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仏映画

フランス映画いろいろ



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個人評価: ♪♪♪
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製作年/Sortie: 2012
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
パトリス・ルコント/ Patrice Leconte
原作/:ジャン・トゥーレ/Jean Teulé
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あらすじ
フランスでベストセラーとなったジャン・トゥーレ/Jean Teuléの小説「ようこそ、自殺用品店へ」を映画化。

10代続く老舗の「自殺用品専門店」へようこそ! 
どんな死に方をお望みで? 
首つりロープ、切腹セット、毒リンゴにタランチュラ。 
ふつうの死に方から、男らしい死に方、 女らしい死に方まで、 
死を願うすべての人の希望を叶える商品を取り揃えております。







絶望的な世の中、自殺者が後を絶たない都会で、テュヴァッシュ家は自殺専門用品店を経営していた。従業員家族は家長のミシマを筆頭に、妻のルークリース、長男のフィンセント、長女マリリン暗く、陰鬱で、笑ったことなど一度もない。そんなテュヴァッシュ家に男の子/アランが生まれるが、アランは家族全員と正反対の無邪気で明るい性格だった。
両親の必死の教育も叶わず、アランは心身ともに健やかに明るく育つ。



感想・ネタバレ

パトリス・ルコント監督作品、実はブログを書くまで気が付かなかった。彼が50代だった時の作品「髪結いの亭主」「歓楽街」「橋の下の娘」等が印象強く、少々官能的でジンワリとした悲劇がある独特な世界観の映画を作る人と思っていた。よもや60代になってアニメの制作に携わるとは、、、、

さて映画序盤は様々な背景から店にやってきた自殺志願者と店主が紹介する多種多様な自殺ツールの紹介が不謹慎ながらかなり笑えて面白い。
アランが誕生し成長するまではブラック・コメディーを楽しんだが、アランが自殺志願者を助け始めた辺りから疑問符が沸き始めた。年老い死を選択した人々がアランの自殺救済により、苦しい人生を延長しなくてはならないからだ。更に家族全員を自殺から遠ざけ、明るい生活を与えたアランの自殺は拍子抜け。確かに原作者は「誰にでも自殺する可能性はある」と考えこの小説を書き始めたと云っていたが、、、、。

原作、ポケット版

因みに家族の名前は以下に由来し、映画の声はIsabelle Spade等、仏映画でも御馴染みの名脇役達が命を吹き込んでいる。
ミシマ:三島由紀夫
日本の作家、憲法改正のクーデーターを起こし割腹自殺。


ルークリース:
シェークスピア詩「ルークリース凌辱」
ローマ王の息子に強姦されて剣自殺した貴族の妻、これによりローマは王政が終了、共和制へ。

フィンセント:ゴッホ
「ひまわり」等の作品で有名なオランダ人画家、幼い頃から人付き合いが苦手で自罰的な性格、拳銃自殺する。

マリリン:モンロー/映画「マリリン7日間の恋」等
アメリカの女優、睡眠薬にて自殺

アラン:チューリング/映画「イミテーションゲーム」
同性愛者で逮捕され、リンゴにべったり塗った青酸カリ中毒で自殺した英国の数学者。彼は、第二次世界大戦中、「エニグマ」というドイツの暗号システムを解読し、戦後にコンピューター発明した男


店主のミシマ、日本刀での自殺を営業している様子


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個人評価: ♪♪♪
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製作年/Sortie: 2016
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
リサ・アズエロス/Stéphanie Di Giusto
出演/Acteurs: 
ヴェヴァ・アルヴィティ/Sveva Alviti
リッカルド・スカマルチョ/ Riccardo Scamarcio
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あらすじ

イタリア系エジプト出身のフランス人歌手ダリダ、ミス・エジプトに輝いた美貌とそのエキゾチックな歌声で、フランス全土に社会現象を起こし、一躍スターとなった半生を描く。ゴールドディスクを受賞し、歌手としての成功を掴み、私生活通りの自由奔放な愛を唄った一方、私生活では数々の恋愛に悩み、愛する人との幸せな家庭に憧れ続けていた。だが彼女に待っていたのは苦しみと別れ、「わたしは病んでいるの」という歌の通り、精神的に追い詰められていく。









