「カーネーション」の再々放送にハマっている。
本放送は2011年後半、そのときもその後の再放送も今回も、毎回正座(!)に近い状態で視聴。
主人公糸子の、ミシンに対する思い、洋服への思いに心打たれる。元来のブルドーザー的な押しの強さでどんどん道を拓いていく小気味よさ。スカーレット・オハラよろしく家族を支える逞しさ。
それだけでも見応えがあるのだが、家族や周りの人達一人一人もとても素敵で、誰とのエピソードでも「それでどうなるの?」と乗り出す展開。毎回実に短く思える15分なのだ。
本放送、再放送、そして今回3度目視聴だというのに、結構忘れていて、いちいち新鮮に驚いたり感心したり。覚えていても、もう一度確認して嬉しくなる。良作とはそういうものだろうと思う。
自分も物を書くからには、そんな風に、オチがわかっていても何度でも見たくなるような話を目指したい……。
とにかくこの「カーネーション」、ストーリーの面白さはもちろんだが、セリフといい、話の運び方といい、キャラ設定といい、もうお手本だらけの秀作なのである。
先日見た回では、キャラクターとセリフについてとても勉強になるなあというシーンがあったので、メモです、メモ。
戦争が終わり、糸子の洋裁店経営が新展開を迎える。繊維商店会という経営者達の集会を紹介され会合に出かけるのだが、紅一点ということでバカにして酒を飲ませにかかってきた輩がいた。糸子は負けん気全開で受け、結局酔いつぶれて、誰かにおぶわれて帰宅する。
その前に、会合で隣に座った周防さんという人と話すシーンがある。彼は長崎出身で訛りが強く、糸子は何を言われたのかサッパリわからず、何度も首を傾げたり聞き返したり。周防さんはいちいち親切にゆっくり一生懸命言い直してくれる。
この1,2分の会話だけで、周防さんの出身、経歴、人柄が視聴者にくっきり伝わる。
で、酔い潰れた翌朝、自宅で目を覚ました糸子は、誰に送られてきたのか覚えていない。お母さんに聞くと「男の人。とても親切に一生懸命説明してくれたけど、何言っているかよくわからなかったわ」との答え。
これですよ、これ!
シナリオを書く際、必ず言われるのが、「説明ゼリフはダメ」。この回は、周防さんが初登場だっただけに、説明しなくてはならないことがたくさんある。
周防さんが一人語りで「僕は長崎出身で家族はこうで経歴はこう、今はこういう仕事をしていて」と説明してしまってはベタ。でも、長崎弁を糸子が聞き返すというやりとりで、全く説明ゼリフにならずに進む。
更に「誰が送ってくれたの?」と聞いて「周防さんて人」では説明ゼリフ。「『親切』で『一生懸命』でしかも『何言っているかわからない』人」。これで全視聴者が「周防さんだ!」と叫ぶ。そして糸子をおぶった男の顔がアップになる回想が映る。
ああ、すごいな。こういうシナリオを書きたいな。と思う。でもそれ以前に純粋に面白くて面白くて、一視聴者としてのめり込んでいる。
ちなみに、周防さんを演じているのは綾野剛さん。この役で女性のハートをわしづかみ、大ブレイクしたのはご存じのとおり。
それまでの自分の印象は、異常者とか異星人とか不気味なクセのある俳優さんだったのだが、こんな風な優しげな包容力のある役がハマるとは意外だった。
で、もはや自分ももれなく周防さんを見たいクチ。明日も出番を楽しみに、また正座視聴します。
(了)
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