これが悩む。恐らく物を書く人はみんなそうだと思う。
よく言われるのが、内容が集約されていて、かつネタバレしない、お? 何だろう? と興味をひくもの。
難しい。
ジャンルにもよるけれど、私がもらったアドバイスは、それに加えて7~8文字以内、正反対の言葉の組み合わせ、普通は漢字で表記するものをひらがなにして柔らかさを出してみる、とか。
私の場合、タイトルが先に決まっている方が断然書きやすい。
テーマもキャラも作り込んで、ハコにエピソードが並び、ベタ書きが8割進んでもまだ浮かばない……となると、相当苦しい。
その前後にタイトルが決まったとしても、それに合わせたエピソードやテーマとの繋がりを書き直したり加えたりする必要が出てくる。そうすると、大抵流れが悪くなり、また悩むことになる。
物語を書き終わってしまってもまだ決まらず、アホなことになった経験がある。
上がり症で人前のスピーチが苦手な人が、それを克服していく話だった。
悩みに悩んだあげく、スピーチを歌に見立てた象徴として「カナリア」を入れ、開眼するわけだから「夜明け」かな、でも片仮名が入ると固いかな、とか迷走し、「かなりあの夜明け」となる。
考えすぎて何だかもうわかんないけど、ま、いっか、と友人に見せたら、「かなり、あの夜明け、って何?」と首をひねられた。
日本語って難しい……。懲りすぎてもいかんのです。
人によって好みがあるだろうが、私は「フォレスト・ガンプ」など、名前そのもののタイトルはあまり好きではない。
少女マンガの往年の名作、「ガラスの仮面」「ベルサイユのばら」などは秀逸だと思う。
前者は仮面が演劇を示しているし、役者本人の感情がガラスの繊細さで隠されているという意味もわかる。
後者はフランス革命の中の女性達の話だということが、鮮やかに表れている。
そしてどちらも語呂がいい。
かなり前の映画だが、うまいと思ったのが、「ヒーローインタビュー」。野球選手と記者の恋という話の骨格が一言で表されている。
小説ならば「八日目の蝉」。蝉が地上で七日しか生きられないことはよく知られているので、八日目って何? と思わせるし、もの悲しさやしんどさまでも感じ取れる。
個人的に目指しているのは、何年か前の「PA」という少女漫画。読みきり連載で、毎回副題があった。
「そのときロミオは16だった」「ショパンの正しい楽しみ方」「吉宗とティータイム」「ジャック・ザ・リパーへの伝言」「サロメの口づけ」。
毎回有名人の名前を入れることにしたというが、どれもしゃれていて、内容の集約なのにネタバレせず、かつ何だろうと思わせる。
タイトルが浮かばなくて悶え死にしそうなときは、ここへ立ち返ってみる。(了)
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