先日、知り合いがチケットを入手したので、今をときめくアイドルグループである「A〇B48」の東京ドームコンサートを短時間であったが、見学させていただくことになりました。
そのライブを見させていただき、企業がこれから選択するべき一つの可能性について考察したいとおもいます。
正直、熱烈なファンではありませんので、細かいところは違うのかもしれませんが、「お伝えたいのは本質」でありますので、ご理解を。
それではスタート!
正直、この年齢でアイドルグループというのもリアル感はないのだけれど、おニャン子世代の私たちが、「天才秋元康」を見る目は、他の年代とは明らかに異なる。
だから、そんな秋元さんが、作り上げたこの集団がテレビや雑誌などを経由するのではなく、リアルな実体としてどのように私の心に感じるのかをどうしても見てみたかった・・・というのが本音です。
結論からいうと、やはり秋元さんはA◯B48という存在をすべて顧客目線でみれるようにしてありました。
この顧客目線はおニャン子クラブの時と、形態は違えど、「本質」は同じであると一瞬で感じました。
それは、
作り手が「俺たちに合わせろ。私たちに合わせろ。」ではなく、「作り手が顧客に合わせている」のです。
それを感じる事ができる場面がいろいろあるのですが、代表的な2つを紹介します。
まず、「A◯B48」というと、「秋葉原のオタク」というイメージがあるが、実際の会場内の観客達は決して、一般の観客が<引きまくる>ような踊りやかけ声をしているわけではなかった。
確かに決まったかけ声はあるものの、それは少しの時間でもその場を共有したら、声を出せるようなものであった。
そのあたりは、ファンクラブやWEBで、そういう過剰な行為をしないように、みんなで規制をかけているとのことだ。このあたりのやり方も「らしいと言えばらしい」。
そして、そのかけ声にも何曲が聞いてみるとわかる、法則性がある。
それは、ほぼ大多数の曲でファンのみんなが声を揃えて叫ぶそのかけ声が、ばっちりはまるのだ。
わかりにくくてすみません。
つまり、前奏・間奏において、あるかけ声をみんなであわせると寸分違わずに、ばっちり歌詞のはじまりと合うのだ。
(これはYouTubeなどで、ライブ映像をみるとわかります。すごいですよ。)
かけ声とはどういうものかというと、会場ではよく聞き取れなかったが、WEBを調べると以下のように書いてあった。
ひとつめのパターンは、
「あー!、よっしゃいくぞぉ~!タイガー!、ファイヤー!、サイバー!、ファイバー!、ダイバー!、バイバー!、ジャージャー!」
そしてふたつめのパターンは
「あー!、もういっちょいくぞー虎、火、人造、繊維、海女、振動、化繊飛除去」
正直、なんのことかさっぱりわからんかったが、さらに調べてみてわかりました(そういうことはライブに行く前に調べておくべきだったが。。。)
それぞれの言葉にはすべて意味があるということだそうです。(内容は割愛します)
東京ドームには6万人くらいお客が入っていたとおもうのですが、そのかけ声の一糸乱れぬ様は、まさに芸術(アート)の領域でした(驚)
ファンのみなさんは、ほとんどそのかけ声を叫ぶのを楽しみにしているんじゃないか?とおもうくらいの必死さでしたから。
ここで言いたいのは、そのかけ声がすばらしいとか、楽しいとか、そういうことではなく、ほぼすべての楽曲で、そのかけ声を叫ぶとぴったりと尺が合う様に、<曲が作ってある>ことなんです。
秋元さんは、曲にかけ声を合わせてもらうのではなく、かけ声がやりやすいように、曲を作っているとおもいます(もちろん未確認ですが、その可能性が大です)
これには驚きました!
なぜなら、これは、<顧客第一主義>という考え方の中でも最も重要なポイントであり、実は見落とされやすいことだからです。
企業とは、ある一定の大きさになると、自分たちのやり方に顧客をあわせてもらうようになります。もちろんシステムとして、その方が効率がいい事は多々ありますので、それは否定しません。
しかし、自分たちに合わせてもらうという考え方は、一歩間違えると、<改善しない体質>になるかもしれないのです。
また、ここでは割愛しますが、「推しメン制度」(自分がファンのメンバーをひいきすること)、「推し変制度」(自分がひいきするメンバーを変更することができる)、「チーム制度」など、押しつけではなく、一人の顧客が自分のライフスタイルや、嗜好に合わせてファンを継続する事ができる仕組みが、A◯B48にはたくさん仕掛けられています。
そのどれもが、自分たちの強みを最大限にアピールし、その範囲内で顧客の嗜好にあわせて変化させているということなのです。
企業が成長し続けていく上で必要なのは、「状況を改善し続ける、時代に合わせていく」能力です。
よく言う「一発屋」で終わってしまう人は、その時に頂点に達しても、それを改善していく力が無いので、「一発屋」で終わってしまうのです。
企業として、「一発屋」で終わらないためには、「常に顧客目線で考えて、改善を繰り返す事」なのです。
もちろん、中小企業としては、<できる事と、できない事>は、しっかりと判別して、自らの企業でできる範囲内で改善していくことが大切です。
なんでもかんでもでは、焦点がぼやけます。
他社とは違う、自分の会社の強みを最大限に生かせる分野では、むしろ、顧客の意見をどんどん参考にして、レスポンスしていく方が、企業としては伸びる。
自分の会社が強くない分野で、求められているからといって、無理して手を広げたりすると、逆にクオリティーが下がり、不満につながりかねない。
秋元さんと、A◯B48からは、そういった、「選択と集中と改善」がはっきりと見受けられるのです。
それが、このようなビッグアイドルグループになった理由なのだとおもいます。
これからはもっともっと、企業の理念や取り組み、レスポンスが求められる時代に入ります。
A◯B48が見せてくれたビジネスモデルは、停滞する企業の次なる一手を示してくれているような、そんな気がするのですね。