大阪城で笑う(17/8/20) | 石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

日常で気になったことや、長い物書き志望歴で思ったことをランダムに綴ります。

 大阪って、外国だと思う。


 それが、東京人の自分の素直な感想だ。常にユーモアを持ち、しゃべることによるコミュニケーションを大切にし、表情が豊かで、全くの初対面でも人見知りしない。自分がアメリカ人に持っている印象と似ているのである。


更にあの関西弁が、他人との距離を縮めている気がする。何か、そこまでいくのに結構苦労する自分からしてみると、労力80%くらい省エネなんじゃないかって、うらやましい。

 

 大阪へは何度か出かけたことがあるが、その度にそういう思いを抱く。

 あるときは、電車で隣り合わせたオバチャンに「昨日の××の○○はねえ」なんていきなりテレビの話をされて、私? 私なの? と周りをキョロキョロ見回してしまった。

 またあるときは「道頓堀ならこう行ってそう行って」と目指しても聞いてもいないのに丁寧に教えてくれて、そのフレンドリーさに脱帽した。

 

 そして先日である。

 その日私は、大阪城を見に行こうと広い公園をウロウロしていた。

 

部活らしき学生がたくさんトレーニングをしていた。その中で「趣味ランニング」みたいな気合い入ったウエアの大人の方々もいっぱい走ってくる――と思った瞬間、沿道から拍手と歓声が上がった。


へえ。マラソン大会か。知り合いの応援か。にぎやかだな、と思った。

だが。

やってきたオッサンランナーは、両手で力一杯「カモン!」のゼスチャーをしたかと思うと、「もっと応援盛大に来いや!」と更なる盛り上がりを要求したのであった。


その振り切れ方。こちらのつまらない悩みとか、むしゃくしゃした気分とか、どうでもよくなってしまいそうな突き抜けた感じ。

 

小雨が降ったり止んだり。豊富な木々がその湿り気の香りを漂わせている……などと詩人の気分でいたら、水の気配はそれじゃなかった。

ばちゃばちゃ音がするのでよく見たら、お堀である。まあお城だから。

いやいやでも。目をこらしたら、人が泳いでいるじゃんか? 何人も??

いやいやいや。こんな濁った水にまさか、と間の小道を渡ろうとしたら、緑のオバサン的に旗で止められた。そのウィンブレの文字。

「大阪城トライアスロン」???

そういえばそんなポスターを通りがかり見たような。

 

翌日の新聞に「大阪城スイスイ」なんて記事が載っていた。けどお城のお堀で泳いじゃって、しかもトライアスロン大会にしちゃうなんて。何というか、意表。あり得ない。最高に笑えてしまった。

いや、きっと、それも大阪人の求めているところなのかも。

 

 前日、はるばる観に来たひいきプロ野球チームがバカ負けした。でもそんな鬱鬱をも吹っ飛ばしてくれた大阪節だった。(了)

 

 

 

 

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