原発事故5年目における風評被害の構造と食と農の再生...ふくしま未来支援センター主催
今日は市役所の本庁舎2階・特別会議室で行われたシンポジウムに参加しました。
開始10分前に会場に入りましたが、ほぼ満員でした。関心の高さがうかがえました。
主催は福島大学「うつくしまふくしま未来支援センター(FURE) 」。
【シンポジウム概要】
「原発事故5年目における風評被害の構造と食と農の再生」
主催:福島大学うつくしまふくしま未来支援センター
共催:福島県、郡山市、超学際的研究機構 (NPO法人)、東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター
【演目(報告)】
1.「風評被害の構造と5年目の対策」 関谷直也氏(東京大学)
2.「原子力発電所災害後の農産物地場流通の実態と地産地消の回復に向けた課題」 則藤孝志氏(福島大学)
3.「消費者は今、どう考えているのか –消費者調査による購買行動と態度の分析-」 中村陽人氏(福島大学)
4.「放射能汚染食品のリスク評価と規制・対策の費用便益分析」 岡敏弘氏(福井県立大学)
配布された資料には、当センターのマスコットである“めばえちゃん”が描かれていました。
シンポジウムは、4人の演者(報告者)がそれぞれ発表し、その後に座長を加えた5人が登壇、会場からの質問に答えるという総合討論があり、予定時間をわずかに上回り閉会しました。
「情報の更新」。
このシンポジウムで印象的だった言葉です。
2011年3月12日、東電福島第一原子力発電所・1号機の水蒸気爆発以後、様々な情報が飛び交いました。
初期はセンセーショナルが情報が、真偽を分析することなく発せられました。この情報が、我々の頭にインプットされ続けているというのです。実感しました。
福島県民は地元メディアを中心に線量や汚染度の低減や、放射線に対する正しい情報や明らかになった事実などが報道されているため、事故当時の情報は“更新”されていると言います。
しかし、関心のない方々や、西日本などの遠方に暮らしている方(報道がほとんどない!)はこの事故当時の情報が“更新されていない”という指摘がありました。
だから、風評は根強く残っている、と言います。
この改善方法として、農作物の放射能検査の情報などを地域・世代などで区分し、発する情報を精査して発する、ターゲッティングが必要なのではないかと演者の一人は言っていました。
なるほど、と思いました。
また、情報の更新がなされていない現状を考えると“おいしい”よりも“検査情報”を全面に出した方がよいとの意見もありました。
情報の更新に目を向ける事。私は必要だと痛感しました。
他、印象に残った話は以下の通りです。
・原発は絶対事故を起こさないことが前提となっていたために費用便益分析が不徹底だった。
・会津生協 ではセシウムチェッカー を用い、約15分で検査が可能になっているが、自家野菜などの持ち込みが減ってきている。
・風評によって事故前の商圏を失うのは致し方ない。新たな商圏を拓いてゆかなければならない。
・原発事故による風評が過去のものと違うのは時間の経過で解決しない事。事故現場が残っていて、廃炉作業があるため。
・放射能検査の結果などに対して、一喜一憂しない文化が必要。
・福島県の農作物などの情報発信のターゲッティングとレベル分け(概要と詳細)が必要。
(以上)
路面電車・LRT...富山・高岡 低床路面電車乗車考
今回の旅の最大の目的は「富山の路面電車(LRT)に乗り、公共交通を考える」ことです。
富山県は自家用車保有率が全国上位にありながら、「公共交通推進」県で、公共交通網を積極的に整備しています。
*参考:富山県 公共交通の維持・活性化
昨日の夜に富山入りして、富山地方鉄道市電・環状線と高岡・万葉線に乗り、そして今日は、万葉線で射水市まで足をのばし、再び富山市に入りポートライナーと市電・環状線に再び乗車しました。これらの路線にはすべて「路面電車」が走っています。
「路面電車」と言えば聞こえは古いですが、全国各地で見直しが進み、お隣の栃木県宇都宮市では4年後に新設開業するまでに具体化されています。
*参考:宇都宮市 「新交通システム(LRT) 」
福島県から一番近い路面電車は東京都の都電荒川線 (早稲田~三輪間)になりますが、ここで使われているのは“今までの”路面電車です。
富山市は路面電車でも超低床車両を走らせる「LRT」で、これを含めた公共交通で「コンパクトシティ」化に取り組んでいます。
「LRT」とは交通システムの事で、国土交通省のHPには以下のように記載されています。
『LRTとは、Light Rail Transitの略で、低床式車両(LRV)の活用や軌道・電停の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性などの面で優れた特徴を有する次世代の軌道系交通システムのこと』 *出処:国土交通省「LRT(次世代型路面電車システム)の導入支援 」
富山市は、このLRTを積極的に推し進め、ネットワークを拡大しようとしています。
富山市内でも、環状線の他二路線はほとんど“路面電車”型で、乗降車時にステップを利用しなければなりません。
*富山地方鉄道・市電の乗降口の高さ
車両の床とホームに段差はなく。高齢者はもとより、車椅子もスムーズに乗降できるようになっていました。

