野際陽子さんを悼む(17/6/18) | 石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

石の上にも○○年~物書き志望女のひとりごと

日常で気になったことや、長い物書き志望歴で思ったことをランダムに綴ります。

 先週の訃報が信じられなかった。出演作が多いせいか、テレビを点ければいつでも会える、と思える女優さんだったから。


 野際さんの印象は、いつだって有り余るくらいのパワーと輝き。享年81歳と聞いて、そのギャップに愕然とした。


 おそらく私と同じ人は多いだろうが、野際さんを初めて認識したのは、「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんの母親役である。


 着物を優雅に着こなし、その装いに合う上品な立ち居振る舞い、言葉遣い。だからこそ、息子可愛さの余り嫁へ向けられる憎悪が、どれだけ恐ろしく見えたことか。見た目がとても素敵な分、内面の歪みを際立たせたのである。


 57歳という歳で「見た目が素敵」を演じられるのは、内から出る魅力をも放つ役者さんだからだろう。この年頃は、上っ面だけきれいにしても「素敵」にはならないだろうと思うから。


 その後も「ダブル・キッチン」「誰にも言えない」「スイートホーム」「私の運命」など、最近の「やすらぎの郷」に至るまで、そういうインパクトがどの役にもあった。

 元アナウンサーということもあってインテリな面も出せるし滑舌も良く。頭の硬い役でもコミカルな愛嬌がのぞいたりして、ご自身の性格が表れていたのではないかと思う。


でも、私が一番覚えているのは、「SMAP×SMAP」のビストロのゲスト。

調べてみたら、もう20年以上も前のことだった。これは、希望の料理をオーダーし、SMAPのメンバーに作ってもらうというコーナー。


野際さんは、ハンバーガーを注文。お皿に載っていてナイフとフォークで食べるタイプの。記憶があやふやだが、海外で食べたそれが忘れられないとかいう話だったように思う。


この時点で「さすが野際陽子」と思ったものだ。この年代で、こんなおしゃれなこんなカッコイイ、そしてこれほど似合う注文をできる女性はそういない。


それがあまりに印象的だったため、私はその後「ナイフとフォークで食べるハンバーガー」のお店を探しまくった。

マックやロッテリアでなく、お皿の上に、パンの上半分がひっくり返されてオニオンリングやサラダと共に添えられた、お肉がステーキみたいなやつである。


今ほどネット検索も充実してなく、扱う店も多くなかった。それでもどうしても食べたい一念で見つけたそのお店、今もお気に入りで通っている。訪れるたび野際さんを思い出す。


近々また食べに行こう。そうしたらきっと思う。

こういうものを何十年も前に、海外がそう近くもなかった中で、現地で口にした。

野際さんの演じた役から発せられる芯の強さは、そういうことと無関係じゃないだろうと。


 心からお悔やみ申し上げます。(了)

 

 

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