過去のパンデミックから見えてくること
◆過去のパンデミックから見えてくること 全世界で流行が広がっている今回の新型コロナウィルスの流行は、WHOが遅まきながら「パンデミック(世界的大流行)」と宣言した。 世界は、ウィルスとの戦いと、経済的打撃による混乱が同時進行している。 いま、過去の「パンデミック」についておさらいしておいてもよさそうだ。 人々の記憶に残るのは中世の「ペストの流行」と20世紀初頭の「スペインかぜ」である。スペインかぜは今から100年前1918~1919年ごろののことである。 ◆ペストの大流行(1348~1420)全世界でおよそ8500万人、当時のヨーロッパ人口の3分の1から3分の2に当たる、約2000万から3000万人が死亡したと推定されている。 伝播したヨーロッパでは1348年から1420年に大流行した。 ヨーロッパの全人口の30%から60%が死亡した。その後も散発的にペストの流行は続いた。 → 1592 ~ 1593 年のロンドンにおける流行 → 1663 年にオランダで → 1664 ~ 1665 年にはロンドンで流行し、ロンドンでは約 7 万人が亡くなった(Great Plague ofLondon)。 → 1855 年中国雲南省でイスラム教徒の清朝政府への反乱とそれに続いた難民の移動があった。その移動と混乱の中でペストが発生 → 1894 年 には香港や広州に広がった。 → 1907 年には、インドだけで 131 万人の死亡が報告されている。 → 1903 ~ 1921 年でペスト死亡は 1,000 万人と推定されている。そして、これが最後の世界的大流行となった◆日本でのペスト流行 → 1899 年(明治 32 年)に流行地の中国から侵入したのが初のペストである。 ペストが日本に侵入してから 27 年間に大小の流行が起こり、合計ペスト患者 2,905 人(死亡 2,420)が発生した。しかし、日本がペストの根絶に成功したのは、ペスト菌の発見者である北里柴三郎や、彼の指導下でダイナミックに動いた当時の日本政府のペスト防御対策(特に、ペスト保菌ネズミの撲滅作戦)にある。※以上加藤茂孝氏の論文から抜粋◆スペインかぜ(1918~1919) スペインかぜは、1918年から1919年にかけ全世界的に大流行したH1N1亜型インフルエンザの通称である。アメリカ疾病予防管理センターによるインフルエンザ・パンデミック重度指数においては最上位のカテゴリー5に分類される。 感染者は、ある資料では全世界で5,000万人とされ、 別のデータでは世界人口のおよそ27%(18億-19億)とされており、 これには北極および太平洋諸国人口も含まれる。死亡者数は1,700-5,000万人以上、おそらくは1億人を超えていたと推定されており、人類史上最も死者を出したパンデミックのひとつである。現状の歴史的・疫学的データでは、その地理的起源を特定できていない。 ※以上ウィキペディアより このスペイン風邪によって、最終的に当時の日本内地の総人口約5600万人のうち、0.8%強に当たる45万人が死亡した。当時、日本は台湾と朝鮮等を統治していたので、日本統治下全体での死者は0.96%という。 1945年、東京大空襲による犠牲者は10万人。日露戦争による戦死者約9万人を考えるとき、この数字が如何に巨大なものかが分かるだろう。単純にこの死亡率を現在の日本に当てはめると、120万人が死ぬ計算になる。◆スペインかぜ その後 → 第一次世界大戦が終焉(1919) → 関東大震災(1923.9.1 11:58) → 銀行取り付け騒ぎ(1927) 1927年、衆議院予算委員会で大蔵大臣・片岡直温が「東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました。」と間違った情報を発言したため、全国各地で「銀行が危ない」という噂が広がり、取り付け騒ぎが起こり、このことが引き金となり金融恐慌が発生した。影響という面では日本金融史上、最大の取り付け騒ぎである。 → 世界大恐慌(1929) ウォール街の大暴落から始まる。第二次世界大戦への大きなきっかけとなった。 → 日本恐慌(1930~1931) → 第二次世界大戦(1939)始まる → 真珠湾攻撃(1941.12.7)日本軍がハワイ真珠湾を急襲攻撃、太平洋戦争始まる。***◆現代のパンデミック スペインかぜ当時は船と鉄道が主な交通手段だったが、現代は旅客機が存在し、また世界人口は1918年の4倍となり、そのうち半数は人口密度の高い都会で暮らしている。パンデミックが発生するのに必要な条件はそろっていることから、発生した時の広がりのスピードは格段に速いということになるし、感染者の数も劇的に増える可能性がある。 実際コロナウィルスの流行が伝えられてから、わずか3ヶ月で、ほぼ全世界に拡大しており、当面は収束の見通しは立っていない。凄まじいまでの勢いで拡大し続けている。 中国を除けば、イタリア、イラン、韓国などの拡大が大きいが、すでに多くの国で危機的な状況となりつつある。アメリカ 国家緊急事態発令アメリカ トム・ハンクス夫妻がオーストラリアで発病アメリカ 全ヨーロッパ便を停止イタリア 全土を封鎖。