感想
ダリダファンのフランス人からは老役男女問わず酷評されていたが、私には面白い映画だった。

ダリダを演じるヴェヴァ・アルヴィティはそっくりさんでは無いが佇まいがダリダだ、そして時を追うごとに貫禄が出てくる。それもその筈、伊女優で元モデルだったアルヴィディはこの映画のオーディション時点でフランス語が話せなかったという。この映画ではアルヴィディの成長とダリダの生涯が一緒に紡がれているのだ。



映画を酷評する人の殆どがアルヴィディを酷評する理由は、大根役者で踊りも本物のダリダに比較し劣ってしまう点にある。また、54年の生涯を駆け足で描き、激動だった彼女の人生を立体的に描き切れていない点についても苦言が多い。確かに演技派ではない、、、ただ監督が200人以上の応募者から選んだ一人だ。何度もいうが、伝記映画は本人にビジュアルが似ていて、更に演技ができなくてはいけないという、難関がある。難所は潜り抜けたと思った映画だったが、、、映画専門雑誌に限らず、一般からも厳しい意見が多かった。


エジプトではダリダ出生前の19世紀初めからフェミニズム運動が始まり、1933年生まれた頃は女性運動団体が組織化してきたが、1952年の革命で女性運動に規制がかかる。この激動な時代に生まれたからこそ、イタリア移民の末っ子が、外国へ渡り、仏国でそして米国で成功を掴んだのだろう。


ダリダ本人を偲ぶ公式サイトです!

それにしても、この時代の女性成功者に幸せな人生を全うした人はいないのか、、。皆最後にはドラッグを服用し、悲しい結末が多い。


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個人評価: ♪♪♪
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製作年/Sortie: 2016
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
ステファニー・ディ・ジュースト/Stéphanie Di Giusto
出演/Acteurs: 
ソコ/Soko
マッツ・ミケルセン/Gaspard Ulliel
メラニー・ティエリー/Mélanie Thierry
リリーローズ・デップ/Lily-Rose Depp
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あらすじ
”シルクと光のダンス” と称された独創的なパフォーマンスで、19世紀末モダンダンスの先駆者として活躍したLoïe Fuller (ロイ・フラー) の半世紀を描いた伝記映画。
女優になることを目指していたロイは脇役やモデルの仕事をこなしていたが、ある時偶然舞台で踊り初めて喝采を浴びる。ロイの才能を見抜いたドルセー伯爵の力を借り、遂には彼の金を盗んでパリ・オペラ座で踊る夢を叶えるためにひとりアメリカから海を渡る。

当時では女性のダンスが卑しいとされていた時代、出演の交渉は難航するが、ロイのダンスを見たパリの観客は今まで見た事の無いダンスに喝采を贈る。そして遂にパリ・オペラ座から出演のオファーが舞い込む。と、同時にロイは、才能溢れる若きダンサー、イサドラに出会う。








感想・ネタバレ
史実と創作話を織り交ぜる事に異論はないが失敗。因みにルイ・ドルセー伯爵は架空人物。ロイは結婚するも同性愛者だった、がしかし、イサドラが同性愛者の史実は現存しない。



映画は主にロイの反骨精神と成功、そして裏切りを描いているが脚本に厚みがない、これが本当に残念だ。また、バイセクシャルで恵まれた才能を持ち自信に満ち溢れたSOKOにロイを演じさせたのも失敗だったように思えてならない。実際のロイはコンプレックスの塊。しかしながらロイ・フラーの踊りを様々な文献やショートフィルム、そして絵画から紐解き、見事なまでに美しい映像にしたという功績は評価したい。




是非、動画で確認を
実際のロイのダンス

映画、SOKOによるロイのダンス

伝記映画から当時の出来事を学ぶ事は多く、今回は特許だったり19世紀の照明技術。当時のアメリカにはない特許がフランスには既に存在していた。踊りを盗まれたロイ、『私が発明した踊り』と主張するも未だ粗野だった米国では何もできない。映画後半で特許を取得した話が出てくるが、実際にカラーフィルタを作る化学合成物や照明、化学塩で衣装を発光させる技術、他にも多数の特許を取得し、更にはフランス天文協会会員だったという。


特許取得を喜ぶロイ

また、彼女のダンスはロートレックやロダンを始め、多くのアーティストに影響を与えた。個人的にはルイ・ドルセー伯爵という架空の人物を描くより、もっとイサドラとのライバル関係を描いたり、戦時中ロイとルーマニアとの関係を描いてほしかった。