JR富山港線の移管を受け開業した富山ライトレール㈱の「ポートラム」 も同じ様に低床車両を導入しています。
乗降口の間口は広く、乗り降りには全くストレスを感じませんでした。全ての人にやさしいユニバーサルデザインです。
車内の床もホーム高と同じ。ほとんど段差がありません。

椅子は、モーターなどの装置の上に設置されているため、足が無いデザインとなっていました。車内を低く、フラットにするための工夫でしょうか。
室内の構造は、環状線セントラムとポートラムは同じ。どちらも乗り降りし易く、肝心の乗り心地も地面をはっているようで、安定感がありました。
セントラムは駅から、県庁前、富山城址、ホテルや会議場がならぶ繁華街を通り、還ってきます。各駅間を1~2分でつなぎ、約20分で1周するダイヤ設定です。丸の内~中町(西町北)間に軌道を敷設することで環状化されました。
*参考:富山市内電車・環状線化計画検討委員会「富山市内電車・環状線化計画に関する検討報告書」(2006(平成18)年5月)
運行本数は1時間最大6本。9時台、11時台、14時台、16時台に6本走っています。
土日祝は17時台と19時台にも6本走らせ、“街なか”利用者の利便性を高めています。
料金は200円。ICカードが180円と安いのは、定時性を確保するため、料金受領に時間をかけないよう「ICカード」の普及を狙っていると言います。
富山市の環状線セントラムとポートラムのLRTは、定時制という電車の利点がありながら、乗降のし易さや乗車時の快適性などがあり、魅力的です。
また、環状化による環状線の誕生や、JRから譲り受けた路線を転用し、駅の数を増やし低床車両を導入したポートラムにはこれからの街づくりの明確な意思を感じました。
富山市は『鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり』 (出処:富山市「富山市公共交通活性化計画 」)を掲げセントラムとポートラムを整備しています。
このほか、フィーダーバス やJR高山本線活性化事業 など目標を達成するために様々な取り組みを行っています。
インフラの維持と高齢化という大きな問題を解決するうえでも、この富山市の取組みは参考になります。
間もなく北陸新幹線が金沢まで開業します。
富山市中心部の利便性が高まり、公共交通が活用されていくか注目したいと思います。
...15時26分富山駅発の列車で富山市を後にしました。
その後、普通列車を乗り継ぎ、長野駅からは「しなの鉄道(第三セクター)」直通の列車で軽井沢に。
ここから先は新幹線を利用。運よく、14日開業の北陸新幹線で使われるE5系に乗る事ができました。
*その他写真
[環状線セントラム]
北陸新幹線開業を控え工事中の富山駅前ですれ違う路面電車。

荒町付近。街なかでありながら、複線となっている。
ここは1系統(富山駅~南富山駅前)、2系統(大学前~南富山駅前)、そして環状線が走っている。
大学前方面に伸びる軌道。
道路に組み込まれ、まったくの平面で、一体化している。

夜の環状線。環状線セントラムは全て超低床型車両であるため、“まちなか”によく似合う。
停留所(大手モール)からの風景。右手の車道側はガラス張りとなっていて安全性だけではなく景観にも配慮している。

“もっと街を歩きましょう”。折りたたみ式のベンチの上、それぞれにサポーターのメッセージの入った金属プレートが。市民の足であることが伝わった。 *参考:富山市HP

夜の富山城と富山の街並み。環状線がつながる前は、前方に見える道路を路面電車は走っていなかった。

この環状線は北陸新幹線の開業と同時に、富山駅の高架下に乗り入れる。
工事はほとんど終わっているようだった。
富山駅から伸びる併用軌道線。ここを環状線セントラムが走るようになる。
[富山港線ポートラム]
今は富山駅から離れた場所に駅があるが、北陸新幹線開業後に、高架下を通り、環状線に接続される予定がある。
ベンチは落ちたたみ式で狭いスペースを有効活用している。
車両の内部の様子。海を目指すだけに、シートは青だ。
富山駅を出発すると道路の左側を走る。
この区間は単線で、上下線ともこの位置を走る。

道路の真ん中、単線軌道を走る。ここは道路にあたらに軌道を敷設した区間だ。

道路の真ん中に駅が見える。
しばらく進むと、旧JR富山港線に入る。踏切は当時のままだ。
道路の併用軌道内は20km/h程度だが、富山港線内は50km/h

左がJR富山港線時代のホーム。右がポートラムのホーム。
JR富山港線時代のホームをセントラムの中から見る。高さの差が一目瞭然だ。

終点の岩瀬浜駅。海は近い。
[高岡市 万葉線]
高岡駅に直接乗り入れている。
奈良時代に越中国守として高岡に在任したことから、高岡市は“万葉のふるさと”としてまちおこしをしている。万葉線の名は、この大伴家持に由来している。