食品店以外のすべての店を閉鎖フランス 日用必需品の店以外閉鎖スペイン 国家緊急事態発令カナダ トルドー首相が感染ブラジル 政府幹部が感染ドイツ メルケル首相、国民の60~70%が感染する可能性があると発言フィリッピン 大統領が感染かギリシャ 東京オリンピックのための採火式は実行したが、ギリシャ国内での聖火リレーは中止多くの国が、日本を感染国と見なして、入国を厳しく制限◆危機感が足りない日本人 こんな中で、日本だけはのんきなようだ。3月14日の記者会見でもアベ首相は、オリンピックは予定通りと発言、森喜朗委員長も中止や延期は全く考えていないと。都の代表である都知事も同様。 可笑しいのは、オリンピック委員会のある委員が「延期をした方がいい」旨の発言をCNNにしたと激怒して「まるでガソリンをぶちまけるような、無責任なことは言わないで欲しい」と言った翌日に、アメリカのトランプ大統領が「オリンピックは1年後に延ばした方がいい」と発言したことについては、「無責任だ」とかの何のコメントもしない。同じことを言っても部下には「無責任」と激怒し、上司(トランプ氏)には何も言わない。もっとも卑しい人間のやることだろう。 日本の政治家(や、もと政治家)は、自分より下の人間には激怒しても、上司であるアメリカの大統領には何も言わないのだ。 だれが見ても、いまの世界情勢からみたら、ムリなのに、なんでそんなに開催にこだわるのか。ムリだと考える理由は、 ①一つは、オリンピック開催予定の7月までには、このパンデミックは収束しそうにないこと。 ②収束したとしても、世界の各国のパンデミック収束後の後始末で、とても選手たちを日本に送り込むだけのエネルギーはないだろうということ。 ③パンデミック対策で、日本は世界から信用を失っていること。などである。 オリンピックをやりたい人は、どうぞおやりなさい。トランプ氏は「無観客のオリンピックなど想像もできない」と言ったが、その通りだ。 中止になったら、いま一生懸命それを目指してがんばっている選手たちがかわいそうだという。のんきなものだ。世界中で何万人もの人が感染し、多くの人が死んでゆくパンデミックの時に、何を大切にしているのだろう。 TV報道を見る限り、日本人はイベントが中止になったことを残念がり、悲しんでいるようだ。 選抜高校野球が中止になり、ディズニーランドが閉園状態になり、各種ライブ音楽会が中止になっている、そのことが一番心配の種のような報道だ。 だが、実際は、明日の収入が減り、生活そのものが大変になりそうな人々が多く、またいつ「コロナ」を感染させられるか分からない恐怖があり、この先の日本は大丈夫か?と思っている人の方が多いのだ。 TV報道の「ウソ」にはうんざりさせられるが、このパンデミックの状況になっても、態度の変わらないマスコミの有り様は、ほとんど「犯罪」と言っていいほどだと思う。 子どもが学校休校になって一日中家にいてストレスがたまる、自宅待機や、自宅でのリモートの仕事でお父さんもお母さんもストレスだらけ、それに親子がずっと一緒にいることのストレスが大変だ...などをいう報道を聞くと、もう、日本は終わってるねと思う。 この危機感の無さは、何なんだろうね。 世界が大変なことになりつつあるというのに、親子が一緒にいることのストレスなど、どうにでもできるし、TVのニュースで流すことではない。◆新型コロナウィルスの不気味さ 今回の新型コロナウィルスの世界的な流行の怖さは、病気の怖さもさることながら、そのウィルスの素性にありそうだ。 専門家の意見としては(いろいろあるから、どれが本当かは分からないが)、どうやら、いままでのSars や Mars どころではない感染力がありそうだ。そして、なによりも特筆すべきは、発病していない人が、他人に感染させるという「不気味さ」がある。 すぐ隣にいる元気そうな人からも感染させられるのだ。そして、潜伏期間も長く、発病して治っても、また発病する可能性があるようだ。 またウィルス自身が人間の生体外、たとえばドアノブとか電車のつり革とかにくっついて、数日以上生きている可能性があるようだ。 だから、だれでもが感染の危険性にさらされている。また、だれでもが人に感染させる可能性があるのだ。◆これから起こる怖いこと スペインかぜのその後をみると、日本は厄災が続いている。 関東大震災が起き東京が灰じんに帰した。その後銀行の取り付け騒ぎや社会不安が増大。そうこうしているうちに、1929年の世界大恐慌がやって来る。それに引きずられるように日本恐慌も起きる。やがて、ドイツが世界大戦をはじめるのだが、日本も真珠湾攻撃を行い太平洋戦争に突入する。 歴史的には、パンデミックのあとの世界は大変なことの連続なのだ。 これと同じことが起こるとは思いたくない。 だが、大地震の可能性は捨てられない。 世界大恐慌の可能性も捨てられない。 戦争だって、可能性がないとは言えない。 こういうことに危機感を持たず、のんきにお笑い番組を見て過ごしていてよいだろうか。 子どもと親が一緒にいるのがストレスだなんて考えていいのか。 時間が有り余っているのなら、勉強すればいい。いままで読めなかった本を読めばいい。音楽をたっぷり聴くが言い。新しいことを(たとえばピアノを習うとか)始めればいい。英語や他の語学の資格を取るための勉強に時間を割けばいい。 やることなんか、いくらでもある。 やれることなんか、いくらでもある。 人生を無駄に過ごしてはいけない。人生とは今日一日のことである。(ディール・カーネギー)