フランス映画ではないが、シャネルを描いた映画は他にもある。
シャーリー・マクレーン主演のテレビ映画『ココ・シャネル』だ。
物語は1954年から始まる。シャネルにとって15年ぶりのパリ、多くのマスコミを前に復帰コレクションを発表するが、コレクションは不評に終わる。愕然とするシャネルは創設前を懐古する、、、そして18歳のガブリエル時代のシャネルが登場。

何事もオリジナルの地で映画を製作することが映画製作者の正義だと考えてしまうため、この映画には娯楽性しか感じない。主役のシャーリー・マクレーンはアメリカ人女優で少し太め、所作が完全にアメリカ人だ。それに対し、オドレイ・トトゥのシャネルは紛れもなくフランス人だ。実際のシャネルは痩せていて、モード界が痩せ型に変化したのはシャネルの影響とも言われている。マクレーンには無駄な肉が多く研ぎ澄まされたカリスマ性に乏しい。


ちょっぴり大阪のおばちゃんみたい、、ごめんなさい。


実際のシャネルは痩せ型で、彼女がメゾン・シャネルのミューズだ



シャネルの恋人だったアーサー・カペルがシャネルに教養を身に着けさせるため様々な事を書き綴ったノートの冒頭にこんな言葉があります。

----孤独を恐れるも人づきあいを嫌うあなたの孤独を癒すために書きます。

シャネルの孤独感や孤高感はトトゥや映画『シャネル&ストラビンスキー』のアナ・ムグラリスの方が上手い、マクレーンのシャネルは少々傲慢で扱いにくい女の要素が強すぎるし、情熱があふれ出ていて、強靭な精神力の持ち主となっている。マクレーンの演じたシャネルの美学と人生とは異なる気がする。

ただ、1人の女性のサクセスストーリーとしては良くできた映画と云えるし、メゾン・シャネルの足取りも追う事が出来、若き日のココを演じたバルボラ・ボブローヴァも良かった。が、あの時代を生きた一人のフランス人女性を描いた映画ではない。






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個人評価: ♪♪♪♪
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製作年/Sortie: 2009
監督/Réalisation 脚本/Scénario: Anne Fontaine/アンヌ・フォンテーヌ
出演/Acteurs: 
オドレイ・トトゥ/Audrey Tautou
ブノワ・ポールヴールド/Benoît Poelvoorde
アレッサンドロ・ニヴォラ/Alessandro Nivola
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あらすじ
フランスの田舎町の孤児院で育ったココは、ナイトクラブの歌手として、酔った兵士を相手に歌いながら、つつましいお針子として田舎の仕立屋の奥でスカートの裾を縫う日々。だが、一人の将校との運命的な出会いをきっかけに、彼女は世界的なファッション・デザイナーへの階段を駆け上がっていく……コネクションも財産も教育もない少女ココが世界の“シャネル”になるまでの感動の伝記映画。










感想・ネタバレ

19世紀に活躍した女性エドモンド・シャルル=ルー/Edmonde Charles Roux,Eの伝記小説が原作、日本語でも出版されている。シャネルを描いた小説やドキュメンタリーはたくさんの作家やジャーナリストが挑戦しているが、父親が歴史への造詣が深いこともあり、彼女の作品はどれも史実に忠実であることを目指し、主人公の人生を描いている。彼女の他の作品は映画かもされた『パレルモ』、街の歴史と人を描いた物語。

伝記小説がベースであるため、映画も伝記映画で割と単調。シャネルの生誕125周年に製作された他の2作品、『シャネル&ストラヴィンスキー』や『ココシャネル』と異なり、メゾン・シャネルの監修で忠実に最も近い映画と前評判があった。実際にフランス人が主演なのはこの映画のみ。

映画のポスターはベッドで愛煙家のシャネルが煙草を吹かすシーンが掲示され、フランスでは煙草の広告が全面禁止だったためポスターが全面回収となり、別の意味でも話題となった。



主演のオドレイ・トトゥは少女のようなイノセント&ノーブルな雰囲気が魅力で、シャネルの様な毒のある女性は似合わない様に思える。勿論トトゥは演技力があるので、映画は楽しめるが私にはシャネルにもガブリエルにも見えない。シャネルという女性はもう少し臭みのあり華やかな女性でないと、、、どうも恋愛を糧に成功を勝ち取り、ナチスドイツとその後交流をするような女性には見えない。

