楢葉町への思い
福島民報の一面。
昨年12月に中間貯蔵施設の建設受け入れ要請に対して、町内から出た10万bq以下の廃棄物以外の受け入れ拒否の意思を、楢葉町長が福島県知事に示したと報じている。
理由は、“まちづくりに支障が出る”。
私は、楢葉町のこの判断を良かったと思っている。
なぜなら、楢葉町は全域が比較的線量が低いからだ。
福島第一原子力発電所から半径30kmに位置するが、放射線が低い町に中間貯蔵施設を作るにもは違和感があった。
楢葉町に南接する広野町も町内全域は比較的線量が低い。
この二つの町の動きを、双葉8町村の中で放射線量の低さと地理的な要因で私は注目している。
広野町から南にあるいわき市までJRで20分、車で片側二車線(四倉まで)の道で30分以上かかってしまう。
北は、富岡・大熊・双葉・浪江・南相馬市小高地区をこえると、やっと南相馬市原町地区となる。
双葉郡8町村は震災後全域避難しなかった南北の街(いわき、南相馬市原町地区)まで遠く、仕事・学校・病院・スーパーなどの施設(インフラ)は郡内に必要なのでないかと私は思う。
広野町と楢葉町の両町は、それらインフラを整備することで、双葉郡の復旧・復興の拠点になるのではないだろうか。
このような環境の中、楢葉町に中間貯蔵施設ができてしまえば、楢葉町のまちづくりのみならず、双葉郡8町村の将来に大きな影響が残ってしまうのではないかと私は考えた。
楢葉町の今後の動きに注目したい。
宇野賀津子氏 講演...「逢瀬川ふれあい通り」フォーラム
富田西広域公民館で開催される、逢瀬川ふれあい通り「ふるさとの川」フォーラムに参加した。
宇野賀津子 氏(パストゥール医学研究センター 理学博士)の講演を聞くためだ。氏は免疫機能の研究者だ。
会場には多くの市民の姿があり、、後方ではアロマハンドマッサージの体験コーナーもあった。
このフォーラムは数年前から年四回(春夏秋冬)行われているという。
会が始まると「ふるさとへの手紙」の表彰式があった。
優秀賞と最優秀賞の二人の小学生に賞状が手渡され、それぞれ受賞作の朗読が行われた。
二人とも、はきはきと音読し、文章も具体的でわかりやすい内容だった。感心してしまった。
応募作品は会場に掲示されていたが、近所の富田西小や富田東小、富田小だけと思ったが、逢瀬川とは縁遠い守山小と柴宮小の児童のものが多かったのが意外だった。
表彰式が終わると、逢瀬川の放射線量・土壌汚染のレベルについて企業の担当者から説明があった。
源流から阿武隈川合流点までの約10か所の、一昨年度と今年度の比較した数字を地図上で示しながら説明した。
土壌は、ほとんどのポイントが検出限界値(10bq以下)であり、検出されても20bq程度。
ただし、合流部手前で約390bq、合流ポイントの阿武隈川の川底では710bqとのこと。
逢瀬川は流れが急で、大雨が降ると増水し、一気に川底の泥が下流である阿武隈川に流れ込んだため、放射性能が低減するのだろうと担当者は見解を述べていた。
そして、いよいよ宇野賀津子先生による講演会。
内容は同著と重なっていたが、要点が次から次へと述べられ、小気味よく分かりやすかった。
氏はは冒頭『低線量=ガンのリスクを上げる、というイメージが強いため、がんやHIV患者に向き合いその方々の免疫を計ってきたきた専門家として、“がんのリスクは上がらない”事を科学的に示さなければならないと思い、このような講演活動を行っている』と言われた。
氏は著書で『私自身は、放射線の影響のかなりの部分が活性酸素だと理解した時から、がんリスクよりは、老化に伴って増加する疾患の方に影響が出やすいのではと思いました。』(p93)と述べている。
事故後に白河で学習会をした時、除染を控え、“攻撃的”が住民がいたが、氏の講演後には放射線や低線量について理解されたようで、その攻撃性は収まったというエピソードは印象深かった
科学者として、不安と怒りが錯綜する中、真摯に県民と向き合った氏の姿勢に頭が下がった。*著書p57にこの学習会の内容
物理系(物理学、原子力工学など)と生物医学系の識者の言い分が違い、多くの県民が混乱し不安になったと指摘し、『リスクを過剰に言い、恐怖を煽ることは無責任』と言い切った。
また、この講演会で配布された「パストゥール通信 2014年新春号」の中で氏は、このようにも述べている。
『何でも安全側にたっての発言は、あとで責任を問われないという意味でも科学者としては楽である。ぎりぎりのところの判断は、きちっと勉強していないと言えない。今回のようなシビアアクシデントの場合は、やはりその及ぼす影響についても多面的に考えて発言しなければならない。』(p21)
氏は科学者が発する言葉を受ける側である私たち市民にとって、その言葉がどのような影響を及ぼすかまで配慮し、自身の持つ知見を根拠に発言している。
私たち福島の多くの県民は“ただちに影響はない”という言葉に、多寡はあれども、不安を感じている。
そこで、“今”これをすれば将来が(良い方向に)変わりますよ、と科学的知見を元に言われれば救われる。
それは、免疫力を下げない生活をする事であり、具体的には、新鮮な野菜や果物をバランスよく食べ、適度な運動をして、よく笑うなど、特別な事ではなく、生活を豊かにする、“やってみようじゃないか”と思わせものである。
福島は野菜と果物が豊富で、地元だから新鮮だ。これらを摂るリスクより取らないリスクの方を考えなければならないという氏の指摘には納得させられた。
『(原発事故後に低線量の被ばくとした)その後の生き方で20年、30年先の人生が変わる』
この言葉は大切にしたいと思った。
「免疫」という人間の持つ対抗力の専門家の話は、これから福島で生きてゆく私にとって大いに参考になり、勇気をもらった。
*参考
◇宇野千賀子氏 昨年(2013年)の福島での“低線量放射線”に関する講演歴
*「パストゥール通信 2014年新春号」より引用
2月 伊達市
3月 福島市 *福島県総合衛生学院
6月 伊達市
6月 郡山市 *福島地域保健研究会
7月 国見町
7月 郡山市 *公立学校共済組合職員研修会
*7月31日 著書「低線量放射線を超えて」発売
8月 いわき市 *公立学校共済組合職員研修会
9月 福島市 *福島学院大学
10月 いわき市 *保健福祉・教育関係者の研修会
10月 福島市
10月 会津若松市 *保健福祉・教育関係者の研修会
11月 福島市 *保健福祉・教育関係者の研修会
11月 郡山市 *保健福祉・教育関係者の研修会
12月 郡山市
*その他地域
1月 大阪 *放射線利用総合シンポジウム
3月 埼玉 *理化学研究所
6月 大阪 *府立泉北高校
6月 東京 *第17回量子放射線利用普及協議会
8月 東京大学
8月 京都大学 *東アジアジュニアワークショップ
10月 東京大学
10月 京都府福知山市
11月 東京慈恵会医科大学