高山駅1階にある乗降場。
ドラえもんのポストがあるが、高岡市は藤子・F・不二雄氏の生誕地で少年時代を過ごした場所という縁がある。

車両は2003(平成15)年に導入された低床型。
この他にも「ドラえもんトラム 」と呼ばれる、ブルーのラッピング車両がある。

車内は、富山市のセントラムと同じく、全面平面。
万葉線は高岡駅を出発後にまちの中心部を単線で通ってゆく。
駅の中にはホームの無いものもある。

「のりば」と標示され、ブルーに塗装されている。

この場合は、乗り降りに段差が生まれる。
万葉線は旧新湊市を抜け、富山新港の入口である越ノ潟まで伸びている。
庄川を渡る時は、専用の橋を通る。

射水市新湊庁舎前駅の様子。単線ながら両側に待合室があった。
この駅にもバス停が隣接している。

待合室の中には花が飾られていた。このような光景を見ると、この路線が、駅が地域に愛されていると思わせられる。
新潟市「新バスシステム(BRT)」構想
只見町に行くため、早起きして郡山駅に。
5:55郡山駅発の磐越西線の電車に飛び込みました。目的は2011年7月の福島・新潟豪雨で現在不通となっている(会津川口~只見、現在は代行バス)只見線の現状について、関係者に話を聞く事。
その只見町を経由して、新潟県小出市に出て、鉄道を乗り継いで最終目的地の富山県高岡市に行くのが今日の予定。
しかし、その予定は、さっそく狂ってしまいました。
只見線の只見~大白川間が雪崩の可能性があるため不通で、只見から小出に抜けられない事を、郡山を出発して次の喜久田駅に着く頃、ネットで知ることとなりました。
事前に、確認するのを忘れていました。只見~大白川は豪雪地帯だから、雪が降れば“大雪で運休”、天気が良くなれば“雪崩の危険があるため運休”ということを分かっていたつもりでしたが、うっかりしていました。
..さてどうしようか? と私は考えました。
富山に早く乗り込み目的を果たそうかと思いましたが、今年の夏にBRTの導入を予定している新潟市の現状を見よう、と思い新潟駅に向かう事に決めました。
BRTとは、“Bus Rapid Transit”の略で、「バス高速輸送(システム)」です。
*参考:新潟市 「新たな交通システム 」/」国土交通省 「次世代の生活支援(BRTの導入) 」
新潟駅に到着し、万代口を出て、駅から繁華街である古町まで歩きました。
まず、新潟駅前の様子。
駅頭にバスの降車スペース。
左手に進むと、間もなく乗車場。
まっすぐ伸びた乗車場。駅から一直線に向かえば便利ですが、バスはどうなているのだろうと思い、このウラにまわると...
郡山駅前のようなローターリー式ではなく、降車場で乗客を全て下ろし、ここに着いたバスはバックしてそれぞれの乗車スペースに入るという形になっていました。
駅に向かう大通りは片側4車線で、大量のバスの発着が可能であることが納得できました。
*正面が新潟駅。バスの乗車場は右の奥になる。
バスは切れ目なく、この広い道路を快調に走っていました。
新潟駅から約2kmほど離れた、“街なか”古町の間は、同じダイヤでバスが運行。市によると約2,500台がこの付近を行き交うといいます。
中心部でバスを使う新潟市民にとってバスは“定時性が確保され、便数も多い”という認識なのかもしれません。
*左に向かうと新潟駅。右に向かうと古町。
なぜ新潟市はBRTを導入することにしたのでしょうか。
新潟市の考えを、市のホームページから引用します。
“新潟市では、高齢社会や環境問題への対応とあわせ、拠点性強化が求められる中、市民のみなさまの快適な暮らしを支え、過度に自動車に依存しなくても、誰もが移動しやすい交通環境の実現に向けた取り組みを進めています。
特に、都心部では自動車を使わなくても快適に移動できるサービスレベルが高い基幹公共交通軸の実現が必要と考えています。”
*出処:新潟市 「新たな交通システムとは」 市の取り組みと調査の意義、新たな交通システムの位置付け(PDF)
この考えのもと、市は新たな交通システムとして「BRT」、「LRT」、そして「小型モノレール」の3つについて検討し、「BRT」を選択することになったいいます。
*参考:新潟市 新バスシステム 住民説明会用資料(PDF) /JR東日本 気仙沼線・大船渡線BRT
費用対効果や即時実現性から「BRT」を選んだのではないでしょうか。
政令市で日本海側No.1都市・新潟市の取組みは、郡山市など県内自治体がそのままを参考とすることはできないかもしれませんが、“都市公共交通のこれから”のヒントを与えてくれると思います。
ちなみに、現在、新潟駅では高架化の工事が行われています。
自動車や歩行者の利便性ばかりでなく、分断されている南北(万代口と南口)の一体感の創出や上越新幹線と在来線(秋田行きの特急列車など)との同一ホームでの乗り換えを可能にするなどの効果が期待されるといいます。
*参考:JR東日本 東京電気システム開発工事事務所 「新潟駅付近高架化 」
完成は2021年。
新潟市の公共交通機関の中心となるこの事業に、BRTとともに、注視してゆきたいです。



