現実のシャネルから、吐き出された言葉はこうだ。
私はこうなりたいと思い、その道を選び、そしてその想いを遂げた。そのためにしたことで、人に嫌われたり、いやな女だったとしてもしかたない。

オドレイ・トトゥが演じることにより、美化され過ぎた気が、、、シャネルに限ったことではないが伝記映画は配役が難しい。ダリダ、サンローラン、サガンも顔立ちが似た俳優で成功しているが、ゲンスブールの映画は配役で酷評された。将来製作されそうな人物、低迷したシャネルを救ったラガーフェルド主役の映画とか難しそう。逆にサングラスで誤魔化せて以外に簡単?




映画のインテリアデザイナーのHP


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個人評価: ♪♪♪♪♪
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製作年/Sortie: 2009
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
ヤン・クーネン/Jan Kounen
出演/Acteurs: 
アナ・ムグラリス/Anna Mouglalis
マッツ・ミケルセン/Mads Mikkelsen
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あらすじ
時は1913年、初演されたバレエ『春の祭典』は大混乱、嘲笑、賛成派と反対派との対立、罵り最後には殴り合う始末、、、その劇場にシャネルも観客として。その7年後、シャネルはロシア革命の為亡命していたストラビンスキーに再開する。当時のシャネルは恋人のカペルを亡くし、多くの芸術家を援助していた。シャネルはストラビンスキーに支援を申し入れ、郊外の別邸にストラビンスキーの家族を招く。

妻カーチャはシャネルに訪ねる
「明るい色彩は好まないの?」
シャネルは、
「黒がある限り」

香水、洋服、芸術支援など、あらゆるアートをビジネスに変えるシャネル、全てにおいて自立している。「天から芸術が下りてくる」所を捕まえる天才音楽家ストラビンスキーは古風で保守派、献身的な妻と子供を愛する者の、対極にいるシャネルを前にしては何もできないのだ。
シャネルがカペルの写真盾を伏せる、家族もいる屋根の下でストラビンスキーとの情事が始まる。

勿論、妻カーチャが気付かないわけはない。遂には耐えきれず子供を連れて出ていく、
「あなたたちの親密な背徳行為に私は悩んだ。自立した女性でも慎み深さを忘れないで」

シャネルは皮肉交じりに「二人の女に値しない男ね」
ストラビンスキーも口を開く「君は芸術家じゃない、洋服屋だ」
これが二人の最後。
シャネルは5番の香水を見つけ、ストラビンスキーは春の祭典の再演を成功させる。


そういえばシャネルは厳しくて社員にストライキもされた事が、、、




背景の壁紙、美しいですね。シャネルの別荘はモノトーン



春の祭典、ストラビンスキー作品に限らず当時は新作が出る度に、大騒ぎだったらしい。活気ある世の中


感想・ネタバレ

監督はオランダ人監督、映画ヴァイオレンス・アクション映画『ドーベルマン』を撮影したクーネン。映画はオドレイ・トトゥの伝記映画『ココ・アヴァンシャネル』同様、メゾン・シャネルの監修。シャネル生誕150年記念で2作品とも作成された。更に最後のエンドロールにラガーフェルドの名前も。シャネルはムグラリスが演じており、長年シャネルの専属モデルだっただけにシャネルというメゾンについて理解深く、画に偽りがない。また、実際冷淡だったシャネルを上手く演じている。親しみやすさのあるオドレイ・トトゥのシャネルとは対照的だ。そしてストラビンスキー、妻のカーチャの配役も素晴らしい。

ストラビンスキーとの関係にのみフォーカスを当てた事により、登場人物の心情や当時の様子が丁寧に描かれている、、、が実際、シャネルがストラビンスキーを家族共に支援したのも事実だが、二人の関係は短期的なものだったとされている。つまり、創作映画。



創作といえど、面白い。
話としては淡々と進行するが、「春の祭典」初演の様子が映画で見られるし、シャネルのワードローブやインテリアは美しく目福この上ない。この映画では恰もシャネルが初浮気のように描かれているが、好色はシャネルに限らずストラビンスキーも同様。『全く、、、どうしようも無い男だ』と呟いてしまう。彼の伝記等を読んでみてもストラビンスキーの印象はこの映画のキャラクターに近い気がする。不器用でロマンチスト、そして我儘な保守+頑固派。

