいられるのでは?
だったらもし、自分だけが年を取らずに置いていかれてしまったとしたら、……これ、ものすごく怖くない?
最近で怖かったことは何だろう? 思い出してみた。あったあった。
我が家には高さを上下できるテーブルがあるのだが、ある日帰宅したら、座卓として低くセットしていたはずのそれが、最上位に上がっていた。その日家族は朝早く出たままで、自分が帰るまでは誰もいなかったはず。
泥棒? いや何も荒らされていない。使いかけの食器も朝干したままの洗濯物も投げ出した新聞や雑誌もいつもの場所、何一つ動いていない。動いたのはテーブルの高さだけ。誰が。何のために。
怖い。めっちゃ怖かった。そしてテーブルの下には濃い色の液体がポツーリポツーリ……ぎゃあああ。
……何か工場っぽい匂い。よくよく見たら、油みたいだった。……あ、このテーブルの上下って、油圧式? それが漏れちゃった? だから調節が狂って勝手にテーブル上がっちゃった?
……とまあ、そういうことらしかった。
すぐにニューテーブル購入に走ったが……それでわかったのは、自分が怖いのは「身近でリアル」なことだってこと。
先の三冊の本にしても、超現実的なことが出てきても身近でリアルな裏付けがあった。そういったところに怖さを感じたのだと合点がいったのであった。
まあテーブルの件は、ネタとしては全く膨らまないような予感がしてます。
(了)
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