文章を書いていて、言葉が出てこないことがある。その場に最もそぐう、どんぴしゃな単語が。
例えばこの間は「具合が悪くて寝込んだが、治ってから何だか性格が変わったお婆さん」を書いていた。それを見た青年が、「おかしいのは病気が治り立てだからで、まだ元のように動くのに不自由を感じるのだろう」と思う。
ああ、何てまどろっこしい。
この「病気が治り立て」「まだ元のように動くのに不自由を感じる」に代わる、ばしっとした一言があったはずなのだ。
単語の意味がわからないなら辞書を引けばいい。が、逆の「こういう意味を表す単語は何だっけ?」というのは調べようがなく、いつも考え込んでしまう。
ちなみに今回は「病み上がり」と「本調子でない」と言いたかった。思い出すまで二日かかった。
もう一つ。
古い建築物で、歴史的にも美術的にも優れていて国がそれを認めたものの呼び名。国家……何とかだったような。国家予算じゃない、国家……試験でもない。いや、国家なんて接頭語はつかなかったっけ? 国立公園……じゃないし。
とか悩んで筆が止まった挙げ句、取り敢えず先を続けようとするが悶々として書き進められない。これは三時間かかって出てきた。
正解は「有形文化遺産」でした。
「逆引き辞典」というのがあるらしいと飛びついてみたが、私の意図するのとは違った。これは、言葉の綴りの末尾から引けるようになっている辞書のこと。
例えば「足」と引くと「蛸足」「生足」「片足」「大足」など後ろに足のつく言葉が出てくる。これはこれで便利だけれど。
「逆引きリファレンス」というのが私の意に近いらしい、と膝を打った。
で、見てみたが、HP作成マニュアルっぽい説明がくだくだ出てきてさっぱりわからん。全く関係ない別物のようだった。
結局は、ネットでそれらしい単語をわさわさ入れて、複数キーワード検索で何とか目的の語句に辿り着く、といった方法でしのいでいる。それで出てこなかったら、記憶からぽこっと飛び出してくるのを待つ。
これ、昔観た映画のタイトルとか出演俳優の名前とかも同様である。
「ほらあの人、何ていったっけ? バスが高速で走り続けなきゃならない映画に出てた……あ、スローモーションでイナバウアーみたいなことしてたやつにも出てた」とか。こうなるともうミステリーだ。
真犯人はキアヌ・リーヴス、映画名は「スピード」と「マトリックス」でした。
ちなみにキアヌの名前は、知人とああだこうだと謎かけをしまくって、ようやく導き出した。
もしかしたら私の意図する「逆引き辞書」は、こういうありがたい知人を増やすことで成り立つのかも知れない。(了)
~~以下の小説サイトに投稿しております~~
↓↓↓よかったらお立ち寄り下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~