実物シャネルの写真


モノトーンの世界に住むシャネル。彩の無い無彩色非現実の世界に生きるシャネル、カーチャが理解できないのも仕方ない


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個人評価: ♪♪♪♪
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製作年/Sortie: 2009
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
フィリップ・ラショー/Philippe Lacheau
出演/Acteurs: 

フィリップ・ラショー/Philippe Lacheau
エロディ・フォンタン/Elodie Fontan
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あらすじ・ネタバレ
映画の街カンヌを舞台に繰り広げられる大騒動を描いたコメディドラマ。依頼人の完璧なアリバイを作る会社「アリバイ・ドット・コム」を経営するグレッグ。依頼は次から次へと舞い込み、業績は順調に伸び続けていた。ある日、グレッグは恋人フローの両親に挨拶するため彼女の実家を訪れると、フローの父親ジェラール、結婚記念日に不倫旅行のためのアリバイ作りを依頼した「アリバイ・ドット・コム」の顧客だった。渋々任務を決行するグレッグだが、困ったことに同じホテルにフローが母親を連れてバカンスに来てしまった、、、


映画の最後は、両親の愛は深まるが嘘が嫌いなフローに嘘をつくアリバイ製作会社の社長だということがばれ、別れることとなる。

ある日、グレッグが公園で暴行に合う、それを見たフローはグレッグへの愛を再認識し抱きしめるも、目の前の広告に目が留まる『カップルSOS・ドット・コム』。映画はここで終わり、グレッグに起きた暴行は二人を結びつける為の『カップルSOS・ドット・コム』による演出か?






感想
『世界の果てまでヒャッハー!』と同じスタッフとキャストで製作されている為、あの笑いが好きな人にはたまらない映画。頭を空っぽにして笑える。が、、、フィリップ・ラショーが監督・脚本・主演を務めた映画は何故か邦題に「ヒャッハー!」が必ずつく。これ何とかならないのかな?あまり好きではない。

相変わらずの下ネタの多さに、クレイジーな演出、一人でポテトチップスを食べながら見るもよし、カップルで大笑いするも良し。

監督で主役を演じるラショーとフォンタン、お主、本物の恋人同士だろう、、、ラショーの前作に参加したフォンタンは2016年から恋人同士。フォンタンの母親役ナタリー・バイは好きな役者、名脇役だと思う。




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個人評価: ♪♪♪
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製作年/Sortie: 2000
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
ニルス・タヴェルニエ /Nils Tavernier
出演/Acteurs: 
マニュエル・ルグリ、ニコラ・ル・リッシュ、オーレリ・デュポン、ローラン・イレール、エリザベット・プラテル、マリー=アニエス・ジロー、クレールマリ・オスタ、ウィルフリード・ロモリ、ミテキ・クドー、イリ・キリアン、ノエラ・ポントワ、モーリス・ベジャール、藤井美帆
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あらすじ
300年以上の歴史を誇るパリ・オペラ座のドキュメンタリー。エトワールとはフランス語で『星』を意味する。バレエは完全なるピラミッド型階級社会で、プルミエ・ダンスール、スジェ、コリフェ、カドリーユと、そしてエトワールを与えられたものは最高位のダンサーでバレエ団の頂点を意味する。
オペラ座に入団することも難しく、その中で更なる生存競争が待ち受けている。

フランス語でよければ映画は無料で視聴が可能、
ニルスのHPで映像をどうぞ
日本語訳はレンタルになってしまう。









感想
皆、美しく狂っている、、、、
バレエという一種の麻薬を飲み続けているのだ。

因みに映画監督は、麻薬中毒者のドキュメンタリーも撮影、インタビューが上手で、皆かなりの本音を言っている、少年少女のバレエ学校時代から苦楽を共にしてきた団員同士でも「心からの友人なんていない」と云う。ダンサーは練習漬けの日々でオペラ座以外での友人の交流は皆無、つまり皆孤独なのだ。強靭な精神力と体力がなければ、団員を続けていく事はできない。生存競争と言ったが、正に野生動物の世界と同様、弱肉強食なのだ。
『それでも踊る、バレエを愛している』抗生物質を飲んでも、体の一部が壊れかけても踊ることを止められない、、、、美しくも恐ろしい世界。

当時オンタイムで見たときには衝撃的だった。先日バレエ映画『ポリーナ』を見て久しぶりに懐かしく鑑賞したが、素朴なドキュメンタリーに胸を打たれる。嘗てのエトワール、ノエラ・ポントワNoëlla Pontois の娘、ミテキ・クドーも出演。母であるノエラの踊りは柔らかく、重心が体中心にあり、見るものに安定感を与える、近年のオペラ座ドキュメンタリーと比較すると、昨今の踊り方に変化がみられる。
ミテキはピナバウシュ振付の『春の祭典』以来、コンテンポラリーに目覚める。父親が日本人舞踏家の工藤大貮の血が疼いたのか? 少し、映画『ポリーナ』に似ている。


『春の祭典』なんて言うとストラビンスキーを描いた映画を思い出す、正に春の祭典を生んだストラヴィンスキーとシャネルの愛を描く『シャネル&ストラヴィンスキー』を久しぶりに見るか、ピナバウシュのドキュメンタリー映画に走るか、、、。

バレエ好き、アスリート、ストイックな世界を是非堪能してほしい。


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個人評価: ♪♪♪
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製作年/Sortie: 2013
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
マリオン・ベルノー /Marion Vernoux
出演/Acteurs: 
ファニー・アルダン/Fanny Ardant
ロラン・ラフィット/Laurent Lafitte
パトリック・シェネ/Patrick Chesnais
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あらすじ
可愛い孫もいるお祖母ちゃんカロリーヌは、歯科医を定年、最近親しかった友人を亡くし塞ぎ込んでいた。独立した2人の娘はそんな母を気にかけ、カルチャースクールへの体験入学を提案、半ば強引な娘達に背中を押され仕方なくスクールへ向かう。

年寄りのカルチャースクールは洒落たものでは無い。贅肉たるみ切った男女が、企業という縦社会ではなく、年齢という横割社会で複雑な人間関係を築いている、中流の上といえる家庭を持つカロリーヌにとっては耐え難いものがある。講師の殆どは自分より若く、手に職があり誇り高く仕事をしていた元歯科医のカロリーヌにとって、陶芸の授業で褒めた講師の細やかな言葉すら、小馬鹿にされているように聞こえる。

ひょんなことから娘達と同年代の講師のジュリアンと親しくなり、身体関係を持ってしまう。すっかりジュリアンに夢中になったカロリーヌだが、当のジュリアンは二股。そして女性観は「来るもの拒まない」。最初は大人の余裕を見せていたカロリーヌだが、やはりジュリアンが欲しくなってしまう。やがて情事はカルチャースクールの友人にばれ、そして夫にも、、、、








感想・ネタバレ
「ひょんな事から」と書いたものの、カロリーヌもジュリアンに興味津々。そしてジュリアンも「歯が痛い」「(元歯科医の)君に見てもらいたい」等、口説き文句を言いだす、その気になったカロリーヌは一度限りの現場復帰を果たす。皆様も経験のあるように、美しい医者及び整髪師に体の一部を触れられる瞬間及び息の届く距離にいる時間は優美で官能的なものだ。
治療後の食事中、男は眼力ギラギラ、カロリーヌは無駄に手や目線を動かしクネクネしながら「口説いてる?」なんて質問。陶酔系ヒロインが苦手な私は、呆れ気味。カロリーヌも確かに美しいが、若い女性と比較すると放つ輝きが異なるし、会話も熟年、、、、どこが良いのか。
食事同様、時々嗜好を変えたくなるものなのか。

実際、フランスでは幾つになっても恋愛のチャンスがある。
驚くべきことに46歳の友人が結婚し出産、彼女は企業事務職で生活も地味だが、カフェで同じ本を読んでいた男性に声をかけられたそうだ。イタリア男曰く、フランスでは女性は幸福が去ってもまた見つかるチャンスがあるが、イタリアでは「男の子を生まない限り」女性としての幸福は無い。何故ならイタリア男は若い女性が好きだから。
男性に愛される事だけが女性の幸せなのか、、、疑問が沸くがイタリアではそれ程夫が若い女に走るのか。

この映画の中で、一番好きなキャラクターはカトリーヌの娘。
不倫を母親から告白されても「私も不倫しているの」さらりと冗談で返す、自分が不倫しておきながら、娘には不倫禁止を言い渡すカトリーヌ。困ったもんだと笑ってしまう。

2番目に好きなのは夫かな?
この娘にこの親、カトリーヌの浮気を洒落た言い回しで問い詰める夫。
夫の言葉は、相手を思う気持ちや妻に対する愛情について語られ、カトリーヌに倫理を問うものだ。そこには理路整然としたロジックが存在し、少し頭を使えば人生を誰と過ごすべきか答えが簡単に見つかる。




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個人評価: ♪♪♪♪♪
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製作年/Sortie: 2017
監督/Réalisation 脚本/Scénario: 
ヴァレリー・ミュラー/Valérie Müller
アンジュラン・プレルジョカージュ/Angelin Preljocaj
出演/Acteurs: 
アナスタシア・シェフツォワー/Anastasia Shevtsova
ジェレミー・ベランガール/Jérémie Bélingard
ジュリエット・ビノシュ/Juliette Binoche
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あらすじ
娘の才能を信じ貧しくとも懸命に支える両親に支えられ、バレリーナを目指すロシア人の少女ポリーナは厳しいレッスンにも耐え精進していた。
ある日、師に問われる、「自分にとってダンスとは?」
「体から自然に生まれるものです」幼いポリーナはそう応えた。

夢に描いたボリショイ・バレエ団への入団テストを通過したにも関わらず、先日見たコンテンポラリーダンスがポリーナの頭から離れない。両親を説得し、恋人が進むという南仏のコンテンポラリーダンスカンパニーへ一緒に行くことを決意。しかし、新天地で待ち受けていたのは挫折。コンテンポラリーはクラッシックと比較し重心が低く、形状美ではなく自己表現が重要視される。だが、ボリジョイ出身で詰込み型教育しか知らないポリーナは、自尊心を取り戻そうと練習に躍起になり、恋人との心の距離も離れ、遂には練習中に怪我をしてしまう。

失意のポリーナはフランスからベルギーへ北上、所持金が底をつきた為、バーでアルバイトを始め、ルームシェアする。同居人の名前はカール、コンテンポラリーダンスの教師、彼の教室は一般人を相手にテーマを与え即興で体を使って表現することを教えていた。そこでポリーナは自分の求めていた踊りに出会う、、、。


幼いポリーナ


優しい両親


ボリジョイの仲間たち

そして、、、、挫折から、、、



感想
この映画が他のバレーやダンス映画と異なるのは、バレエ・プロジェクト(ドキュメンタリー等)を手掛けているヴァレリー・ミュラー/Valérie Müllerと振付師のアンジュラン・プレルジョカージュ/Angelin Preljocajが監督し、ボリジョイの恩師役と両親、ポリーナの仏恋人役のニール、南仏コンテンポラリーダンスの師を除いて俳優は演技の出来るダンサーかダンサーのみ。代役が踊るわけではないので、見応えがある。カール役のジェレミーもパリオペラ座のダンサー、主役のアナスタシアもロシア生粋の古典、サンクトペテルブルクのダンサーだ。

物語はポリーナの少女時代から入り、彼女が帰り道に歩く風景には鬱蒼とした原子炉のようなものが見える。ところが純粋に踊りたい音楽を表現したいというポリーナの表情が画に灯を与え、寂しいどころか希望さえ見えてくる。また、幼いポリーナのタンパク質源は森で父親と狩った野ウサギだ。そこで出会った鹿に生命力と自然の神秘を見る。
そしてポリーナの学費を支えるために父親は闇商売に手を染め、温かな家庭に時折影が落とされる。両親役の二人の表情はどの瞬間も本当の両親の様だった。

アートに少しでも興味のある人であれば、かなり楽しめる映画だ。そうじゃない人は、、、最後にカールとポリーナが猛練習しているところで寝てしまう可能性も、、、笑



ジュリエット・ビノシュが南仏先生役で出演。
自己陶酔が強いビノシュのダンスは好みではないが、彼女はイギリスで有名なコンテンポラリーの振付師AKRAM KHANと踊っている

ビノシュとアクラムのダンス!

AKRAMと云えば、''Dont have more female choreographers for the sake of it" 「女性の振付師を慈善の為に増加するな」と女性振付師不足問題に水を差し、物議を醸した。





原作は仏漫画バスティアン・ヴィヴェス/Bastien Vivèsの『ポリーナ』、てっきり作者は女性かと思っていたが男性、、、。
日本語のWIKIの写真、悪意を感じる!